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第1章(1)紫夕side
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「……と。
そろそろ、おでましかぁ~?」
森の中を進んで三十分程。
辺りから気配を感じて俺が背中から斬月を抜くと、何の指示をださなくとも雪も腰に差していた雪桜を両手に取る。
「雪、何匹か分かるか?」
「……多分、12」
「正解!じゃ、6匹ずつ……行くぞ!!」
俺の「行くぞ!!」と同時に茂みから唸り声を上げながらビッグウルフが跳び出してくる。
ビッグウルフ、その名の通り大きい狼だ。元々生息していた野生の狼が、魔物の影響で更に進化してデッカくなっちまった。
数いる魔物の中で危険度は大した事ねぇが、乗っかられたら簡単には退かせねぇ大きさだし、鋭く大きな犬歯で噛まれれば腕なんて簡単に持っていかれるだろう。
俺はビッグウルフが跳び掛かってくる瞬間に狙いを定めて、斬月を大きく一振りすると纏めて三頭同時に殲滅させた。
長く魔器を使用する事はそれだけ体力を消耗する事から、俺はなるべく短時間で勝負をつける、と言う戦闘方法が好ましい。
一方の雪は……。
「おま……双剣の使い方、間違ってるからな?」
跳び掛かって来ようとしたビッグウルフの頭部に、ブーメランのように飛んできた双剣の片方が突き刺さり、ドサッと倒れる様子を見て俺は苦笑いしながら言った。
けど、雪はお構いなしだ。
独特の自由な戦闘スタイルで、ビッグウルフを倒していく。
双剣の片方でビッグウルフの牙を受け止め、倒れていたビッグウルフの頭部からもう片方を回収すると、今度は二刀流になって捌いていく。
敵の急所に狙いを定めて一撃で貫く判断力、そしてまるで舞を舞っているかのような人間離れした素早い身のこなしは……誰をも魅力する程に美しい。
振り回す度にピンク色の、氷の刃のように透き通った刀身が煌めいて、桜の花びらが舞ってるようにも見える。
ーーああ、ホント綺麗だな。
何度見ても、そう感じずにはいられない。
初めてモニターで見たあの瞬間から、思ってた。
涙が出そうだった理由は、哀しみと……。どうしようもない美しさに胸を打たれた、感動だったんだ。
「……と。
そろそろ、おでましかぁ~?」
森の中を進んで三十分程。
辺りから気配を感じて俺が背中から斬月を抜くと、何の指示をださなくとも雪も腰に差していた雪桜を両手に取る。
「雪、何匹か分かるか?」
「……多分、12」
「正解!じゃ、6匹ずつ……行くぞ!!」
俺の「行くぞ!!」と同時に茂みから唸り声を上げながらビッグウルフが跳び出してくる。
ビッグウルフ、その名の通り大きい狼だ。元々生息していた野生の狼が、魔物の影響で更に進化してデッカくなっちまった。
数いる魔物の中で危険度は大した事ねぇが、乗っかられたら簡単には退かせねぇ大きさだし、鋭く大きな犬歯で噛まれれば腕なんて簡単に持っていかれるだろう。
俺はビッグウルフが跳び掛かってくる瞬間に狙いを定めて、斬月を大きく一振りすると纏めて三頭同時に殲滅させた。
長く魔器を使用する事はそれだけ体力を消耗する事から、俺はなるべく短時間で勝負をつける、と言う戦闘方法が好ましい。
一方の雪は……。
「おま……双剣の使い方、間違ってるからな?」
跳び掛かって来ようとしたビッグウルフの頭部に、ブーメランのように飛んできた双剣の片方が突き刺さり、ドサッと倒れる様子を見て俺は苦笑いしながら言った。
けど、雪はお構いなしだ。
独特の自由な戦闘スタイルで、ビッグウルフを倒していく。
双剣の片方でビッグウルフの牙を受け止め、倒れていたビッグウルフの頭部からもう片方を回収すると、今度は二刀流になって捌いていく。
敵の急所に狙いを定めて一撃で貫く判断力、そしてまるで舞を舞っているかのような人間離れした素早い身のこなしは……誰をも魅力する程に美しい。
振り回す度にピンク色の、氷の刃のように透き通った刀身が煌めいて、桜の花びらが舞ってるようにも見える。
ーーああ、ホント綺麗だな。
何度見ても、そう感じずにはいられない。
初めてモニターで見たあの瞬間から、思ってた。
涙が出そうだった理由は、哀しみと……。どうしようもない美しさに胸を打たれた、感動だったんだ。
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