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第17章 (1)アカリside
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【その夜】
シュウさん達が帰った後は、荷物を片付けたりお風呂に入ったり……。
夕飯を済ませたら、ヒナタは昼間ミライ君に遊んでもらってはしゃいでいたせいか、すぐに夢の中に入ってしまった。
「おやすみ」
ヒナタをベビーベッドに寝かせて寝室を出ると、ヴァロンは仕事机に向かってシュウさんに今日渡された問診票を書いていた。
傍に行こうと歩み寄ると、私に気付いた彼が顔を向けて微笑む。
「ヒナ、寝ちゃったか?」
「うん。ずっと眠そうにしてたから、あっという間だったよ」
「そっか。じゃあ……」
私が問い掛けに答えると、問診票を茶封筒にしまったヴァロンに手を引かれて……。彼の膝の上に座らされた。
「今からは、夫婦の時間。……だな」
「!……うんっ」
ギュッと包んでくれる暖かい腕の中。
嬉しくて嬉しくて、表情が緩んでしまう。
「ねぇ、別荘から帰る前夜。お祖父様とどんな話をしたの?」
私が首に腕を回して見つめると、ヴァロンは少し気不味そうに視線を逸らした。
どうしたのかと思って首を傾げていると、彼が苦笑いしながら呟く。
「……覚えて、ない」
「!……え?」
「酔い潰れて……。
ほとんど覚えて、ません」
申し訳なさそうに敬語でしゅんとするヴァロン。
無理もない。
ウイスキーやらワインやら……。苦手なのに何杯もお祖父様に付き合って飲まされたのだ。
私の部屋に戻ってきた時、よくお祖父様に下戸だってバレなかったな~と思う位にグテグテだったし。
「なんか、意外だよね。
素敵な店で、ビシッとスーツ着てお酒飲んでるヴァロン。すごく似合いそうなのに……」
「……案外、ガキっぽいって思うか?」
ヴァロンの問い掛けに、私は首を横に振って微笑んだ。
シュウさん達が帰った後は、荷物を片付けたりお風呂に入ったり……。
夕飯を済ませたら、ヒナタは昼間ミライ君に遊んでもらってはしゃいでいたせいか、すぐに夢の中に入ってしまった。
「おやすみ」
ヒナタをベビーベッドに寝かせて寝室を出ると、ヴァロンは仕事机に向かってシュウさんに今日渡された問診票を書いていた。
傍に行こうと歩み寄ると、私に気付いた彼が顔を向けて微笑む。
「ヒナ、寝ちゃったか?」
「うん。ずっと眠そうにしてたから、あっという間だったよ」
「そっか。じゃあ……」
私が問い掛けに答えると、問診票を茶封筒にしまったヴァロンに手を引かれて……。彼の膝の上に座らされた。
「今からは、夫婦の時間。……だな」
「!……うんっ」
ギュッと包んでくれる暖かい腕の中。
嬉しくて嬉しくて、表情が緩んでしまう。
「ねぇ、別荘から帰る前夜。お祖父様とどんな話をしたの?」
私が首に腕を回して見つめると、ヴァロンは少し気不味そうに視線を逸らした。
どうしたのかと思って首を傾げていると、彼が苦笑いしながら呟く。
「……覚えて、ない」
「!……え?」
「酔い潰れて……。
ほとんど覚えて、ません」
申し訳なさそうに敬語でしゅんとするヴァロン。
無理もない。
ウイスキーやらワインやら……。苦手なのに何杯もお祖父様に付き合って飲まされたのだ。
私の部屋に戻ってきた時、よくお祖父様に下戸だってバレなかったな~と思う位にグテグテだったし。
「なんか、意外だよね。
素敵な店で、ビシッとスーツ着てお酒飲んでるヴァロン。すごく似合いそうなのに……」
「……案外、ガキっぽいって思うか?」
ヴァロンの問い掛けに、私は首を横に振って微笑んだ。
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