上 下
26 / 57
第2章.幻想

24.連携

しおりを挟む
 ~始まりの草原~

(ここが"始まりの草原"ですか~!)
 ソーマはキョロキョロしている、と思う。全面同じ形してるから分かりにくいけど…。


(此処でスプリングと初めてスライムを倒したんだよ!)
 ベリアルは胸を張ってソーマに自慢している。
 可愛い。


「よし!今日は積極的にスライムを倒していくよ~」
 と私が言った瞬間にスライムが草むらから出てきた。


 私は咄嗟に【影魔術】を使ってスライムを攻撃した。


 ザシュッ


 影はまさに風の様の速さで飛んでいき、スライムを真っ二つにした。


 〈経験値が上昇しました〉


「…。」


((…。))

 スライムを倒した後に3ギルが落ちる。
 そして一瞬辺りに静寂が訪れた。


「す、凄い…!」
【影魔術】を発動させてからのスピードが段違いに速くなってる!! Lv1の時と比べると操作性も上がって、Lv1の時よりも色んな事が出来そう!
 私が1人興奮していると、


(スプリング凄い!)
(スプリングさん凄いですね!)
 と2人が私に近寄ってくる。


「ふふっ、私ちょっとずつだけど強くなってるみたい!次は皆んなで戦ってみようね!」
 私は笑って2人にそう言うと、気合が入ったのか、2人は周囲の探索をさっきよりも念入りにやり始める。


(いました!)
 ソーマがそう言うとそこには、3匹のスライムがいた。私達はスライム達にバレない様に草むらの影に隠れる。


「よし。じゃあ今度は皆んなで連携してやってみよう。ソーマが【誘引】を使って相手を引き寄せて。その間に私達が攻撃するから。」


(分かった!)
(分かりました!)

 ソーマがスライムの真上の位置に行き、紫色に光る。それに気づいたスライム達はソーマの真下でピョンピョン跳ねている。

「よし!ベリアル行くよ!」

(うん!!)


 私達は草むらから飛び出した。ベリアルは三叉槍で。私は【影魔術】でスライムに攻撃した。
 私は手際良く、スライムを2体葬る。
 あと1体!そう思って、振り返った先にはベリアルとソーマが連携してスライムに攻撃を加えている光景があった。


 ベリアルが接近戦で三叉槍を振るう。そしてベリアルがスライムを弾き飛ばした瞬間に、ソーマが【火魔術】で火の玉をぶつけた。
 スライムがポリゴンとなり、消えていく。


 〈経験値が上昇しました〉
 〈ソーマのレベルが上昇しました。5ステータスポイントを獲得しました〉


 戦闘が終わった。ソーマのレベルが上がり、5ステータスポイントを貰った。
 …そういえばステータスポイント、私達割り振ってないじゃん。

 そう思った私はステータスのメニューを開いて、割り振る。



 名前: スプリング
 種族: 人間(炎に認められし者)
 レベル: 2
 職業:幻術師
 体力: 10
 SP:600 (+500)

 ステータス:
 力: 0 防御: 0 敏捷: 5    魔力: 245(+150)
 幸運: 5



 まぁ、ここまで来たら魔力特化で行こうかな。

 ベリアルのステータスも開いてと…。
「ベリアルは何のステータス伸ばしたい?」
 私が聞くとベリアルは、


(なんでも良いよ!!)
 元気よく答える。


 うーむ。そうきたか。
 ベリアルは基本槍で攻撃してるから、今回は力に割り振ろうかな。



 名前: ベリアル
 種族: インプ
 レベル: 2
 体力: 50
 SP:100

 ステータス:
 力: 10 防御: 0 敏捷: 5    魔力: 50 幸運: 0



(おー!なんか力がある?)
 ベリアルは力こぶのポーズをきめていた。


 あとは…ソーマのステータスか。本当は良いところである、魔力を上げるべきなんだろうけど…。
 私は敏捷にポイントを振った。



 名前: ソーマ
 種族: 魂
 レベル: 2
 体力: 30
 SP:100

 ステータス:
 力: 0 防御: 0 敏捷: 35    魔力: 50 幸運: 0



 ソーマは基本相手を引きつける役。なら攻撃される可能性は高くなる。なら敏捷は上げておいて損はないはず。


「…よし!」
 ステ振りが終わった私は、またベリアル達に探索をお願いしてスライムの討伐を続けた。




 ~冒険者ギルド~


「スライムの討伐をしてきました。」
 私は冒険証を受付嬢に渡す。


「は、はい。」
 受付嬢の笑顔が引き攣っている。…まだ依頼をお願いした時の引き摺ってるの?
 私から冒険証を貰うと、それを機械に入れる。


「え!?」
 受付嬢が大きな声をあげる。私の後ろに並んでいる男2人組が

「なんだなんだ?」
「どうした?」
 と覗いてくる。


「そういうのは良くないと思うなぁ。」
 と私が後ろを睨むと2人は即座に目を逸らした。


「あ、えっと、スライム100匹の討伐を確認しました。こちらが報酬の50000ギルになります。」

 机の上にドンッという音を立てて、50000ギル渡される。


 …私達ってこんなにスライム倒してたんだ。私はビックリして反応ができなかった。


「あ、あの…まだ何か…」
 受付嬢が涙目で話しかけてくる。


「あ、ごめんなさい。大丈夫です。ありがとうございます。」
 私はそう言うと報酬を貰い、ギルドから出た。





 ~まんぷく亭~

「美味しいね!」

((美味しい!))


 私達はまんぷく亭に来ていた。何故来たかと言うと、ソーマの歓迎会だ。ソーマは何を食べているかと言うと、"うどん"を食べていた。なんか意外だ。
 そして私達は周りからの謎の視線を送られているが全無視をきめている。食べづら過ぎる。


「あれ?スプリングじゃない、久しぶりね。」
 そう話しかけてきたのは、私のフレンドのサキさんである。

「お久しぶりです!」


「今日はちゃんとお金あるの~?」
 とニヤニヤしながら聞いてくる。この前此処で食べた後にお金がない事に気づいたからからかってきてるんだ。


「あ、ありますよ!」
 私は自信満々に50300ギルを袋から出す。


「うぉっ!? 何この金額!?」
 と驚いた表情を浮かべる。


「ふっふっふっ、スライムを倒して手に入れました。」
 私はドヤ顔でサキさんに自慢する。


「スライムだけで!?」


「はい。100匹倒してきました!」
 後ろに倒れてしまうんじゃないかと言うほどに、無い胸を必死に突き出す。


「くっ…!す、凄いじゃない。」
 サキさんは胸を抑える。また具合が悪そうだ。


「レベルも上がりましたよ!」
 鼻がとんがってきたのではないかと心配になるほどに、私は自慢を続ける。ちなみにこれが今の私達のステータスである。





 名前: スプリング
 種族: 人間(炎に認められし者)
 レベル: 5
 職業:幻術師
 体力: 10
 SP:600 (+500)

 ステータス:
 力: 0 防御: 0 敏捷: 5    魔力: 260(+150)
 幸運: 5

 状態: 普通

 スキル
 【魔力制御】Lv3 up
 【影魔術】Lv3 up
 【光魔術】Lv1 
 【鑑定】Lv2
 【浮遊】Lv1 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前: ベリアル
 種族: インプ
 レベル: 7
 体力: 50
 SP:100

 ステータス:
 力: 30 防御: 0 敏捷: 10    魔力: 50 幸運: 0

 状態: 普通

 親交度:50

 スキル
 【魔力制御】Lv1 
 【闇魔術】Lv1
 【いたずら】Lv1

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前: ソーマ
 種族: 魂
 レベル: 7
 体力: 30
 SP:100

 ステータス:
 力: 0 防御: 0 敏捷: 50    魔力: 60 幸運: 0

 状態: 普通

 親交度:20

 スキル
 【浮遊】Lv2 up
 【火魔術】Lv2 up
 【誘引】Lv2 up




 私は変わらず魔力特化。ベリアルは力に20 敏捷に5を振った。ソーマは敏捷に15 魔力に10振った。
 ベリアルのスキルレベルは上がってないが、ステータスが増えて戦闘時間が短くなった。
 ソーマは敏捷が上がって、探索の時間が短くなった。


「はえー。頑張ってるねぇ。もしかしてイベントの為?」
 サキさんは私達と同じ席に座る。


「イベント?」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

私の召喚獣が、どう考えてもファンタジーじゃないんですけど? 〜もふもふ? いいえ……カッチカチです!〜

空クジラ
SF
 愛犬の死をキッカケに、最新VRMMOをはじめた女子高生 犬飼 鈴 (いぬかい すず)は、ゲーム内でも最弱お荷物と名高い不遇職『召喚士』を選んでしまった。  右も左も分からぬまま、始まるチュートリアル……だが戦いの最中、召喚スキルを使った鈴に奇跡が起こる。  ご主人様のピンチに、死んだはずの愛犬コタロウが召喚されたのだ! 「この声? まさかコタロウ! ……なの?」 「ワン」  召喚された愛犬は、明らかにファンタジーをぶっちぎる姿に変わり果てていた。  これはどこからどう見ても犬ではないが、ご主人様を守るために転生した犬(?)と、お荷物職業とバカにされながらも、いつの間にか世界を救っていた主人公との、愛と笑いとツッコミの……ほのぼの物語である。  注意:この物語にモフモフ要素はありません。カッチカチ要素満載です! 口に物を入れながらお読みにならないよう、ご注意ください。  この小説は『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

処理中です...