スノウ

☆リサーナ☆

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第7章(3)紫夕side

7-3-5

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「……平気だよ、オレ」

ゆき?」

「もう、過去に負けたりなんてしない。縛られたりしない。
紫夕しゆうとの今と、これからがあるから……。だから、平気だよ」

「っ、ゆき……」

「だから、遠慮しないで過去の事も、聞いて?……って、言っても、所々、覚えてないけど」

腕の中でそう言うゆきを、俺は強く抱き締め返した。本当は思い出したくもないだろうに、それでも懸命に向き合って俺に話してくれようとする姿に、更に愛おしさが込み上げた。

ーーそうだ、俺が怖がっててどうすんだ。
ゆきがもうこれ以上傷付かないように、もう悲しい思いをしなくていいように、俺がずっと傍に居て支えてやろうーー。

そう心に誓って、俺はゆきの頭を撫でながら優しく口付けた。
……が、その直後。俺は"ある事"を思い出し、思わず大声を出して慌てる。

「!っ、あ~~~~~ッ!!!」

「!っ、え……?」

驚いて首を傾げるゆきを残し、俺はベッドから降りてとりあえず下着だけ履くと、病院から持ち帰っていた自分の荷物が入った鞄を開けた。そして、ベヒモス討伐の際に着ていた、血がべっとりとこびり付いた自分の服を見てサァーッと青ざめる。
左肩から左胸や左腕に血が染み込んだボロボロの上着。その左ポケットを漁ると……。

「?……紫夕しゆう?」

「……。
ゆ、ゆき……。ご、ごめん……なさいっ」

背後から名前を呼ぶゆきの方をゆっくり振り向き、謝りながら俺は胸ポケットから取り出した"ある物"を手に乗せて見せた。
それは、ベヒモス討伐の前にゆきが俺に渡してくれた御守り。お袋さんに貰ったと言っていた大事な大事な形見の品物だった。
けど、それは、何と無残な姿。綺麗なピンク色だったのに、俺の血のせいで真っ赤に染まっている上に……ベヒモスの牙が掠ったのか、所々ほつれてボロボロになっていたのだ。
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