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第9章(1)紫夕side
9-1-6
しおりを挟むその声に中庭の入り口の方を見ると、そこには二人を始め、親父の鳴き声や窓硝子が割れる騒ぎの音を聞き付けた人々が集まっていた。
やべぇ、ここで戦闘になったら巻き込んじまう……!!
中には魔器を持たない救護班などの人々も居た事から、俺は咄嗟に逃げるよう指示を出そうと思った。
……
…………しかし、妙だ。
みんな、その場所から一歩も中庭には足を踏み入れて来ない。
いや、何故だか踏み込めないようだった。
杏華や海斗をよく見ると、必死に体当たりしたり、叩いたりしているが……。そこから中庭の境に、まるで透明な壁があるかのように遮られていたのだ。
「っ、何だよ!これっ……!!
何でそっちに行けないんだッ……!!」
「隊長ッ、これは一体っ?!
何が起こってるんですかッ……?!」
……
…………孤立無援の状況。
だが。その状況を見て、俺は馬鹿かも知れないが正直ホッとした。
親父に、他の人を殺させる心配はない。
これなら、心置きなく戦えるーー……!!
俺がそう思った瞬間。
地面にドシンッと大きな地響き。振り返ると、俺を追って二階から飛び降りてきた親父が居た。
「……参ったね。
まだ、進化するのかよ?親父」
その姿は、間違いなく数分前よりもまた大きくイカつい姿へと変わったいた。
けど、ここで自分が負ける事は最悪の事態を意味する。それにーー……。
俺は、雪を絶対に護るーー!!
立ち止まる訳には、いかない。
指輪がはまっている左手にギュッと力を込めて、俺は親父に向かって斬月を構えた。
……
…………。
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