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第6章 (3)ヴァロンside

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「……つれないね」

部屋を去ろうとする俺の背後に向かって、アランがフッと笑う。


「まあ、いいや。
ゲーム開始は8月15日。
契約期間楽しもうね?天才夢の配達人さん。
一緒に働けるの楽しみにしてるよ」

「…契約は守ってもらいます。
……。貴方が契約を破ったその時は……。
遠慮なく、手段を選ばず、あんたを消す」

俺は部屋から出て扉を閉めると、ズカズカと早足で廊下を駆け抜けてホテルを出た。


……。

「……ッ!!」

子供を産む道具?
アカリの事を何だと思ってやがるッ……!!

今にも溢れ出そうな感情を必死に抑えて、俺は心の中で叫ぶと頭を抱えて中庭にしゃがみ込んだ。
アカリを侮辱されて、物の様に言われた怒りに心と身体が震えてなかなか収まらない。

すると……。


「おにいちゃん、だいじょうぶ?」

「?っ……」

すぐ近くで、声がした。
ゆっくり顔を上げると、小さな女の子が俺を見ていた。

幼い頃に会った時のアカリと同じ位だろうか。
今にも泣きそうな、不安そうな表情。
その表情が、アカリと被って俺は目が逸らせなかった。


「これ、あげる!
げんき、だして。ね?」

そう言って、女の子は俺に包みに巻かれた飴を差し出してきた。


一瞬で、心が落ち着く。

不思議だ。
俺は女の子を安心させる様に、微笑っていた。


「……ありがとう」

小さな掌から飴を受け取ると、女の子は嬉しそうに微笑んで走り去って行った。
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