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第2章(4)紫夕side
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***
部屋に戻ると、俺はすぐに雪をベッドに寝かせた。
心配で、帰路の途中に通信機でマリィに相談したが、過呼吸が治ってるならもう大丈夫だと言われた。
今はとりあえず休ませてやらねぇと。
「雪、今水持って来てやるから待ってろ」
そっと頭を撫でてやり、台所に向かった。
でも、俺がコップに水を注いでいると、雪は突然ハッとしたようにベッドから起き上がって洗面所に向かって走り出した。
「!っ、雪?
おいっ、どうしたっ……?!」
コップを置いて慌てて後を追う。
すると、鏡を見ていた雪が今度は突然、首筋を押さえて風呂場に飛び込んだ。
「雪ッ?おいっ、雪ッ!!」
雪の行動の意味が、俺には最初意味不明だった。
雪は着たままだったシャツの上ボタンを引き千切るようにして外すと、シャワーを捻って浴び出す。
「雪、やめろっ!風邪引くだろ?!」
温度調節もしていないままの真水。押さえ付けてやめさせようとするが、雪はまるで猫のように暴れる。
そして、自分の首筋に爪を立てると激しく引っ掻き出した。
「ッ……雪!!
やめろッ!!っ……やめろってッ!!」
どうしちまったんだよっ?!
分からないまま、俺は雪の両手を持って風呂場の壁に押さえ付けた。
そしたら、俺と目が合って、怯えたような瞳をした雪が震えながら言った。
「っ……、……いで」
「あ?」
シャワーの音が響いてて、雪の小さな声は聞きづらい。俺は、必死に耳を凝らした。
「み……ない、で…………」
見ないでーー?
「きたない、から……み、ないで……っ」
汚いから見ないでーー……。
そう言われて、俺は雪が引っ掻いていた首筋に目をやった。
そこにあったのは、唇の痕。それは絶対に、昨夜俺が付けたものではなかった。
部屋に戻ると、俺はすぐに雪をベッドに寝かせた。
心配で、帰路の途中に通信機でマリィに相談したが、過呼吸が治ってるならもう大丈夫だと言われた。
今はとりあえず休ませてやらねぇと。
「雪、今水持って来てやるから待ってろ」
そっと頭を撫でてやり、台所に向かった。
でも、俺がコップに水を注いでいると、雪は突然ハッとしたようにベッドから起き上がって洗面所に向かって走り出した。
「!っ、雪?
おいっ、どうしたっ……?!」
コップを置いて慌てて後を追う。
すると、鏡を見ていた雪が今度は突然、首筋を押さえて風呂場に飛び込んだ。
「雪ッ?おいっ、雪ッ!!」
雪の行動の意味が、俺には最初意味不明だった。
雪は着たままだったシャツの上ボタンを引き千切るようにして外すと、シャワーを捻って浴び出す。
「雪、やめろっ!風邪引くだろ?!」
温度調節もしていないままの真水。押さえ付けてやめさせようとするが、雪はまるで猫のように暴れる。
そして、自分の首筋に爪を立てると激しく引っ掻き出した。
「ッ……雪!!
やめろッ!!っ……やめろってッ!!」
どうしちまったんだよっ?!
分からないまま、俺は雪の両手を持って風呂場の壁に押さえ付けた。
そしたら、俺と目が合って、怯えたような瞳をした雪が震えながら言った。
「っ……、……いで」
「あ?」
シャワーの音が響いてて、雪の小さな声は聞きづらい。俺は、必死に耳を凝らした。
「み……ない、で…………」
見ないでーー?
「きたない、から……み、ないで……っ」
汚いから見ないでーー……。
そう言われて、俺は雪が引っ掻いていた首筋に目をやった。
そこにあったのは、唇の痕。それは絶対に、昨夜俺が付けたものではなかった。
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