18 / 57
第1章.始まり
16.宝玉
しおりを挟む
なんだろう? これ?
私は【鑑定】を発動させてみる。
???
それは?としかでなかった。
それは私の拳の大きさと同じくらいだった。ゲームの中の私の拳の大きさと同じくらいって事は大分小さい。
私がその黒いモヤに触ろうとすると、それは動き出す。
「うわっ!!」
私が手を引っ込めると、それは私の目の高さまで浮かび上がる。
それは明滅しながら移動して、人骨が大量にある所で止まった。
それは細かく明滅する、まるで、此処とでも言う様に。
手がかりが何もない私達は、それに縋るしかなかった。
それが止まった真下の人骨を寄せていく。そこにはボロボロになった紙があった。
カサカサ
私はその紙を手に取る。
「……メモ?」
その紙には殴り書きされた様な文字で、
"あの 切 者を絶対に す !! アイツのせいで俺達は…もう 間 ない。誰でもいい…街を救ってくれ"
所々ボロボロになっているその紙からは、とてつもない怨念と切実な願いがこもっている様な気がした。
「これは…。」
(スプリング、悲しいの?)
「え? なんで?」
(だって泣いてるよ?)
「あ…。」
私は、顔に触れると涙が溢れている事に気づいた。
(よしよし。)
ベリアルが私の頭を撫でてくる。
私はベリアルにされるがままに撫で続けられる。
(そんなに悲しかった?)
「少しね…。裏切られるって辛い事だから。」
私がそう言うと、黒いモヤが私の目の前に来て、ゆっくりと明滅する。
「ははっ、どうしたの?」
私は黒いモヤに触れてみる。
冷たい…。この子はなんなんだろう。どういう存在で、どうして此処にいて、何をしたいんだろう。疑問が尽きなかった。
黒いモヤが動き、私達が降りてきた階段を登る。
私は持っていたメモを急いでポケットに入れ、追いかける。
黒いモヤの周りだけがボンヤリと光り、手探りで降りてきた階段が、今では薄っすらと見える。
「もしかして、私達が登りやすい様に?」
私は黒いモヤに言うと、恥ずかしそうに少し明滅する。
恥ずかしがり屋さんなのかな?可愛いなぁと思っていると、服の裾を引っ張られる。
「……。」
そこには膨れっ面になってるベリアルが。
可愛い。尊びます、私。
私は、自然と手を合掌してしまう。
前には恥ずかしがり屋さん。後ろには嫉妬しているベリアル。
はぁっ! これがずっと続けば良いのに!!
私がそう思ってると、あっという間に地上まで着いた。
(着いたねー。)
ベリアルは私の服はグイグイ引っ張る。
黒いモヤは私の頭の周りをグルグルと回る。
「……。」
悪くない。けど、
「はい! 2人ともストップ! これは後でお願い! 今はこの街に何が起きたのか知りたいの!」
私がそう言うと、2人は動きをピタッと止めた。
(うー。わかった。)
黒いモヤも明滅している。
どうやら返事をしている様だ。
私は2人を落ち着かせると家から出た。
「何処に行けば良いか分かる?」
私は黒いモヤに話しかける。
この子はこのメモの場所を教えてくれた。他の手がかりも何か知っている筈。
私はそう予想し、黒いモヤの返事を待った。
明滅する。
黒いモヤは明滅すると、この街の奥へと進んでいく。
「ベリアル行くよ。」
(うん!)
私達は街の奥へと進む。
するとそこには、始まりの街アバールにもあった様な教会が。しかし壁は剥がれ、所々天井も抜け落ちていた。
黒いモヤは、その教会に入ると激しく明滅すると、すごい速さで教会の奥へと行ってしまった。
私達もすぐそれを追いかける。そこには3つの大人の人骨があった。
黒いモヤは、その近くでしばらく明滅すると教会の奥の中央にある祭壇に行き、明滅した。
石造りの祭壇の上には、ドス黒い球状のガラスの玉の様な物があった。私は【鑑定】を発動させた。
▲ユニークアイテム
『混沌の宝玉』
5大闇宝具と言われており、宝玉の中に混沌が秘められている。これを手にした者にはあらゆる災いが起きると言われている。
…。
触ろうとしていた手を止める。
「あっぶねー!!」
私は触ろうとしてた手を急いで引っ込めた。
なんでこんな危ない物がこんな所に!?
私は黒いモヤを見て、目で訴える。
黒いモヤは、私を見た?後に『混沌の宝玉』の近くで明滅する。
…何。
明滅する。
触れって?
明滅する。
………。
明滅する。
「…やってやろうじゃない!! このゲームをなんでやってると思ってんのよ!」
私は手を『混沌の宝玉』に近づけ、触れる。
(スプリング! 無理しちゃダメ!)
私が宝玉に触れた瞬間、ベリアルも宝玉に突っ込んだ。
私達は宝玉に飲み込まれた。
教会に残されたのは黒いモヤだけ。
(……頑張って。)
教会に優しい少年の声が響いた。
私は【鑑定】を発動させてみる。
???
それは?としかでなかった。
それは私の拳の大きさと同じくらいだった。ゲームの中の私の拳の大きさと同じくらいって事は大分小さい。
私がその黒いモヤに触ろうとすると、それは動き出す。
「うわっ!!」
私が手を引っ込めると、それは私の目の高さまで浮かび上がる。
それは明滅しながら移動して、人骨が大量にある所で止まった。
それは細かく明滅する、まるで、此処とでも言う様に。
手がかりが何もない私達は、それに縋るしかなかった。
それが止まった真下の人骨を寄せていく。そこにはボロボロになった紙があった。
カサカサ
私はその紙を手に取る。
「……メモ?」
その紙には殴り書きされた様な文字で、
"あの 切 者を絶対に す !! アイツのせいで俺達は…もう 間 ない。誰でもいい…街を救ってくれ"
所々ボロボロになっているその紙からは、とてつもない怨念と切実な願いがこもっている様な気がした。
「これは…。」
(スプリング、悲しいの?)
「え? なんで?」
(だって泣いてるよ?)
「あ…。」
私は、顔に触れると涙が溢れている事に気づいた。
(よしよし。)
ベリアルが私の頭を撫でてくる。
私はベリアルにされるがままに撫で続けられる。
(そんなに悲しかった?)
「少しね…。裏切られるって辛い事だから。」
私がそう言うと、黒いモヤが私の目の前に来て、ゆっくりと明滅する。
「ははっ、どうしたの?」
私は黒いモヤに触れてみる。
冷たい…。この子はなんなんだろう。どういう存在で、どうして此処にいて、何をしたいんだろう。疑問が尽きなかった。
黒いモヤが動き、私達が降りてきた階段を登る。
私は持っていたメモを急いでポケットに入れ、追いかける。
黒いモヤの周りだけがボンヤリと光り、手探りで降りてきた階段が、今では薄っすらと見える。
「もしかして、私達が登りやすい様に?」
私は黒いモヤに言うと、恥ずかしそうに少し明滅する。
恥ずかしがり屋さんなのかな?可愛いなぁと思っていると、服の裾を引っ張られる。
「……。」
そこには膨れっ面になってるベリアルが。
可愛い。尊びます、私。
私は、自然と手を合掌してしまう。
前には恥ずかしがり屋さん。後ろには嫉妬しているベリアル。
はぁっ! これがずっと続けば良いのに!!
私がそう思ってると、あっという間に地上まで着いた。
(着いたねー。)
ベリアルは私の服はグイグイ引っ張る。
黒いモヤは私の頭の周りをグルグルと回る。
「……。」
悪くない。けど、
「はい! 2人ともストップ! これは後でお願い! 今はこの街に何が起きたのか知りたいの!」
私がそう言うと、2人は動きをピタッと止めた。
(うー。わかった。)
黒いモヤも明滅している。
どうやら返事をしている様だ。
私は2人を落ち着かせると家から出た。
「何処に行けば良いか分かる?」
私は黒いモヤに話しかける。
この子はこのメモの場所を教えてくれた。他の手がかりも何か知っている筈。
私はそう予想し、黒いモヤの返事を待った。
明滅する。
黒いモヤは明滅すると、この街の奥へと進んでいく。
「ベリアル行くよ。」
(うん!)
私達は街の奥へと進む。
するとそこには、始まりの街アバールにもあった様な教会が。しかし壁は剥がれ、所々天井も抜け落ちていた。
黒いモヤは、その教会に入ると激しく明滅すると、すごい速さで教会の奥へと行ってしまった。
私達もすぐそれを追いかける。そこには3つの大人の人骨があった。
黒いモヤは、その近くでしばらく明滅すると教会の奥の中央にある祭壇に行き、明滅した。
石造りの祭壇の上には、ドス黒い球状のガラスの玉の様な物があった。私は【鑑定】を発動させた。
▲ユニークアイテム
『混沌の宝玉』
5大闇宝具と言われており、宝玉の中に混沌が秘められている。これを手にした者にはあらゆる災いが起きると言われている。
…。
触ろうとしていた手を止める。
「あっぶねー!!」
私は触ろうとしてた手を急いで引っ込めた。
なんでこんな危ない物がこんな所に!?
私は黒いモヤを見て、目で訴える。
黒いモヤは、私を見た?後に『混沌の宝玉』の近くで明滅する。
…何。
明滅する。
触れって?
明滅する。
………。
明滅する。
「…やってやろうじゃない!! このゲームをなんでやってると思ってんのよ!」
私は手を『混沌の宝玉』に近づけ、触れる。
(スプリング! 無理しちゃダメ!)
私が宝玉に触れた瞬間、ベリアルも宝玉に突っ込んだ。
私達は宝玉に飲み込まれた。
教会に残されたのは黒いモヤだけ。
(……頑張って。)
教会に優しい少年の声が響いた。
0
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
俺は異端児生活を楽しめているのか(日常からの脱出)
れ
SF
学園ラブコメ?異端児の物語です。書くの初めてですが頑張って書いていきます。SFとラブコメが混ざった感じの小説になっております。
主人公☆は人の気持ちが分かり、青春出来ない体質になってしまった、
それを治すために色々な人が関わって異能に目覚めたり青春を出来るのか?が醍醐味な小説です。
Infinite possibility online~ノット暗殺職だけど、気にせず依頼で暗殺中!
Ryo
SF
暗殺一家の長女の黒椏冥(くろあめい)は、ある日、黒椏家の大黒柱の父に、自分で仕事を探し出してこそ一流だと一人暮らしを強要される。
どうやって暗殺の依頼を受けたらいいのかと悩んでいたが、そんな中とあるゲームを見つける。
そのゲームは何もかもが自由自在に遊ぶことが出来るゲームだった。
例えば暗殺業なんかもできるほどに・・・
これはとあるゲームを見つけた黒椏家最強の暗殺者がそのゲーム内で、現実で鍛え上げた暗殺技術を振るいまくる物語である。
※更新は不定期です。あらかじめご容赦ください
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
トライアルズアンドエラーズ
中谷干
SF
「シンギュラリティ」という言葉が陳腐になるほどにはAIが進化した、遠からぬ未来。
特別な頭脳を持つ少女ナオは、アンドロイド破壊事件の調査をきっかけに、様々な人の願いや試行に巻き込まれていく。
未来社会で起こる多様な事件に、彼女はどう対峙し、何に挑み、どこへ向かうのか――
※少々残酷なシーンがありますので苦手な方はご注意ください。
※この小説は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、エブリスタ、novelup、novel days、nola novelで同時公開されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる