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第5章 増員です
第65話 知らない黒服の人達
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翌朝。俺は寝ぼけ眼を擦りながら、メマと共に出勤していた。昨日の疲れがあった所為か、1時間の遅刻である。
まぁ、店の責任者としては? 早く行き過ぎるのは、部下が気を遣い過ぎてしまう部分もあるだろうから、結果はオーライだ。うん。
自分で自分を納得させながら店へと向かう。
向かう途中のいつもとは違うウチの店まで舗装された道は、ゴミ1つ無く綺麗にされている。舗装横にあった草も短く切り揃えられていた。
「もしかして右京さんの弟子達がやってくれたのか?」
昨日今日でここまでやってくれるなんて、ありがたいな。
そんな事を思いながら敷地の入り口に来た時だった。
「ん?」
「だれあのひとたちー?」
数人、黒い服を着た人達が畑の周りで鍬を振っている……うん。誰も知らない人達だ。
俺達はその人達に近付くと、声を掛ける。
「あの~……」
「あ"ぁ?」
振り返った男の顔は、赤黒く腫れ上がっていた。まるで鞭打ちにでもあったのかと疑ってしまう見事なミミズ腫れだ。
「お前ら……この店に来たのか?」
「え、はい」
何なんだこの人達……?
「この店には入らない方が良い。飯は不味いし、立地を考えればガソリンも食う。態々此処に来る必要なんて絶対ないぜ」
「しかも! その中でも接客は最悪だったぜ! アイツらを雇った奴を疑う程だ!!」
「そう! 可愛い見た目に騙されるな!! 怪しい魔術も使って来る!!」
メニューでは枝豆と牛乳、屋台で出したずんだソフトクリームを新商品に店では出している。しかし、それ以外は普通の食べ物だ。飯が不味いと言われるのは悲しいが、それは人それぞれだ。
だけど接客が怪しい魔術を使って来る? とか、そんな事まで言われる程最悪だったのか……少し比奈に相談しておこう。
「そうなんですか。それはすみませんでした」
俺は素直に頭を下げた。
この人達が誰かは分からないが、相手がそう思ったのなら責任者としてちゃんと頭を下げなければならないだろう。
続いて、メマも真似して頭を下げている。いつまで経っても何も言ってこない男性達に、俺は顔を上げた。
「「「……ん?」」」
すると、何故か皆んな同じ様な表情で首を傾げている。
ーーこういうお客さんは少なからず居る。そんなんじゃ謝った内に入らない、もっと謝れって事なんだろう。
「本当に申し訳ありませんでした! この店の責任者として、必ず改善いたします!!」
『哲平様、何をしてらっしゃるのですか?』
俺がまた頭を下げていると、そこに指導者さんが現れる。
「おぉ来たか! 指導者さん、一緒に頭を下げてくれないか!?」
『………ごほん。取り敢えず話を聞きましょうか』
指導者さんは目を座らせながら、俺達を交互に見る。
お客様を待たせるのは良くない! 出来るだけ早く頭を下げて貰わないと!
「実はこの方達にご不快な対応をしてしまったみたいなんだ。だから指導者さん……」
『あぁ、なるほど……理解しました。此処は私に任せて店の方へと行って下さい』
「いや! 俺はこの店の責任者だぞ!? 俺が頭下げないで誰が下げるんだ!?」
俺は祭りで屋台を開いて、やっと店をやって行く覚悟が出来た。こういう所はしっかりやらないといけない!
『なら、それを言う前に開店時間に遅れないで下さい』
あ………はい。
『さ、早く店に行って下さい。責任者なら昨日来た方達とコミュニケーションを取って下さい。まだまともに話してないと聞きましたよ』
「あー……分かった。じゃあ此処は任せる」
『はい。お任せ下さい』
頭を下げて俺達を見送る指導者さん。その後ろの人達に俺は頭を下げながら店へと向かった。
『さぁ、覚悟は出来てますか?』
「「「ひいぃいぃぃぃぃっ!!??」」」
ん? 何で悲鳴が聞こえて来るんだ?
そう思ったが、時には部下を信じる事も大切だとこの前見たB級映画でやっていたので、心の中で指導者にエールを送りながら俺達は店内へと入って行くのだった。
まぁ、店の責任者としては? 早く行き過ぎるのは、部下が気を遣い過ぎてしまう部分もあるだろうから、結果はオーライだ。うん。
自分で自分を納得させながら店へと向かう。
向かう途中のいつもとは違うウチの店まで舗装された道は、ゴミ1つ無く綺麗にされている。舗装横にあった草も短く切り揃えられていた。
「もしかして右京さんの弟子達がやってくれたのか?」
昨日今日でここまでやってくれるなんて、ありがたいな。
そんな事を思いながら敷地の入り口に来た時だった。
「ん?」
「だれあのひとたちー?」
数人、黒い服を着た人達が畑の周りで鍬を振っている……うん。誰も知らない人達だ。
俺達はその人達に近付くと、声を掛ける。
「あの~……」
「あ"ぁ?」
振り返った男の顔は、赤黒く腫れ上がっていた。まるで鞭打ちにでもあったのかと疑ってしまう見事なミミズ腫れだ。
「お前ら……この店に来たのか?」
「え、はい」
何なんだこの人達……?
「この店には入らない方が良い。飯は不味いし、立地を考えればガソリンも食う。態々此処に来る必要なんて絶対ないぜ」
「しかも! その中でも接客は最悪だったぜ! アイツらを雇った奴を疑う程だ!!」
「そう! 可愛い見た目に騙されるな!! 怪しい魔術も使って来る!!」
メニューでは枝豆と牛乳、屋台で出したずんだソフトクリームを新商品に店では出している。しかし、それ以外は普通の食べ物だ。飯が不味いと言われるのは悲しいが、それは人それぞれだ。
だけど接客が怪しい魔術を使って来る? とか、そんな事まで言われる程最悪だったのか……少し比奈に相談しておこう。
「そうなんですか。それはすみませんでした」
俺は素直に頭を下げた。
この人達が誰かは分からないが、相手がそう思ったのなら責任者としてちゃんと頭を下げなければならないだろう。
続いて、メマも真似して頭を下げている。いつまで経っても何も言ってこない男性達に、俺は顔を上げた。
「「「……ん?」」」
すると、何故か皆んな同じ様な表情で首を傾げている。
ーーこういうお客さんは少なからず居る。そんなんじゃ謝った内に入らない、もっと謝れって事なんだろう。
「本当に申し訳ありませんでした! この店の責任者として、必ず改善いたします!!」
『哲平様、何をしてらっしゃるのですか?』
俺がまた頭を下げていると、そこに指導者さんが現れる。
「おぉ来たか! 指導者さん、一緒に頭を下げてくれないか!?」
『………ごほん。取り敢えず話を聞きましょうか』
指導者さんは目を座らせながら、俺達を交互に見る。
お客様を待たせるのは良くない! 出来るだけ早く頭を下げて貰わないと!
「実はこの方達にご不快な対応をしてしまったみたいなんだ。だから指導者さん……」
『あぁ、なるほど……理解しました。此処は私に任せて店の方へと行って下さい』
「いや! 俺はこの店の責任者だぞ!? 俺が頭下げないで誰が下げるんだ!?」
俺は祭りで屋台を開いて、やっと店をやって行く覚悟が出来た。こういう所はしっかりやらないといけない!
『なら、それを言う前に開店時間に遅れないで下さい』
あ………はい。
『さ、早く店に行って下さい。責任者なら昨日来た方達とコミュニケーションを取って下さい。まだまともに話してないと聞きましたよ』
「あー……分かった。じゃあ此処は任せる」
『はい。お任せ下さい』
頭を下げて俺達を見送る指導者さん。その後ろの人達に俺は頭を下げながら店へと向かった。
『さぁ、覚悟は出来てますか?』
「「「ひいぃいぃぃぃぃっ!!??」」」
ん? 何で悲鳴が聞こえて来るんだ?
そう思ったが、時には部下を信じる事も大切だとこの前見たB級映画でやっていたので、心の中で指導者にエールを送りながら俺達は店内へと入って行くのだった。
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