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第3章(4)レベッカside
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しおりを挟む少し離れた場所から見守りつつ跡を付けていると、お邸を飛び出したレノアーノ様が向かった先は、当然ツバサ様が住んでいると聞いていた港街だった。
準備もお金も持たずに飛び出してどうするものかと思えば、最寄りの町の洋服屋で着ていた服を動きやすい服に交換してもらい、身に付けていたアクセサリーを売り資金を得るとレノアーノ様は港街までの船のチケットを買い、ここまで辿り着いた。
全く、普通のお嬢様では考えられない。
レノアーノ様にここまでさせる事の出来るツバサ様が一体どんな人物なのか、今まで以上に想像せずにはいられなかった。
アッシュトゥーナ家の執事として、また専属執事として私がすべき事は、今すぐにレノアーノ様を連れ戻す事だろう。
けれど、数年前にばあや様が亡くなられた今、レノアーノ様がツバサ様を想う姿を誰よりも見てきたのは私だ。あの幸せそうな姿を知っていたら、会わせてやりたいと……。二人が上手くいく展開を願ってしまう私が居た。
しかし。そんな"執事としての使命"を忘れ掛けていた私の目を、ツバサ様が醒まして下さるのだ。
「夢の配達人を辞めた理由、どうして言ってくれなかったのっ?
お父様が亡くなったって、何で教えてくれなかったの?!」
「言って何になるんだよ?父さんを救ってくれた?
大体、今更なんだよ。お前は今まで父さんの事、知らなかったんだろ?知らずに過ごしてきたんだろ?
……そういう事だよ。俺とお前は住んでる世界が違う。俺達の生活なんて知らなくても生きていける、そうだろ?」
レノアーノ様の問い掛けに、ツバサ様はそう冷静に返した。そして……。
「……帰れよ」
「っ……ツバサ、私ッ……」
「ーー帰れ。もう顔も見たくない」
それは、私が願っていた展開とは全く違う拒絶。
ツバサ様は少しも再会出来た喜びも表さなければ、終始冷たい視線でレノアーノ様を見つめ、淡々とした言葉を放った。
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