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第3章 (1)アカリside
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【自宅】
「すっかり遅くなっちゃった~。
急いで夕飯の支度しなきゃ!」
買い物をして帰宅すると、時間はもうすぐ18時になろうとしていた。
すぐに調理に取り掛かろうと流し場で手を洗うと、私はふと自分の左手の薬指に指輪を付けていない事に気付く。
「あ!いけない……。外したままだった」
仕事中に指輪を付けるのは禁止。
いつも職場に着いて着替えた時に外して、鞄の中にしまっている。
そして帰りに着替えたらすぐ付けるんだけど、今日はみんなに話し掛けられてすっかり忘れていた。
ヴァロンがくれた大切な結婚指輪。
実は世界に一つしかない、ヴァロンの手作り。
結婚してから一ヶ月位経ったある日。
舞い散る桜の下で、『遅れてごめん』って彼が私の指にはめてくれた。
仕事で忙しい合間に造ってくれた指輪。
唯一の、私達のお揃いの品。
本当は片時も離さず身に付けておきたい。
見ているだけで、付けているだけでまるでヴァロン自身のように私に元気をくれる。
早く付けようと、ウキウキしながら職場に持って行っている鞄を手に取り中を覗いた。
「……。
あれ?……え?っ……」
鞄の内ポケットを探る。
そこは、いつも指輪をしまう場所。
……。
しかし、ない。
「っ……うそ、でしょ?」
ドクンッと胸が締め付けられる。
確かに、今日もここに入れたはず。
私は慌てて、中身を全て出して鞄を逆さにして必死に探した。
制服や荷物と荷物の間を探り、お財布やポーチの中身も全て床の上に出す。
……けれど、ない。
どんなに探しても、ない。
「っ……な、なんで……ッ。
なんでっ、ないの……?」
ど、こっ……?
どこで、落としたんだろうっ……?
パニックになりながら、私は必死に自分の記憶を探る。
「すっかり遅くなっちゃった~。
急いで夕飯の支度しなきゃ!」
買い物をして帰宅すると、時間はもうすぐ18時になろうとしていた。
すぐに調理に取り掛かろうと流し場で手を洗うと、私はふと自分の左手の薬指に指輪を付けていない事に気付く。
「あ!いけない……。外したままだった」
仕事中に指輪を付けるのは禁止。
いつも職場に着いて着替えた時に外して、鞄の中にしまっている。
そして帰りに着替えたらすぐ付けるんだけど、今日はみんなに話し掛けられてすっかり忘れていた。
ヴァロンがくれた大切な結婚指輪。
実は世界に一つしかない、ヴァロンの手作り。
結婚してから一ヶ月位経ったある日。
舞い散る桜の下で、『遅れてごめん』って彼が私の指にはめてくれた。
仕事で忙しい合間に造ってくれた指輪。
唯一の、私達のお揃いの品。
本当は片時も離さず身に付けておきたい。
見ているだけで、付けているだけでまるでヴァロン自身のように私に元気をくれる。
早く付けようと、ウキウキしながら職場に持って行っている鞄を手に取り中を覗いた。
「……。
あれ?……え?っ……」
鞄の内ポケットを探る。
そこは、いつも指輪をしまう場所。
……。
しかし、ない。
「っ……うそ、でしょ?」
ドクンッと胸が締め付けられる。
確かに、今日もここに入れたはず。
私は慌てて、中身を全て出して鞄を逆さにして必死に探した。
制服や荷物と荷物の間を探り、お財布やポーチの中身も全て床の上に出す。
……けれど、ない。
どんなに探しても、ない。
「っ……な、なんで……ッ。
なんでっ、ないの……?」
ど、こっ……?
どこで、落としたんだろうっ……?
パニックになりながら、私は必死に自分の記憶を探る。
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