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第15章 (1)ヴァロンside
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しおりを挟む「依頼内容を達成、契約期間は本日で終了です。
……迎えに来ましたよ、ヴァロン」
「っ……シュ、ウ」
まさかと思いつつも、優しい声と、横目で親友の姿を確認したら……。
スッと、動揺していたザワつきが消えていく。
「ヴァロン様を放して下さい」
「いくら依頼人でも、配達人の扱いには限度があります。
ボク達調査員はそれを見守り、時には罰する事も出来るんですよ?」
冷静になって気付いたら、レナとレイが俺の胸倉を掴んでいるアランの両脇に立って、奴に向かって拳銃を突き付けていた。
「……どうやって侵入した」
「侵入なんて人聞きが悪いですね。
”依頼人の夢を叶えたら、配達人を回収に上がる場合がある”と契約書に記載されています。
それに、ちゃんと正面から入ってきましたから何も破損はしていません」
アランの問い掛けに、シュウが本気で笑っていない笑みを浮かべて答えると……。
奴はゆっくり俺の胸倉を放した。
「……さて、ここから先は私の仕事です。
ヴァロン、君はもう行きなさい。
待っている人が、いるでしょう?」
解放された俺を見て、シュウが言う。
「そうですよ!ヴァロン様!」
「これ、この辺りで一番近い港から出てる船のチケットです。早く行って下さい!」
レナとレイも船のチケットを渡しながら、呆然としている俺の背中を押す様に微笑んでくれた。
懐かしい雰囲気に、暖かい鼓動が帰ってくる。
……そうだ。
俺には、待っててくれてる人がいる。
その為に、今日まで真っ直ぐ走ってきたんだ。
愛おしい家族を思い浮かべて表情を緩ませる俺を、シュウがフワッと抱き締めて背中をポンポンッと叩く。
「よく頑張りましたね、ヴァロン。
任務、本当にお疲れ様でした」
いつもと変わらないその言葉に、強張っていた身体の力が抜けて、目が覚めたようにスッキリした。
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