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第1章.始まり
6.幻術
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「大器晩成型?」
私はソフィアさんの言葉を自然に復唱していた。
「そうさね、まず他の魔法を覚えないと幻術は使えない。だから幻術師は不遇職として見られやすい。」
「なるほど…他の魔法というのは何の魔法を覚えればいいんですか?」
幻術師になったからには絶対に幻術使えるようになってやる!そう思っていた。
「全部さね。」
「え…」
咄嗟に言葉が出ず、固まる。
「全部覚えれば、幻術の効果は上がる。まぁ、まずは光魔術を覚えればいいさね。」
ソフィアさんはキッチンに行き、茶葉の入ったティーポットを持ってきた。
「光魔術を覚えれば幻術は使えるんですか?」
「覚えたからと言って幻術を使える訳ではないよ。幻術を使うためには、複数の魔術を同時に使う訳だからね。こんな風に。」
ソフィアさんは空中で火と水を出すと、それを合わせて水をお湯にした。お湯にした物を少しずつ、ティーポットへ入れていく。
「すごい…。でも、他の魔術が使えるなら皆んな幻術師になれば良いのに…。」
「他の魔術が使えるからと言っても、他の職業の属性魔術師と同じぐらい使えるという訳ではないのさ。」
「属性魔術師?」
私は首を傾ける。
「アンタは…属性魔術師ってのも分からないのかい…。属性魔術師ってのは、それぞれの属性を極める事ができる職業だよ。」
ソフィアさんは呆れながら言う。
「その属性ってのは、何があるんですか?」
私が聞くと
「火、水、地、風、光、闇、影の7つさね。この7つを覚えれば最強の幻術師になれるよ。」
「てことは、ソフィアさんは全部覚えてるんですか!?」
「残念ながら、あと地、闇、風が覚えられてないね。この歳になっても、ここまでしか覚えれなかったんだ。もう死ぬのも近いし、私は全部覚えるのを諦めて未来に託すことにしたのさ。」
ソフィアさんは、少し哀愁を漂わせながら言った。
「そうなんですか…。じゃあ私は全部覚えてみせますよ!」
「フフフッ、全部覚えるにはアンタの運の良さも必要さね。頑張りな。」
ソフィアさんはそう笑いながらも、私にエールを送ってくれた。
「あと、アンタが光魔術を覚えたいって時には私を頼りな。全部を教えるのはアンタのためにはならないからやらないが、もう最低限の魔術だけは教えてやるよ。あとは…これだ。」
ソフィアさんはそう言うと、本を取り出した。
「なんですか?これは?」
私はそれを受け取り【鑑定】した。
▲ユニークアイテム
『混迷の幻惑書』
この本には影の大精霊が宿っており、誰かを待っているかのように紫色に物寂しく輝く。使用者がこの本に適する程、本の輝きは増し、使用者を認めると、大精霊が力を貸すと言われている。
SP+500 魔力+150 譲渡不可
すごいチートアイテム!?
「こんなのどうするんですか!?」
私が聞くと
「はぁ?アンタにやるのさ。」
カップに紅茶を入れながら言う。
「はぁっ!?」
私は思わず立ち上がる。
「私の弟子になるんだ。それぐらいの装備を持ってもらわないとと困るよ。」
ソフィアさんは紅茶を飲む。
いやいやいや! どう言う事!? この人なんでこんな強い装備持ってるの!?
「いらないって言うなら、いいけどね。」
「いいい、いります! ありがとうございます!!」
私はその本を急いで抱え込み、頭を下げる。
「さて…まぁ、今日のとこはもう良いさね。ここにいるから分からないだろうけど、もう大分時間が経ってる。さっさと帰りな。」
「私はまだ居ても
「アンタが壊した門も直さないといけないしね。」
「失礼します! 師匠!」
私は深く頭を下げて、扉を開けて外に出る。
「あ! 待ちな! これを持ってきな!」
ソフィアさんは私にバッジを投げ渡した。
「これは?」
「アンタの目。見たところ、炎に認められし子だね。これはあって損はない筈だよ。」
『幻術破りのバッジ』
ソフィアによって作られたバッジ。パートナー専用。パートナーに付けると幻術に掛からなくなる。禍々しい髑髏の様な見た目をしている。
幻術無効
おぉ!! これは!!
「絶対に必要です! ありがとうございます!」
私はお礼を言う。
「ここに来たい時は同じように路地裏に来な! アンタにはここの出入りを自由にしとく!」
ソフィアさんは大きな声で叫ぶ。
その瞬間にソフィアさんの家が消えて、元にいた路地裏に帰ってくる。その瞬間、
『ユニーククエスト:ソフィアの試練がクリアされました。ユニーククエストが初めてクリアされました。クリアした人物には称号『初ユニーク攻略者』を贈与します。』
『ユニークアイテムを初めて手に入れました。手に入れた人物には称号『初ユニークを手にする者』を贈与します。』
え、なんかめっちゃ頭に声が響いてるんですけど。
私がそう思っていると、道の方から
「マジか!」
「嘘でしょ!?」
「誰がやったんだ!?」
と言う声が聞こえてきた。なるほど、今のは皆んなにも聞こえてたんだ。
すると、
(スプリング~!! どこ行ってたの!!)
「ぶへぇっ!!」
ベリアルが私の顔面にタックルを決めてくる。
「ご、ごめんね?ベリアル。大丈夫だった?」
(大丈夫じゃないよ~! なんか大勢ここに人来たんだよ!! 俺は高く飛んでてバレなかったけど…。こわかった。)
「ご、ごめん!!お詫びと言っていいか分からないけど…これあげるから許して? 」
私はソフィアさんからもらった『幻術破りのバッジ』をベリアルへ付けてあげる。
(………。)
ベリアルは自分の胸に付いたバッジを見ている。
「えーと、どうかな?」
(…カッコいい!! スプリングすごい!!)
ベリアルははしゃいで、私の周りを飛び回る。
「よ、良かった…。」
たまたま貰った奴だけど…なんか罪悪感が…。
ユニーククエストやらユニークアイテムやらで浮かれてた私は、突然の罪悪感に襲われセーブしてすぐにゲームから出た。
私はソフィアさんの言葉を自然に復唱していた。
「そうさね、まず他の魔法を覚えないと幻術は使えない。だから幻術師は不遇職として見られやすい。」
「なるほど…他の魔法というのは何の魔法を覚えればいいんですか?」
幻術師になったからには絶対に幻術使えるようになってやる!そう思っていた。
「全部さね。」
「え…」
咄嗟に言葉が出ず、固まる。
「全部覚えれば、幻術の効果は上がる。まぁ、まずは光魔術を覚えればいいさね。」
ソフィアさんはキッチンに行き、茶葉の入ったティーポットを持ってきた。
「光魔術を覚えれば幻術は使えるんですか?」
「覚えたからと言って幻術を使える訳ではないよ。幻術を使うためには、複数の魔術を同時に使う訳だからね。こんな風に。」
ソフィアさんは空中で火と水を出すと、それを合わせて水をお湯にした。お湯にした物を少しずつ、ティーポットへ入れていく。
「すごい…。でも、他の魔術が使えるなら皆んな幻術師になれば良いのに…。」
「他の魔術が使えるからと言っても、他の職業の属性魔術師と同じぐらい使えるという訳ではないのさ。」
「属性魔術師?」
私は首を傾ける。
「アンタは…属性魔術師ってのも分からないのかい…。属性魔術師ってのは、それぞれの属性を極める事ができる職業だよ。」
ソフィアさんは呆れながら言う。
「その属性ってのは、何があるんですか?」
私が聞くと
「火、水、地、風、光、闇、影の7つさね。この7つを覚えれば最強の幻術師になれるよ。」
「てことは、ソフィアさんは全部覚えてるんですか!?」
「残念ながら、あと地、闇、風が覚えられてないね。この歳になっても、ここまでしか覚えれなかったんだ。もう死ぬのも近いし、私は全部覚えるのを諦めて未来に託すことにしたのさ。」
ソフィアさんは、少し哀愁を漂わせながら言った。
「そうなんですか…。じゃあ私は全部覚えてみせますよ!」
「フフフッ、全部覚えるにはアンタの運の良さも必要さね。頑張りな。」
ソフィアさんはそう笑いながらも、私にエールを送ってくれた。
「あと、アンタが光魔術を覚えたいって時には私を頼りな。全部を教えるのはアンタのためにはならないからやらないが、もう最低限の魔術だけは教えてやるよ。あとは…これだ。」
ソフィアさんはそう言うと、本を取り出した。
「なんですか?これは?」
私はそれを受け取り【鑑定】した。
▲ユニークアイテム
『混迷の幻惑書』
この本には影の大精霊が宿っており、誰かを待っているかのように紫色に物寂しく輝く。使用者がこの本に適する程、本の輝きは増し、使用者を認めると、大精霊が力を貸すと言われている。
SP+500 魔力+150 譲渡不可
すごいチートアイテム!?
「こんなのどうするんですか!?」
私が聞くと
「はぁ?アンタにやるのさ。」
カップに紅茶を入れながら言う。
「はぁっ!?」
私は思わず立ち上がる。
「私の弟子になるんだ。それぐらいの装備を持ってもらわないとと困るよ。」
ソフィアさんは紅茶を飲む。
いやいやいや! どう言う事!? この人なんでこんな強い装備持ってるの!?
「いらないって言うなら、いいけどね。」
「いいい、いります! ありがとうございます!!」
私はその本を急いで抱え込み、頭を下げる。
「さて…まぁ、今日のとこはもう良いさね。ここにいるから分からないだろうけど、もう大分時間が経ってる。さっさと帰りな。」
「私はまだ居ても
「アンタが壊した門も直さないといけないしね。」
「失礼します! 師匠!」
私は深く頭を下げて、扉を開けて外に出る。
「あ! 待ちな! これを持ってきな!」
ソフィアさんは私にバッジを投げ渡した。
「これは?」
「アンタの目。見たところ、炎に認められし子だね。これはあって損はない筈だよ。」
『幻術破りのバッジ』
ソフィアによって作られたバッジ。パートナー専用。パートナーに付けると幻術に掛からなくなる。禍々しい髑髏の様な見た目をしている。
幻術無効
おぉ!! これは!!
「絶対に必要です! ありがとうございます!」
私はお礼を言う。
「ここに来たい時は同じように路地裏に来な! アンタにはここの出入りを自由にしとく!」
ソフィアさんは大きな声で叫ぶ。
その瞬間にソフィアさんの家が消えて、元にいた路地裏に帰ってくる。その瞬間、
『ユニーククエスト:ソフィアの試練がクリアされました。ユニーククエストが初めてクリアされました。クリアした人物には称号『初ユニーク攻略者』を贈与します。』
『ユニークアイテムを初めて手に入れました。手に入れた人物には称号『初ユニークを手にする者』を贈与します。』
え、なんかめっちゃ頭に声が響いてるんですけど。
私がそう思っていると、道の方から
「マジか!」
「嘘でしょ!?」
「誰がやったんだ!?」
と言う声が聞こえてきた。なるほど、今のは皆んなにも聞こえてたんだ。
すると、
(スプリング~!! どこ行ってたの!!)
「ぶへぇっ!!」
ベリアルが私の顔面にタックルを決めてくる。
「ご、ごめんね?ベリアル。大丈夫だった?」
(大丈夫じゃないよ~! なんか大勢ここに人来たんだよ!! 俺は高く飛んでてバレなかったけど…。こわかった。)
「ご、ごめん!!お詫びと言っていいか分からないけど…これあげるから許して? 」
私はソフィアさんからもらった『幻術破りのバッジ』をベリアルへ付けてあげる。
(………。)
ベリアルは自分の胸に付いたバッジを見ている。
「えーと、どうかな?」
(…カッコいい!! スプリングすごい!!)
ベリアルははしゃいで、私の周りを飛び回る。
「よ、良かった…。」
たまたま貰った奴だけど…なんか罪悪感が…。
ユニーククエストやらユニークアイテムやらで浮かれてた私は、突然の罪悪感に襲われセーブしてすぐにゲームから出た。
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