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第12章 (2)モニカside

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〈回想〉
【モニカ15歳の夏/アルバートの別荘】

「……。
バロンはアカリ様の事が好きなの?」

嫌な表情一つせずに私の世話を焼いてくれるバロンに、直球な質問をぶつけた。
別に意地悪でも、だからどう、という気持ちがあった訳じゃない。

ただ、羨ましかった。
誰かを好きとか、誰かの特別になるとか……。

食事の席でのアカリとバロンを見た時に”お嬢様と召使い”という立場でありながら、2人の雰囲気は私が知る召使いとの関係とは明らかに違っていた。
柔らかくて、楽しそうで、素直にいいなって思ったの。

私には、分からない気持ち。


「モニカ様は、まだ恋をなさった事がないのですね?」

「!……え?」

心を覗かれたみたいでドキッとした。
驚く私を見つめる、バロンの優しい瞳。


いつもの私なら、普通の使用人になら……。
”馬鹿にしないで!”とか”無礼者!”って怒鳴りつけるところだったけど。
バロンの言葉には、素直になってしまった。


「……。
わからないもの……。
ねぇ、好きになるってどういう気持ち?」

「……」

「例えば、バロンはどんな女性が好き?
好きなタイプとかあるでしょ?」

普段、自分の家の使用人達には聞けない事。
バロンなら答えてくれる気がして、ついつい座っている椅子から身を乗り出して質問攻めにしてしまう。

……。
そんな私にバロンは真剣に答えてくれた。


「好きなタイプなんて、本当の恋には……。
きっとないんだと思います。」

「!……え?」

思い掛け無い返答に私は唖然。
すると、バロンはそんな私の前に屈んで目線を合わせながら言葉を続ける。
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