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第17章 (2)ヴァロンside
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しおりを挟む「顔を、上げてください。
私も、お会いできて……嬉しいです!」
その言葉にドキッとして、俺はゆっくりと顔を上げる。
去年よりも少し、少女から女性に変わった様なその声は……。口調は全く違うのに、リディアとそっくりだった。
「お言葉に甘えて、会いに来ちゃいました。
今日はよろしくお願いします。……ヴァロン、さん」
「!っ……」
真っ直ぐ俺を見上げる、優しいのに強い瞳。
”ヴァロン”って俺を呼ぶ声が懐かしくて、心地良い。
容姿は全く似ていないのに……。
この娘は確かに、リディアの血を受け継いでいるんだと感じる。
そんなユイの事が堪らなく愛おしいのに、どう対応していいのか分からなくて迷っていると、シュウが助け舟を出してくれた。
「……と、言う事でヴァロン。
この依頼、引き受けてもらえますね?」
「!……えっ?……あ、ああ!
も、勿論っ!喜んで……!」
シュウの問い掛けに、必死に首を縦に振って答える俺。
その反応にシュウは「よろしい」とニッコリ笑うと、俺の背中を押して部屋の奥の洗面所へ連れて行く。
「ユイちゃん、準備してきますからもう少し待ってて下さいね?
……ほら、ヴァロン。素の姿でデートしたら騒ぎになるので早く変装してきて下さい」
「!……あ、そっか。
ユイ、悪い!10分だけ待っててくれ!」
ユイに一声掛けると、俺は一人で洗面所に入って扉を閉めた。
「……。
やべぇ……。反則だな、あの……声」
扉にもたれ掛かる様にしながら、気持ちを落ち着かせる為に俯いて目を閉じる。
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