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第10章 (2)シュウside
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しおりを挟むどれ位振りだろうか?
普段私は帰りが遅いし……。
ホノカさんの言う事をしっかり聞くミライは、いつも私が帰宅する頃には夢の中。
久々に一緒にベッドに横になると、彼の成長を実感する。
少し前まで赤ちゃんだったのに、背も伸びて……。
よく女の子に間違われていた可愛い顔が、最近では少しずつ男らしい顔付きに変わってきた。
……特に、ヴァロンに弟子入りしてから。
立派な師匠との出会いがミライを明らかに変えてくれた。
見る人を惹き付けて、変える。
ヴァロンの不思議な魅力。
……。
またヴァロンの事を思い出してしまう。
そんな自分を振り払う様に、眼鏡を外し目を閉じると……。
横向きに寝転んだミライがじっと私を見ていた。
「?……どうしました?」
「ヴァロンさん。
夢の配達人辞めちゃうんですか?」
眠れないのかと気にかけようとした私に、ミライが言った。
「っ……」
ドキッと、した。
自分の心を、見透かされたのかと……驚いた。
ヴァロンの事でいっぱいな自分を……。
「ヴァロンさんが辞めちゃうから……。
お父さんはそんなに悲しそうなんだよね?」
「……っ」
ミライの問い掛けに、答えられない。
この子は、どう思っているんだろう?
こんな、汚い父親を……。
この子の瞳に、私は……。
どう映っているんだろうか……?
後ろめたい罪悪感と恐怖でいっぱいの、私。
ミライの純粋で綺麗な目を真っ直ぐ見る事が出来なくて……。
ギュッと目を閉じて俯くように目を逸らすと……。
「……。大丈夫だよ?」
そう優しい声を響かせながら、ミライが私を抱き締めるように寄り添ってきた。
っ……え?
驚いて目を開けると……。
小さな身体で、私を包むようにぎゅ~っと力を込めるミライが言葉を続ける。
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