スノウ

第６章（４）紫夕side

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ッーー……！！

ゾクリッ、とも、ドキンッ、ともする表情に、瞳。
その雪ゆきは、まるで雪桜ゆきざくらと共に生まれ変わったかのように、より美しさを増していた。
真っ直ぐに、その眼差しに見つめられてる響夜きょうやに嫉妬してしまう程に、俺は思った。

ああ、綺麗だなーー……。

そう心の中で呟いた瞬間。
姿勢を低くした雪ゆきがあっという間に響夜きょうやの背後に回り込み、空中で身を翻しながら雪桜ゆきざくらを振るった。

「！っーー……クソがッ！！！」

その動きに響夜きょうやは一瞬焦りの色を見せるが、さすがの反射神経でその攻撃を受け止める。そして、自分の鬼響ききょうの方が勝まさっていると思っているのか、またニヤリと笑った。……しかし、…………。

ーーッ……バッキイイィィィーーーンッ……！！！！！！

凄まじい音を響かせて折れたのは、鬼響ききょう。
しかも、その破壊力は圧倒的で……。折れた刀身は、粉々に砕け散った。

「っ、……ーーバカ、なッ？！！」

まさかの事態に驚き、隙が出来る響夜きょうや。そこに雪ゆきは信じられない速さで体勢を整えると、容赦なく回し蹴りを喰らわせた。
ガードする暇もなく首元に入った一撃は強烈で、響夜きょうやは叫び声を上げる間もなく吹っ飛ばされて建物の壁にぶつかり……ガクリッ、と落ちた。
その凄まじさに、一瞬現場はシンッとなる。

「うわぁ～……雪ゆき君すごっ！」

「っ……ヤベェな。何だよ、あの動き！」

その様子を一部し中見ていた茶々ちゃちゃとアントニーは、空いた口が塞がらない、と言う感じで呟く。
その戦いぶりには……。いや、その雪ゆきの姿には俺も息を呑んだ。

美しいのに、強い。
それは、まるで伝説に聞いた幻獣げんじゅうが……。魔物や、空想上だが妖精などを超えた化身が、そこに舞い降りたかのように……感じた。

しかし、すでに決着が着いたと思われたその直後。

「！……っ、不味いぞ、紫夕しゆう」

見惚れたように動けなくなっていた俺に、風磨ふうまの焦った声が届く。
その言葉に我に返ると、雪ゆきが倒れている響夜きょうやに向かって……足を進めていた。