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第15章 (3)アカリside
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しおりを挟む「?……アカリ?
……あ!ごめっ……忘れてたッ」
呆然と見上げている私の様子を勘違いした彼は、慌てて変装に使っていた眼鏡とウィッグとアイレンズを外して、本当の自分の姿に戻る。
そんな事しなくても、分かる。
きっと私は彼がどんなに姿を変えても、見付ける事が出来る。
私の目の前に居る。
色素の薄い栗毛色の髪と瞳を輝かせて、暫く会わない内にまた一段と格好良くなったヴァロン。
……。
ヴァロン?
本当、に……ヴァロン?
「……よし!
アカリ、ただいま。……。
……。……アカリ?」
「……夢じゃ、ないよね?」
信じられなくて、思わず尋ねた。
だって……何度も何度も、夢に見た。
目が覚めて、何度も何度も落ち込んだ。
「……俺も、何度も夢に見たよ。
会いたくて会いたくて、目を閉じる度にアカリの笑顔が思い浮かんだ」
そう言ったヴァロンが、大きな掌で私の顔を包む様に両頬に触れる。
「っ……でも、もう空想や幻は嫌だ。
お前の元に、ずっと帰ってきたかった」
暖かい手の温もりと、囁かれるような愛の言葉に……。夢じゃないんだと、我慢していた想いが涙になって溢れる。
ヴァロンの手に涙が伝って、名前を叫ぼうとしたら、彼が優しく私を抱き寄せて額にそっと口付けを落としてくれた。
「アカリ……。っ……アカリッ……」
確かめるように何度も私の名前を呼びながら、優しい唇が頬に触れて……。
間近で瞳が重なったら、自然と引き合うように唇と唇が合わさっていた。
私の涙で、少ししょっぱいキス。
「っ……おかえりなさい、ヴァロン」
唇を離してようやくその言葉を言えた私。
微笑み合うと、少し下の私達の間から伸ばされた小さな手がヴァロンの顎に触れた。
「!……っ」
自分をアピールするように、手を伸ばして見上げているヒナタと目が合った彼の瞳が、一瞬で潤んで揺れる。
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