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第6章(2)アカリside
2-4
しおりを挟む私を離さないと。
誰にも渡さないと言ってくれた事。
自分にとって、私がいなくなる事が終わりだと……。
永遠の別れにしない為に、この先ずっと私と一緒に生きて行く為に相手の条件を飲んだのだと……。
「っ……ヴァロン……ッ」
”必ず、お前を守ってみせる。”……。
長期任務に込められた私への想い。
涙を流しながら俯く私の手に、いつの間にか近くに来ていたマスターさんが添えるように自分の手を置く。
「もっとヴァロンに甘えなさい。
今回の任務が嫌ならば、そう言っても構わん。
……その時は、ワシが何とかする」
暖かいマスターさんの言葉と手が、私を包んでくれた。
「二人でちゃんと話し合って決めなさい。
ワシの元で働く者達は部下であると同時に、子供同然じゃ。
……そして。
アカリさんはヴァロンの嫁であり、ギルの娘。
たくさん、幸せになってほしい」
優しい笑顔で見つめながら、私の手をギュッと握ってくれるマスターさん。
マスターさんは、この事を伝えに来てくれたんだ。
私の事を気遣って、気にかけてくれたんだ。
両親が亡くなって以来。
特にお父さんが亡くなって以来、甘える事が少なくなった。
大変なお母さんに迷惑をかけたくなくて、いつも笑顔でいた。
そんな私をたった数回しか会った事のないのに見抜いて、心配してくれたマスターさん。
なんて大きくて、暖かい人なんだろう。
これが、夢の配達人を束ねる人。
マスターさんの力。
ヴァロンやたくさんの配達人さんが慕う、マスターさんの魅力なんだ。
……
…………。
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