13 / 289
序章(2)紫夕side
0-2-2
しおりを挟む「子供を1人保護した。これから戻る」
『了解しました!受け入れ体制を整えておきます』
「ああ、よろしく頼む。
あ、そうだ。帰ったら飯でも行こうぜ~」
『ふふっ、紫夕さんったら!
無事のご帰還お待ちしております』
「おうっ、サンキュ」
……軽く流されたか。
通信がプツリと切れて心の中で小さく舌打ちをしたが、別にたいして気にしてはいなかった。
守護神の隊員の中で最高位である自分は、正直女性に不自由はした事がない。
こちらが声を掛けずとも自然と寄ってくるし、たいして相手もしてやれないからその時だけ……。一晩だけの相手が居れば、それでいいのだ。
この時の俺は知らなかった。
そんな自分が、一生傍に置いておきたいと思う程、誰かを愛するようになるなんて……。
そしてその相手が、この時拾ったこのクソガキだと言う事も、…………。
「……さて、一緒に帰るぞ」
そう声を掛けたが、少年は動こうとしない。
この足じゃ仕方ねぇか。
男相手に姫抱っこする趣味はないんだが、今回は特別だ。
俺は少年の背中と膝裏に手を回すと、ひょいっと抱き上げる。
想像していたよりもずっと軽い身体。自分が鍛えているせいもあるだろうが、それはまさに「お前羽根が生えてるんじゃないか?」と問いただしたくなる程だった。
しかし、その言葉より先に俺の口から出たのは……。
「っ、……お前、クセェな」
この世界で水は貴重だ。
ましてやこんな貧相な村じゃ、毎日風呂に入れないのは仕方のない事。だが、それにしても……。
何だ?この臭い……。
汗臭い、とは違う。
悪臭というか、異臭というか。
でも、決して嗅いだ事がない臭いではない。我慢出来ない程ではないが、密着している分余計に臭う。
一刻も早く少年を自分から離したかった俺は、早足で待たせてある車へと戻った。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】
華周夏
BL
かつての恋を彼は忘れている。運命は、あるのか。繋がった赤い糸。ほどけてしまった赤い糸。繋ぎ直した赤い糸。切れてしまった赤い糸──。その先は?糸ごと君を抱きしめればいい。宿命に翻弄される神の子と、眷属の恋物語【*マークはちょっとHです】
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる