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第3章(2)雪side
3-2-2
しおりを挟む「紫夕に、好きって言われた」
オレがそう言うと、カップに口付けて紅茶を飲みかけていたマリィが無言でこっちを向く。
「オレに、キスしたいし、エッチな事したいんだって」
紫夕の言葉を思い出しながら、疑問に思った言葉を口にする。
「でも、昨日エッチな事しなかった。今朝も、キス……しなかった」
したい、って言ったのに、何もしなかった。
それって、どう言う意味だろう?
それが、おじさんと紫夕の、違いなの?
「この前はオレの事抱いたのに……。したい、って言ったのに、しなかった。……ねぇ、何で?
……。マリィ?……マリィ?」
問い掛けても返答がない。
すると、いつの間にかマリィはオレから少し離れて背を向けてて、顔を押さえて震えていた。
「マリィ?」
「ちょ、ちょっと待ってね、雪ちゃん。
なんとな~く、なんとな~く二人が、いつかはそうなる予感はしてたんだけど……だけどね!いきなりいっぺんに色んな情報が入り過ぎて……。予想はしてたんだけど、予想をぶっ飛ばされ過ぎて、流石のアタシも驚きが隠せないわ……!」
「……???」
「まさかそこまで、進展してたなんて……。紫夕ちゃんったらアタシに相談もナシに……!
おまけに雪ちゃんからそんな純粋な口調と気持ちで聞かれたら、もうアタシ何と言っていいか……」
「?……ごめんね?」
マリィの言葉も、オレには意味不明。
やっぱりマリィにも分からないのかな?と思って俯いていると、ソファーに戻って来て姿勢を正した(何故か両鼻にティッシュを詰めた)マリィが口を開く。
「……つまり。ザックリ纏めると、雪ちゃんは紫夕ちゃんが言った"好き"の意味が分からないのね?」
咳払いをした後にそう言ったマリィの言葉に、オレは頷いた。
だって、杏華よりオレを好きで、オレが1番だって言ったのに……。キスも、エッチな事もしたい、って言ったのに……。
今日もさっき、
「ちょっと杏華の所行ってくる。
帰って来たら一緒に買い物行こうぜ!」
何で杏華の所に行ったの?
オレが1番なら、オレとの買い物は何で杏華より……後なの?
そう思った瞬間、胸の中が何か変な感じがした。
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