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第19章 (1)アカリside
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しおりを挟む……。
ヴァロンは、なんて書いたんだろう?
夢の配達人だし、やっぱりお仕事関係かな……?
勝手に見てはいけないと、思いつつも気になった。
ヴァロンの方を気にしながら、チラッとアンケートの答えを見ると……。
Q.あなたの欲しいものは?
A.家族との時間。
Q.あなたの夢は?
A.ずっと家族仲良く暮らす事。
迷った様子もなく、ハッキリと丁寧な文字で綴られた彼の願い。
胸が熱くなって、涙が出そうになる。
「っ……。
パパを、世界一幸せにしてあげなきゃね?」
屈んでベビーカーを覗き込んで語り掛けると、ヒナタはヴァロンに貰った猫のぬいぐるみを抱き締めて、微笑んでた。
こんなに幸せで、穏やかな時間が続きますように……。
近くに飾ってあるクリスマスツリーを眺めながらそう心の中で祈っていると、クマさんが私の側へやってきた。
「アンケート、書けましたか?」
「あ、はい」
優しい声で尋ねられて、私が二人分のアンケートを差し出すと……。
受け取った、上にあったヴァロンが回答したアンケートを見てクマさんが言った。
「欲しいもの、黒い髪と黒い瞳。
夢は、お父さんになる事」
「……え?」
その呟きに、私は思わずじっとクマさんを見つめた。
「昔、ある子供が願った事です。
その子は、田舎町の片隅にある公園で……。一人、雨上がりに水溜りを見つめていました。」
クマさんの、まるで昔話を語るような口調に、私は時が止まった様に聞き入ってしまう。
「暫く見つめていると、その子は泥水をすくって……。自分の頭から被りました。何度も、何度も……。
”何をしているの?”と尋ねると、子供は私に質問を返してきました。
”ねぇ、どうしたら瞳は黒くなる?”……と」
「っ……」
クマさんのその話に……。
まさか、と騒ぎ出す私の心。
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