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第10章 (1)シュウside
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しおりを挟む「……いいえ。
それは、絶対にあり得ないと思います」
首を横に振って、私は答える。
「私達は、私達だから一緒に居られた。
あの日この隠れ家で出会えて、たくさんの時間を共有出来たんだと思います」
私が私だから、ヴァロンがヴァロンだから共にいられた。
こんなにも君に惹かれて、特別だと思った。
同性だったから互いに見られた大切なものも、絶対にあった。
私のヴァロンへの想いは、性別でも、身体でも、見た目でもない。
ただ、愛している。
「……。
だよな!……俺も、そう思う」
私の返事を聞いて、一瞬無邪気に笑ったヴァロン。
けれど、すぐに気持ちを切り替えた様に姿勢を正すとスッと私に頭を下げた。
「必ず、ご期待に応える成果を上げてきます。
次期マスターの心遣いに恥じぬよう。
白金バッジの夢の配達人を汚さぬよう。
最高の仕事をして、戻ってきます」
ヴァロンの強い言葉。
その一言一言が、どんな告白よりも心に響いて……。
いつだって私の胸を震わせてくれる。
「楽しみにしてますよ。
君が見せてくれる終わらない夢」
私は席を立ってゆっくりと歩み寄ると、頭を下げているヴァロンの姿勢を持ち上げる様に抱き締めた。
「いってらっしゃい。ヴァロン」
「……おう。
いってくるわ、シュウ」
身体を離して目が合うと、意地悪そうに首を傾げて微笑むいつもの彼の姿。
これが、私とヴァロン。
これからも、この先も変わらない。
私の中でもやっと答えが、出た気がした。
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