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第2章.幻想
43.謁見
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「少々、此処でお待ちください。」
私達は今大きな扉の前にいた。扉の両脇には屈強な身体をした兵士が槍を構えている。
私の口の中は乾ききっていた。恐らく自分が思っている以上に緊張しているんだろう。
サキさんも大量の汗を流して、此処に来るまでもずっと無言だった。サキさんはもしかしたら私よりも緊張しているかも。
まぁ、現実では私よりも年下だから当たり前かもね。
「お待たせしました。ではお入り下さい。」
大きな扉が開かれる。扉が開かれると、強い風ざ吹いた気がした。私達はそれに目を瞑った。
目を開けると、そこにはとても大きな謁見の間が広がっていた。
上には大きなシャンデリア、赤絨毯が敷かれており、横には何百という兵士が並んでいた。
奥には玉座があった。王様はまだいない様だ。
ゴ、ゴクリ
私は自然に喉が鳴った。
私達は文官に促され、玉座の前にある階段の下まで行く。
そして跪き、頭を下げた。
「これから陛下が来られます。失礼なき様、よろしくお願い致します。」
文官はそう言うと、横にずれる。
コツ、コツ、コツ
階段の上から小気味良い音が聞こえてくる。
「面を上げよ。」
甲高い声が聞こえた。
私が顔を上げる。そこには私と同い年ぐらいの少女が玉座に座っていた。
私は目を見開いてしまう。
サキさんの方を向くと、私と同じように目を見開いて固まっている。
「そこまで驚くとはな。私がお前の様な幼な子で驚いたか?」
少女はクックックッと笑う。
いや、当たり前でしょ!! 王様が来るって言うから緊張してたのに。
こんな小学生みたいな女の子が来るなんて!!
「私の名は"ラスカ・ファン・ソシャール"! この古の王都 ソシャールの王である!」
…いやー、そこら辺にいる少女が頑張って偉そうにしている感が半端ない。
私が呆れた顔をしていたのだろう。少女が私を睨んでいる。
急いで私は顔を取り繕うが…。
「…そんなに王らしくなかったかのう?」
と額に血管を浮かばせながら言ってくる。
これって喋っていいのかな?
私は文官の方に目を向けると、文官は少しだが頷く。
ならいいか。
「まぁ、少し。」
私がそう言った瞬間、
「陛下になんて言う口の聞き方!!」
「口を慎め!!」
「不敬だぞ!!」
辺りから怒鳴り声が聞こえてくる。
え、言っていいんじゃないの?
うわー、サキさんとかめっちゃオロオロしてる。ごめんごめん。
「お主、名前は?」
「スプリングです。」
「そうか…。」
ラスカ陛下は玉座から立ち上がり、階段を降りて私の前まで来る。
「スプリング、もう膝をつかなくていい。」
ラスカ陛下が言う。
え? いいの? 私はもう1度文官の方を見る。
文官が頷く。
…じゃあいいか。
「今回はこのソシャールを救ってくれて感謝する。」
ラスカ陛下は私に頭を下げる。
「「「陛下! 何を!?」」」
周りの兵士や文官達が騒ぎ出す。
「スプリング。お前がどれだけ不敬な事を言ったとしても、このソシャールを救ってくれた事は確か。お主が居なかったらどうなっていたか…。」
頭を下げたまま言う姿は、先程名乗っていた時よりも大人びて見えた。
この年頃だとあんな事を言われたら怒る筈なのに…。本当にここの王様なんだ…。
「頭を上げてください。」
私が口角を上げて言うと、ラスカ陛下は頭を上げる。
「私がやりたかったからやっただけですので、気にしないでください。」
「ふふっ、まさかそう言って貰えるとはな。ありがたい。」
ラスカ陛下は笑って、頭を上げる。
「何か私にやって欲しい事はあるだろうか?」
ラスカ陛下は笑って私に聞いてくる。
んー、やって欲しい事か。
私はサキさんの方を見る。
何かサキさんあるかな? と私が見てみると、首が千切れんばかりに横に振る。
そこまでしなくても…。あ! じゃあ!
「今回、魔物が襲って来た理由とか分かりますか?」
黒霧と言っても恐らく分からない。恐らくこれは神の尖兵の固有名。魔物って言った方が…
「あぁ。黒霧の事か。」
ラスカ陛下はその事か、とでも言うように呟く。
「え!?」
何でそんな事を知ってるの!? ソフィアさんでもその名前は知らなかったのに!!
「ん? あぁ、黒霧は昔から私達の国に襲ってくるのだ。」
ラスカ陛下は私の顔を見て察し、当たり前かの様に言った。
私達は今大きな扉の前にいた。扉の両脇には屈強な身体をした兵士が槍を構えている。
私の口の中は乾ききっていた。恐らく自分が思っている以上に緊張しているんだろう。
サキさんも大量の汗を流して、此処に来るまでもずっと無言だった。サキさんはもしかしたら私よりも緊張しているかも。
まぁ、現実では私よりも年下だから当たり前かもね。
「お待たせしました。ではお入り下さい。」
大きな扉が開かれる。扉が開かれると、強い風ざ吹いた気がした。私達はそれに目を瞑った。
目を開けると、そこにはとても大きな謁見の間が広がっていた。
上には大きなシャンデリア、赤絨毯が敷かれており、横には何百という兵士が並んでいた。
奥には玉座があった。王様はまだいない様だ。
ゴ、ゴクリ
私は自然に喉が鳴った。
私達は文官に促され、玉座の前にある階段の下まで行く。
そして跪き、頭を下げた。
「これから陛下が来られます。失礼なき様、よろしくお願い致します。」
文官はそう言うと、横にずれる。
コツ、コツ、コツ
階段の上から小気味良い音が聞こえてくる。
「面を上げよ。」
甲高い声が聞こえた。
私が顔を上げる。そこには私と同い年ぐらいの少女が玉座に座っていた。
私は目を見開いてしまう。
サキさんの方を向くと、私と同じように目を見開いて固まっている。
「そこまで驚くとはな。私がお前の様な幼な子で驚いたか?」
少女はクックックッと笑う。
いや、当たり前でしょ!! 王様が来るって言うから緊張してたのに。
こんな小学生みたいな女の子が来るなんて!!
「私の名は"ラスカ・ファン・ソシャール"! この古の王都 ソシャールの王である!」
…いやー、そこら辺にいる少女が頑張って偉そうにしている感が半端ない。
私が呆れた顔をしていたのだろう。少女が私を睨んでいる。
急いで私は顔を取り繕うが…。
「…そんなに王らしくなかったかのう?」
と額に血管を浮かばせながら言ってくる。
これって喋っていいのかな?
私は文官の方に目を向けると、文官は少しだが頷く。
ならいいか。
「まぁ、少し。」
私がそう言った瞬間、
「陛下になんて言う口の聞き方!!」
「口を慎め!!」
「不敬だぞ!!」
辺りから怒鳴り声が聞こえてくる。
え、言っていいんじゃないの?
うわー、サキさんとかめっちゃオロオロしてる。ごめんごめん。
「お主、名前は?」
「スプリングです。」
「そうか…。」
ラスカ陛下は玉座から立ち上がり、階段を降りて私の前まで来る。
「スプリング、もう膝をつかなくていい。」
ラスカ陛下が言う。
え? いいの? 私はもう1度文官の方を見る。
文官が頷く。
…じゃあいいか。
「今回はこのソシャールを救ってくれて感謝する。」
ラスカ陛下は私に頭を下げる。
「「「陛下! 何を!?」」」
周りの兵士や文官達が騒ぎ出す。
「スプリング。お前がどれだけ不敬な事を言ったとしても、このソシャールを救ってくれた事は確か。お主が居なかったらどうなっていたか…。」
頭を下げたまま言う姿は、先程名乗っていた時よりも大人びて見えた。
この年頃だとあんな事を言われたら怒る筈なのに…。本当にここの王様なんだ…。
「頭を上げてください。」
私が口角を上げて言うと、ラスカ陛下は頭を上げる。
「私がやりたかったからやっただけですので、気にしないでください。」
「ふふっ、まさかそう言って貰えるとはな。ありがたい。」
ラスカ陛下は笑って、頭を上げる。
「何か私にやって欲しい事はあるだろうか?」
ラスカ陛下は笑って私に聞いてくる。
んー、やって欲しい事か。
私はサキさんの方を見る。
何かサキさんあるかな? と私が見てみると、首が千切れんばかりに横に振る。
そこまでしなくても…。あ! じゃあ!
「今回、魔物が襲って来た理由とか分かりますか?」
黒霧と言っても恐らく分からない。恐らくこれは神の尖兵の固有名。魔物って言った方が…
「あぁ。黒霧の事か。」
ラスカ陛下はその事か、とでも言うように呟く。
「え!?」
何でそんな事を知ってるの!? ソフィアさんでもその名前は知らなかったのに!!
「ん? あぁ、黒霧は昔から私達の国に襲ってくるのだ。」
ラスカ陛下は私の顔を見て察し、当たり前かの様に言った。
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