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第17章 (3)シュウside
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【夢の配達人隠れ家/シュウの仕事部屋】
「”……わり、シュウ。
その依頼は、受けらんねぇよ。”……。
そんな断り方が、出来るようになったんですね」
ヴァロンをユイちゃんとのデートに送り出した後、自分の仕事部屋に戻った私は先程の事を思い出して笑みを零した。
以前のヴァロンなら、意に沿わない依頼を勧められた時は、眉間にシワを寄せて”ふざけてんのか?”とか……。とにかく口も態度も悪くて、終始不機嫌に見えた。
それが、今はどうだろう。
もう今の彼を見て、”問題児”と呼ぶ人はいないだろうと思う。
それどころか、素直過ぎて可愛いくらいだ。
警戒心を剥き出しにしていた野良猫が、ようやく心を開いて本来の姿を見せて甘えてくれている様な……。その姿が、とても愛くるしい。
「……全く。予想外の豹変をするから、また放っておけなくなるじゃないですか」
前のヴァロンは無鉄砲で危なっかしいから心配だったが、今は純粋な子が悪い人に染められたりしないか……という心配に変わった。
ま、結局の所。
私は絶対にヴァロンから目が離せないという訳だ。
やれやれ、とそんな自分に呆れつつ仕事机に向かっていると……。部屋の扉がコンコン!っとノックされる。
「はい、どうぞ」
私が返事を返すと、部屋に入ってきたのはマスターであり父のギャラン。
「!……マスター。どうし……」
「ヴァロンは、もう出掛けたのか?」
私の言葉を最後まで聞かずにマスターはそう尋ねると、険しい表情を浮かべてソファーに座る。
その様子に、私にはマスターが部屋を訪ねて来た理由がすぐに分かった。
マスターはきっと”あの事”を聞きに来たのだと……。
「”……わり、シュウ。
その依頼は、受けらんねぇよ。”……。
そんな断り方が、出来るようになったんですね」
ヴァロンをユイちゃんとのデートに送り出した後、自分の仕事部屋に戻った私は先程の事を思い出して笑みを零した。
以前のヴァロンなら、意に沿わない依頼を勧められた時は、眉間にシワを寄せて”ふざけてんのか?”とか……。とにかく口も態度も悪くて、終始不機嫌に見えた。
それが、今はどうだろう。
もう今の彼を見て、”問題児”と呼ぶ人はいないだろうと思う。
それどころか、素直過ぎて可愛いくらいだ。
警戒心を剥き出しにしていた野良猫が、ようやく心を開いて本来の姿を見せて甘えてくれている様な……。その姿が、とても愛くるしい。
「……全く。予想外の豹変をするから、また放っておけなくなるじゃないですか」
前のヴァロンは無鉄砲で危なっかしいから心配だったが、今は純粋な子が悪い人に染められたりしないか……という心配に変わった。
ま、結局の所。
私は絶対にヴァロンから目が離せないという訳だ。
やれやれ、とそんな自分に呆れつつ仕事机に向かっていると……。部屋の扉がコンコン!っとノックされる。
「はい、どうぞ」
私が返事を返すと、部屋に入ってきたのはマスターであり父のギャラン。
「!……マスター。どうし……」
「ヴァロンは、もう出掛けたのか?」
私の言葉を最後まで聞かずにマスターはそう尋ねると、険しい表情を浮かべてソファーに座る。
その様子に、私にはマスターが部屋を訪ねて来た理由がすぐに分かった。
マスターはきっと”あの事”を聞きに来たのだと……。
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