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第3章 魔王軍の綻び
第37話 カスイとアリシャの動向*
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「う~ん…此処にも居ないか~…あの子の事だから色々な所に行ける港の方が怪しいと思ってたんだけどな~」
魔王軍四天王であるカスイは、海の見える港町の高台にてそう呟いた。
彼女は魔王城から出ると、今問題となっている魔王城から西の紛争を収め、そこら一体の魔物の街を歩き回っていた。
「う~ん…東はアリシャが探しに行ってるだろうし…南は私だと蒸発しちゃうだろうしな~」
"アクアマーメイド"と言われる彼女の種族は、身体全体が水で出来ており、物理攻撃が効かないと言う特異な身体を持っていた。
変幻自在に変わるその身体はーー
「覚悟しろ魔王軍!!」
「はぁ、うるさいなぁ~」
ザンッ
振り向き様に振り抜かれた彼女の腕は、刃の様に薄く、鋭くなっていた。
その身体は時にナイフの様に変わり人を斬り付け、時にハンマーの様に変わり人を叩き潰す。
そんな特異な身体を持つ彼女は、武器の扱いにおいて右に出る者は居ないと呼ばれる程だった。
「エンペル~、何処に居るのよ~」
しかし身体が水と言えど、彼女の目からは水の様な物が流れた。
「ママは心配だよ~!!」
ある所では、何処か子供の様な叫び声が長く響いたと言う。
*
「ん? ルイエちゃんかい? 帰って来ておらんよ?」
「はぁー、あの子の事ですから祖母の家に帰ってきてると思ったんですが…」
魔王城から東、のほほんとした村の一角。大きな建物の中で、魔王軍、四天王のアリシャは顎に手を当てて大きく溜息を吐いていた。
「あら? ルイエちゃんどうかしたのかい?」
「えぇ、実は魔王様から追放されたみたいで…」
アリシャが落ち込みながら言うと、アリシャの母、"フローラ"はそれに目を細めた。
「…ほう? あの小童に?」
「えぇ、あのクソ野郎…おっと魔王様に」
「へぇ…そうかい。アンタはどんな対応するのか決めてんのかい? 決めてなければ私が…」
「いえ、まだどんな対応するかは決め兼ねていますが…大体は。なので手出しは無用です」
「楽しみにしてるよ」
「そうですね。綺麗な花束を魔王様に準備しておいて下さいください」
「「フフフフフフフ」」
ある所では、マダム達が穏やかな表情で穏やかじゃない会話をして盛り上がっていたと言う。
*
「「ハクシュンッ」」
「ん? どうした2人共? 風邪か?」
霊王の洞窟から少し歩いた吹雪の中、エンペル、ルイエが同時にくしゃみをする。
「…何でだろー…何か悪寒がしたよー…」
「……風邪かも」
うーん。結界の中だから寒くは無いはずだけど…本当に風邪かもしれないな。
「じゃあ散歩の途中だけど、エンペルとルイエは先に帰って早く風呂に入って"コタツ"でヌクヌクした方が良さそうだな」
「うんー…」
「良かった、今日は運動早く終わった」
俺が提案すると、2人は素直に頷くのだった。
魔王軍四天王であるカスイは、海の見える港町の高台にてそう呟いた。
彼女は魔王城から出ると、今問題となっている魔王城から西の紛争を収め、そこら一体の魔物の街を歩き回っていた。
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"アクアマーメイド"と言われる彼女の種族は、身体全体が水で出来ており、物理攻撃が効かないと言う特異な身体を持っていた。
変幻自在に変わるその身体はーー
「覚悟しろ魔王軍!!」
「はぁ、うるさいなぁ~」
ザンッ
振り向き様に振り抜かれた彼女の腕は、刃の様に薄く、鋭くなっていた。
その身体は時にナイフの様に変わり人を斬り付け、時にハンマーの様に変わり人を叩き潰す。
そんな特異な身体を持つ彼女は、武器の扱いにおいて右に出る者は居ないと呼ばれる程だった。
「エンペル~、何処に居るのよ~」
しかし身体が水と言えど、彼女の目からは水の様な物が流れた。
「ママは心配だよ~!!」
ある所では、何処か子供の様な叫び声が長く響いたと言う。
*
「ん? ルイエちゃんかい? 帰って来ておらんよ?」
「はぁー、あの子の事ですから祖母の家に帰ってきてると思ったんですが…」
魔王城から東、のほほんとした村の一角。大きな建物の中で、魔王軍、四天王のアリシャは顎に手を当てて大きく溜息を吐いていた。
「あら? ルイエちゃんどうかしたのかい?」
「えぇ、実は魔王様から追放されたみたいで…」
アリシャが落ち込みながら言うと、アリシャの母、"フローラ"はそれに目を細めた。
「…ほう? あの小童に?」
「えぇ、あのクソ野郎…おっと魔王様に」
「へぇ…そうかい。アンタはどんな対応するのか決めてんのかい? 決めてなければ私が…」
「いえ、まだどんな対応するかは決め兼ねていますが…大体は。なので手出しは無用です」
「楽しみにしてるよ」
「そうですね。綺麗な花束を魔王様に準備しておいて下さいください」
「「フフフフフフフ」」
ある所では、マダム達が穏やかな表情で穏やかじゃない会話をして盛り上がっていたと言う。
*
「「ハクシュンッ」」
「ん? どうした2人共? 風邪か?」
霊王の洞窟から少し歩いた吹雪の中、エンペル、ルイエが同時にくしゃみをする。
「…何でだろー…何か悪寒がしたよー…」
「……風邪かも」
うーん。結界の中だから寒くは無いはずだけど…本当に風邪かもしれないな。
「じゃあ散歩の途中だけど、エンペルとルイエは先に帰って早く風呂に入って"コタツ"でヌクヌクした方が良さそうだな」
「うんー…」
「良かった、今日は運動早く終わった」
俺が提案すると、2人は素直に頷くのだった。
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