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第7章 (2)ホノカside
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〈回想〉
22歳の時、ずっと大好きだった人との結婚が決まった。
……でもね、彼は知らない。
お見合いで結婚が決まった私達。
彼は私と見合いの席が初めての出会いだと、きっと思ってる。
私の父は夢の配達人だった。
あまり有名な人ではなかったけど、優しい父に連れられて私は子供の頃からよく隠れ家に来ていた。
その時に、いつも見ていたの。
広場で二人で組手をする、私よりも三つ年上のお兄さんを……。
私は運動音痴で消極的だから見ている事しか出来なかったけど、楽しそうに組手をする二人のお兄さんはキラキラと輝いて映った。
……特に、背の高い可愛いお兄さんの方。
優しい表情で、垂れ目の目を細めて、隣にいるお兄さんをいつも見つめているの。
その女の子みたいに可愛いお兄さんは、夢の配達人のマスターさんの息子さんで”シュウ”という名前だと父に聞いた。
隠れ家で何度かすれ違ったけど、シュウさんにとって私は全く気に止まらない存在。
挨拶はしてくれるけど、私は恥ずかしくていつも俯いて小さな声で挨拶を返すのがやっと。
何とか近付きたくて私も夢の配達人になろうと考えた事もあった。
でも、私には全然向いていなくて……。
そんな時に、事件が起こった。
シュウさんが重い病で、もう夢の配達人を続けるのが難しいと宣告されたと……。
噂を聞いた私は居ても立っても居られなくて……。
何を言うかなんて考えていなかったけど、シュウさんの病室を訪れようと駆け出した。
……でも、先客がいた。
いつもシュウさんの隣に居た、お兄さん。
病室に入れず二人の会話を立ち聞きしていた私。
22歳の時、ずっと大好きだった人との結婚が決まった。
……でもね、彼は知らない。
お見合いで結婚が決まった私達。
彼は私と見合いの席が初めての出会いだと、きっと思ってる。
私の父は夢の配達人だった。
あまり有名な人ではなかったけど、優しい父に連れられて私は子供の頃からよく隠れ家に来ていた。
その時に、いつも見ていたの。
広場で二人で組手をする、私よりも三つ年上のお兄さんを……。
私は運動音痴で消極的だから見ている事しか出来なかったけど、楽しそうに組手をする二人のお兄さんはキラキラと輝いて映った。
……特に、背の高い可愛いお兄さんの方。
優しい表情で、垂れ目の目を細めて、隣にいるお兄さんをいつも見つめているの。
その女の子みたいに可愛いお兄さんは、夢の配達人のマスターさんの息子さんで”シュウ”という名前だと父に聞いた。
隠れ家で何度かすれ違ったけど、シュウさんにとって私は全く気に止まらない存在。
挨拶はしてくれるけど、私は恥ずかしくていつも俯いて小さな声で挨拶を返すのがやっと。
何とか近付きたくて私も夢の配達人になろうと考えた事もあった。
でも、私には全然向いていなくて……。
そんな時に、事件が起こった。
シュウさんが重い病で、もう夢の配達人を続けるのが難しいと宣告されたと……。
噂を聞いた私は居ても立っても居られなくて……。
何を言うかなんて考えていなかったけど、シュウさんの病室を訪れようと駆け出した。
……でも、先客がいた。
いつもシュウさんの隣に居た、お兄さん。
病室に入れず二人の会話を立ち聞きしていた私。
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