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第1章(4)ミライside
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しおりを挟む僕は彼女にとって決して良い兄ではなかった。
けど、妹はそんな僕の為に自分を犠牲にして生きようとしてくれていた。
父さんに何かあったら自らが次の最高責任者になるべく勉強と強さを極め、愛おしい男性への想いを断ち……。一緒に夢の配達人を支えてくれる人と、歩む道を選ぼうとしていた。
僕の代わりに、全てを背負おうと、してくれていたーー……。
「父さんの跡も、夢の配達人の未来も……。もう、何も心配するな」
そんな妹を、もう、解放してやろうと思った。
それだけが、僕が兄として彼女にしてあげられる、唯一の事だった。
「今まで、悪かった。……ありがとう」
「っ、……兄さんっ」
僕が言葉を掛けると、呼び止めるように「兄さん」と呼ばれたけど……。僕は、足を止めずに廊下に出て、秘書部屋の扉をバタンッと遮るように閉めた。
僕と一緒で辛い恋をしている妹。
でも、彼女の場合は結ばれる事が不可能じゃなければ……素直に想いを伝える事だって出来る。
辛い事もあるだろうが、それでも自らが踏み出せば……手が届く恋なんだ。
だから、その夢はお前に託すよーー……。
「……頑張れ、ノゾミ。
替わりに僕は、もう一つの夢を叶えるよ」
そう呟いて、僕はポケットから自分の白金バッジを取り出して、見つめた。
かつては欲しくて欲しくて、がむしゃらに追いかけた。
でも、途中見失って、何の輝きも見えなくなった。
けど。
やっぱり白金バッジは、僕の一番星だった。
「……あと少し。
あと少しだけでいいから、僕に付き合って?」
僕の夢。それは、
ツバサにこのバッジを奪ってもらう事ーー。
その為なら、僕は何でもすると決めたんだ。
自分の想いを押し殺しても……。その結果が、例えツバサに嫌われる事になっても……、……。
僕は、白金バッジをポケットにしまうと、替わりにポケ電を取り出して、歩きながら"ある人物"に電話を掛けた。
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