スノウ

第５章（３）紫夕side

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すると、一呼吸置いて……。

「っーー……やります！」

まだ震えてる。
だが、確かに力強い言葉で海斗かいとが言った。

「ボク、やりますッ！！
だから隊長ッ、死なないで下さい！！みんなで一緒にっ……生きて帰りましょうッ！！」

みんなで一緒に、生きて帰りましょうーー。

その言葉に、また勇気を貰える。
そんな風に言ってくれる部下が居て、俺は最高に幸せな隊長リーダーだ。

「ーー……ああ！！約束だッ！！」

そう返事して、熱い心を胸に、俺は脚を引きずりながら入り口の壁から離れた。

海斗かいとの溜めチャージが完了するまで、おそらく約三分程。その間、痛めた片脚を庇いながら生き残る方法を考えた。
大きく逃げ回るのは無理。ならば、敵が向かって来るのを待ってギリギリの状態から攻撃を回避するしかなかった。

ベヒモスは、唸り声を上げながら一歩、また一歩とズシンッズシンッと歩み寄ってくる。
本当に、今まで見たどのベヒモスよりもデカい。あの手に弾かれたり、踏み付けられたりしただけでも身体中の骨が折られてしまうだろう。
けれど、いざ敵を目の前にして俺は感じてしまった。

コイツを相手出来る奴は、おそらく応援部隊にはいないーー。

外に居る杏華きょうかでさえ俺の援護ならまだしも、きっと1人でこのベヒモス相手は苦しい。海斗かいとも強力な一撃を放った後は尚更、極度の疲れからきっと戦力には期待出来ない。
第3、第４部隊から来る助っ人も……圧倒的に経験値が足りない。
駆け付けてもらったところで、怪我人が……。いや、最悪、死人が出てしまう可能性のが高い。

風磨ふうまや雪ゆきレベルの味方じゃなきゃ、ダメだーー……。

俺の勘が、そう言っていた。
けど、それは期待出来ない。ならば、俺がやれる事はたった一つだった。

ーー逃げずに、戦う事。
そして、俺がコイツをブッ潰すッ……！！

ギィシャアアアアァァァーーーッ……！！！！！

鼓膜がビリビリする程の鳴き声を上げて、ベヒモスは俺に飛び掛かってくる。