スノウ

☆リサーナ☆

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第2章(2)雪side

2-2-3

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「もっと色々話さないかい?」

「……母さんの、事?」

「ああ、そうだよ。
私が知ってる事なら、何でも話してあげよう」

母さんの話ーー。
今まで誰とも話せなかった大好きな母さんの事。亜麻色の長い髪と薄水色の瞳。綺麗な母さんの笑顔が胸いっぱいに広がって、心が揺らぐ。

でも、……。

「さ、私の部屋に行こう。そこでゆっくり……」

「ーー……っ!」

肩に手を回された瞬間。
ゾクッとして、オレは咄嗟にその手を振り払った。そしたらたちばなさんは「おやおや」と言いながら、口角を上げて笑う。
その笑顔に何だか胸がザワザワして、気持ち悪い。
よく分からないけど、オレの中で何かが"危険"だと言ってるみたいだった。

「っ……やっぱり、いい」

すぐにこの場から逃げたくて……。後退りしながら離れようとした。
でも、たちばなさんがオレの腕を思いっきり掴んで止める。

振り解きたいーー!!

けど、すごい力で今度は振り払う事が出来なかった。
そうしてるうちに、たちばなさんにもう片腕も掴まれて、オレは建物の壁際に放るように倒された。

「ククッ、可愛いね~。
魔器マギを持たない君は、まるで子猫のようだ」

上半身を起こしてそのまま後ろに下がるけど、すぐ後ろが壁で……。俺の目の前に来たたちばなさんに、ガッと喉元を掴まれた。

「っ、……!」

「本当に可愛い。すぐに、私のモノにしたいよ」

殺されるーー。

そう思ったけど。
たちばなさんは喉を掴んでいた手を緩めて、そのままオレの頬を撫でるようにすると、顔を近付けてきて……。オレの耳元に、唇と舌を付けた。

「っあ……!」

クチュッ、って水音がすぐ近くで響いて、オレの身体は跳ね上がる。
そしたらたちばなさんはまた「ククッ」て笑って、今度は首筋にーー……。

「ッーー……ぁ、っ」

声が漏れて、嫌なのに、身体が勝手に反応する。
オレの身体は、オレの気持ちなんて無視して反応する。

そんな自分が、1番嫌いだーー。

触れられたくなんてない。
抱かれたくなんてない。

でも、身体は快感に震えて、いつも勝手に気持ち良くなる。

……だから、何も考えたくなかった。
自我を失くして、ただ、身を任せてた方が楽だった。
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