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第17章 (3)シュウside

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左右で身構えるレナとレイに警戒を解くように顔を合わせて頷くと、私は再びアラン様に視線を戻して、話を聞こうと一歩前へ出る。


「何故、貴方がヴァロンの過去を?」

「夢の配達人にとって、絶対に犯してはいけない事。
……それをヴァロンがすでに犯していたら、君はどうするの?次期マスターさん」

私の問い掛けには答えず、アラン様は口角を上げて見つめてきた。
でも、その目は笑っておらず……。鋭い、眼光。

信じたくはないが、その瞳はとても嘘を付いているとは思えない。


「……どういう意味でしょう?」

なんとか冷静を装い、そう口にしながらも……。
内心は”まさか……”という心境に震えていた。


夢の配達人が絶対に犯してはいけない事。
依頼人を失望させる事、夢を奪う事。

そして……。


「人を殺してるんだよ、ヴァロンは……」

……。

アラン様のその言葉を聞いた瞬間。
一瞬、私の時は……止まった。
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