スノウ

☆リサーナ☆

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第5章(2)紫夕side

5-2-4

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山岳エリアは、足場の悪いゴツゴツした山道が続く。
わざわざ少々気温が高く暑い正午の時間帯にここに来る事を選んだのは、勿論ベヒモスの生活リズムに合わせてだ。
ベヒモスは夜中から明け方にかけて活動する、どちらかと言うと夜行性型。事前の調べでは、大体この時間帯は自分の巣穴に戻り、また夜の活動に向けて眠っている事が多いと予想されていた。
つまり、奴は昼間は動きが鈍く、逆に夜になればなる程活発になる。若干の違いではあるだろうが、その少しが勝利にも負けにも繋がる可能性がある事を俺は今までの経験上から知っていた。どんな些細な事でも甘く見てはいけないし、考えてはいけない。常に準備万端にして挑む。

「それにしても……。不気味な位に、山岳エリアに入ってから敵に遭遇しないわね」

「ベ、ベヒモスの巣穴、案外ここじゃないんじゃないですか~?」

「バカね、逆よ。
ベヒモスは主に単体で行動する群れない生き物。親子でさえ共にするのは短い時期で、親離れした後は互いの縄張りを荒す敵となり争う。種族が違う魔物と馴れ合うなんて論外。
つまり、ここに敵が居ないって事は……今回私達が討伐目的のベヒモスが居る可能性が高いって事よ」

「!っ、マ、マジですかぁ~?!」

杏華きょうかの鋭い洞察力と考えを聞いた海斗かいとは、また更に青ざめる。
けど、杏華きょうかの言っている事は本当だ。おそらく……いや、ほぼ確実にベヒモスはこの周辺に居るだろう。
こうなったら、祈る事はただ一つ。

巣穴でベヒモスが眠っていてくれる事ーー。

先手必勝。こちらが先制を取れさえすれば、それだけで勝率も戦闘のスムーズさも格段に上がる。
そんな望みに掛けて、俺達はベヒモスの巣穴だと言われている場所の入り口まで足を進めた。

……
…………。
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