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第11章 (2)スズカside
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【スズカ18歳/アラン邸】
半年前に先代が亡くなって、跡を継いだアラン様が私達使用人の主人に代わった。
先代は人柄も温厚で使用人にも優しく、屋敷内の事には滅多に口を出さなかったけれど……。
アラン様に代わってからは激変。
少しでも粗相をすれば解雇。
笑みを浮かべていてもその瞳の奥は常に冷たく、自分にとって邪魔、必要ないと判断したものを容赦なく切り捨てていくアラン様。
そんな中で私は特別な事をする訳でもなく。
ただ、目立たない様に。
息を潜める様に奉公に励んでいた。
……。
そんなある日、アラン様がある人を連れて帰宅。
それがマオ様との出会いだった。
「初めまして、マオと言います。
アラン様の仕事を手伝う間、こちらにお世話になります。
どうぞよろしくお願いします」
広間に集められた使用人達の前に立って、マオ様は優しい笑顔と声で私達にそう言った。
不思議な人。
多分、みんながそう感じていた。
アラン様の親戚というだけあって髪の色も瞳の色も……。
姿はとても良くアラン様に似ている。
……けど。
マオ様を取り巻く雰囲気は全く違う。
優しい暖かい感じと黒ぶちの眼鏡を掛けたマオ様の姿に、きっと使用人のみんなが先代の主人を思い出しただろう。
「マオ、お前に専属の使用人を選ばせてやる。
さぁ、好みの女を選べ」
マオ様の挨拶で少し穏やかだった空気が、アラン様のその一言で曇る。
”好みの女を選べ”……。
アラン様にとって専属の使用人とは身の回りの世話は勿論、夜の相手。……夜伽を意味する。
半年前に先代が亡くなって、跡を継いだアラン様が私達使用人の主人に代わった。
先代は人柄も温厚で使用人にも優しく、屋敷内の事には滅多に口を出さなかったけれど……。
アラン様に代わってからは激変。
少しでも粗相をすれば解雇。
笑みを浮かべていてもその瞳の奥は常に冷たく、自分にとって邪魔、必要ないと判断したものを容赦なく切り捨てていくアラン様。
そんな中で私は特別な事をする訳でもなく。
ただ、目立たない様に。
息を潜める様に奉公に励んでいた。
……。
そんなある日、アラン様がある人を連れて帰宅。
それがマオ様との出会いだった。
「初めまして、マオと言います。
アラン様の仕事を手伝う間、こちらにお世話になります。
どうぞよろしくお願いします」
広間に集められた使用人達の前に立って、マオ様は優しい笑顔と声で私達にそう言った。
不思議な人。
多分、みんながそう感じていた。
アラン様の親戚というだけあって髪の色も瞳の色も……。
姿はとても良くアラン様に似ている。
……けど。
マオ様を取り巻く雰囲気は全く違う。
優しい暖かい感じと黒ぶちの眼鏡を掛けたマオ様の姿に、きっと使用人のみんなが先代の主人を思い出しただろう。
「マオ、お前に専属の使用人を選ばせてやる。
さぁ、好みの女を選べ」
マオ様の挨拶で少し穏やかだった空気が、アラン様のその一言で曇る。
”好みの女を選べ”……。
アラン様にとって専属の使用人とは身の回りの世話は勿論、夜の相手。……夜伽を意味する。
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