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第1章(2)ツバサside
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しおりを挟むミライさんが、姉貴の相手……なんだ。
ミライさんと姉貴がいつの間にか付き合ってて、それでーー……。
そう結びついたら、姉の長年の恋が実ったのだと知って、俺はめちゃくちゃ嬉しくなった。
ついつい、表情が緩んでしまいそうだ。
「本日は、ヒナタさんを送りがてらの簡単なご挨拶とご報告だけですみません。
近いうちに、また必ず伺います。その際に、結婚やこれからの事をお話ししたいと思っておりますので」
「分かったわ!
でも、そんなに固くならないでね?これから家族になるんだから、もっと気さくにしてちょうだい」
「はい、ありがとうございます」
母さんと会話を交わすミライさん。
俺も、色々と話したいと思った。……けど。
「では、本日はこれで失礼します。
……無理しないで。身体、大事にしてね」
母さんにもう一度頭を下げて、姉貴にそう声を掛けると、ミライさんは俺とは目を合わせずに……。スッと横を通り過ぎて、玄関の方へと歩いて行ってしまった。
ーー……ミライ、さん?
何だか、いつもと違う雰囲気。
確かに、元々掴みどころがない人だが、これまでとはまた違う気がした。
俺が、下剋上の相手だから……?
そう思えば、そうなのかも知れない。
今は時期が時期だけに、俺とは下剋上の時以外あまり接触したくないのかも知れなかった。
でも、少しだけ話したいーー。
そんな感情が湧き上がって、俺は咄嗟にミライさんを追いかけた。
靴を履いて、玄関の扉を開けて外を見ると、廊下を歩くミライさんの背中が見える。
「ミライさん……!」
「!……、ツバサ……」
俺が呼び止めると、まるで俺が呼び止めたのが予想外だったかのように驚いた表情で、ミライさんは振り返った。
何故、ミライさんがそんな表情だったのか俺には分からなかったけど……。傍まで行って、俺は嬉しさのあまり微笑って言った。
「ミライさん、ありがとうございます!」
嬉しかった。
ミライさんと姉貴が結ばれて、おまけに結婚なんて、まるで自分の夢が叶ったかのように嬉しかった。
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