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日和見日記
伊吹山山行
しおりを挟む伊吹山は低山ではあるが百名山の一つに数えられている。濃尾平野に面してはいるが、冬の積雪は多く、過去には十メートル以上も積もったこともあるそうだ。今では悲しいかな、地球温暖化の影響か、積雪は減り、かつてあったスキー場も閉鎖し、山の中腹には廃屋となったロッジがいくつも立ち並んでいる。
ところで観光地化している山にありがちなことなのだが、伊吹山には二つの登り方がある。一つ、自分の足で歩く、二つ、「車など」で登る。「車など」とはロープウェイ等も含む。「残念」なことに伊吹山ロープウェイは廃止されているが。
二の登山客にありがちなことなのだが、パツパツの、どう見ても運動向きではない服を着て、ヒールの高い靴を履いた人がいて、彼らの中には、しんどい顔をして登ってくる我々を奇異なものを見るかのような目で見てくるものがいる。「なぜわざわざそんなつらいことをしているのか、自動車を使えばよいではないか」と言わんばかりの目だ。というか、実際、言っている奴がいた。登山を何と心得るか! 雄清あたりはそういうだろう。というか雄清の言だ。
だが俺は、一年前の俺は、あちら側の人間であったから、ただ「はあ、そうですか」としか反応できないと思う。その前に、車ですら山に来ようとも思わないだろう。
登山中は道すがら、小学生が一緒であった。正確には小学生の団体か。
聞くところによると、毎年全校を上げて、伊吹山に登るという行事を行うらしい。「全校をあげて」である。千人近くの児童たちがそろいの体操服に身を包み、山を登っている。小学校の先生もご苦労なこって。
それも相まって、百名山ということだからなのか、やけに人が多かった。山道は当然広い道ばかりではない。所々で渋滞が起こる。これは登山をしているというより、テーマパークのアトラクションに並んでいるといった感覚を覚えるな。
さすがに、スカートで登っている強者はいなかったが、明らかにピクニック感覚で来ているなという感じの人は多かった。飯沼先生曰くこういうのを「ミーハー」というらしい。低山と言えど、百名山であることには変わりはない。それに登ることで自己満足を得るには十分だろう。
名古屋で遊ぶのに飽きたから、ここにきているというような人もいるのだろうか? その、休日を何としてでもレジャーで潰したいという根性には感服すらする。強制的に登らされている小学生がいる一方で、そのような御仁がいるのだから、興味深いと言えば、興味深い。
わざわざ、その「ミーハー」集団に突っ込むことを選んだ顧問の考えは理解不能だが。
山頂はガスっていた。晴れていたのならば、琵琶湖が見えるそうだが、生憎見えない。名古屋方面も同様で、何も見えなかった。山の南東斜面、つまり名古屋側だが、かなりの急勾配で、上から覗き込むと目がくらんだ。ふちに立っているときにバランスを崩せば、たぶん帰ってくることはできないだろう。
正直なところ、山頂では登頂した達成感を静かに味わいたかったのだが、雰囲気がそれを許してくれなかった。というのもさっき言ったように、ハイヒールを履いた姉ちゃんがウロチョロしているようなところなのである。見ると少し下ったところに駐車場があった。
極めつけは、山頂の小屋で売られていた、ソフトクリームだ。
ここは山頂ですよ!
さすがに、腹を下すのは嫌だったので、ソフトクリームを買うことはしなかった。
俺たち四人は固まって昼食をとった。
「拍子抜けしたわ」
佐藤が、おにぎりを頬張りながら、言った。
「何のことですか」
綿貫が佐藤に尋ねる。
「この人の多さよ」
「加えて皆、軽装と来ている。重装備をして登っている俺らが間抜けみたいだ」俺は付け足してそういった。
「伊吹山はアクセスもしやすいし、何より有名だからね。百人一首にもあるよ。『かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思いを』ってね」
「恋歌か」
「ご名答」
「なんで有名なんだ。たかが一三七七メートルだろう。立山や穂高、槍ヶ岳と並べる理由がわからん」
「百名山だね。富士山を挙げないひねくれっぷりはさすが太郎だ。いいよ、そういうところ好きだな」
「ほっとけ」
「でも太郎。いただけないよ」
「何がだ」
「その態度さ。その言い方だと、高い山のほうがいいってことになる。それなら標高順位と変わらないよ。深田久弥が『日本百名山』を書いたのが標高順位をはっきりさせるためだったと思うかい? 和歌に詠まれるぐらい伊吹山は人々になじみの深い山だ。霊峰として神聖な場所でもある。加えて植生が豊かだ。太郎も見ただろう。草地が広がっているのを。天空のお花畑さながらだったろう。ここには見るべきものがたくさんある。だからこそ名山なんだ。数値だけ気にして山に登るなんて、無粋だねえ」
「だったら、おそらく、百名山だからここに集まっている連中も無風流じゃないか。ランキング好きな、つまらん奴らさ」
「いやあ、太郎、手厳しいな。でも、僕らも山の玄人というわけじゃないし、百名山を足掛かりにして山を好きになる人もいるだろうから、そんなに悪いことじゃないと思うよ」
すると近くにいた初老の男性が話しかけてきた。
「学生さんですか?なかなか興味深い話をしておられる」
「高校の部活で来ています」
綿貫が答えた。
「高校生かあ。若い人が山に興味を持つのはうれしいことです。そちらは先生ですかな?」
その男性は脇にいた、飯沼先生を見やる。先生はこちらを向き、
「はいそうです。年の差が四〇歳以上ですから、ついていくのが大変ですよ」
といった。
「若い力には敵わんもんですな」
「全くですよ。もうちょっと手加減して欲しいんですが、こいつらは老人に厳しいんで」
「ははは、みんな先生には優しくしてやりなされ」
「はい」
雄清が苦笑いしながら答えた。男性は続ける。
「どちらから来たのですか?」
「名古屋からです。ご存知ですか? 神宮高校というんですけど」
「ええ知っていますよ。私も愛知出身ですので。皆さん優秀なわけですな」
まあそれはピンキリなのだが。
このように赤の他人と打ち解けるのも山のなせる技である。
山頂での小休止の後、下山を始める。下山は登るときほど時間はかからない。楽だ。なんて気を抜いているとけがをする、慎重に降りねば。
しかしながら、問題が続発した。
まず雄清。五合目あたりで急に気分が悪くなったと言って、脇の茂みに嘔吐した。食ったものがまずかったのかもしれない。山では気分が悪いからと言って救急車を呼ぶことはできない。幸い吐いたら幾分か気分がよくなったようで、しばらくしてから歩き始めることが出来た。
次に佐藤。途中小休止をしようとして荷物を下ろしたところ、ザックが斜面を転げ落ちてしまった。これまた幸いなことに道に出て止まり、誰かに当たることもなかった。落石でも起これば大変なことになっていた。以後気を付けてほしい。
最後に綿貫。もう町が見えているというところまで下りてきたところで、どしんと大きな音がした。また佐藤が荷物を落としたのかと、思ってみると、綿貫が後ろですっころんでいる。
「大丈夫、こっちゃん?!」
「足を滑らせました」
「たてるか?」
綿貫が立とうとして、足に力を込めた時、顔をしかめてうめいた。「右足をくじいたみたいです」
「まずいな」
ああ、平地に降りられれば、あとはどうにでもなる。だがここはまだ山なのだ。目の前に町が見えているとしても後の数百メートルを自分の足で歩かなければならない。
「誰かが、おぶるしかないな」
飯沼先生が恐ろしいことを言う。
「おい、誰か負ぶってやれ」
俺たち三人は顔を見合わす。
「雄清は……無理か」
「ごめんよ」
さっき、吐いている人間に人を背負って山をくだれと言うのは酷だ。
「佐藤は……」
「私、女の子よ」
「一応な」
間、髪を容れず裏拳が飛んでくる。
「先生は?」
痛む額をさすりながら尋ねた。
「私? 私が負ぶったら怪我人が増えるだけだぞ」
あーなるほど。魔女の一撃ならぬ、綿貫の一撃といったところか。
「じゃあ……俺しかいないじゃないか」
しようがない。日々の鍛錬の成果がこんなところで発揮されるとは。
「すまないが、雄清と佐藤、せめて荷物は持ってくれ」
雄清達に荷物を渡し、綿貫を背負う準備をする。お嬢様に触れるのは気が引けるが、仕方ない。
「少しの間我慢してくれ。すぐ下りられるから」
「すみません。私の方こそ。皆さんにご迷惑をおかけして」
足を踏ん張ったが、綿貫は思ったほど、重くなかった。……いや別に、太っているとかそういうことではなく、とても軽かったのだ。俺に筋力が付いたせいかもしれない。あと二百メートルぐらいなら大丈夫だろう。登山道の入り口はもう見えている。
女を背負えば当然あたるはずのものが当たっていることは、努めて考えないようにした。太ももに触れているだけで心は苦しいのに。全く、今日は厄日である。
大分、時間はかかったが、何とか下のバス停までたどりつけた。
「本当にすみません。重くなかったですか深山さん?」
「骨が折れるかと思った」
綿貫はカチンと凍ったようになった。
「うそ」
「ひどいです」
「わるいわるい」
綿貫がバスに乗るのにも肩を貸してやった。
近江長岡から列車に乗り、終点の岐阜へと向かう。
岐阜駅に到着しホームにて集合する。
「綿貫は家は名古屋駅の近くなんだよな?」
先生が綿貫に尋ねた。
「はい」
「一人で帰られるか?家に電話しようか?」
「いえ、大丈夫です。タクシー拾いますから」
「そうか。……えーと、今日はちょっとトラブルがありましたが、何とか戻ってこられたので良かったです。体調の悪い人は拗らせないように早く帰って体を休めてください。じゃあ。解散」
言うや否や、飯沼先生は帰途に就く。
よし、俺も帰るかと、各停のホームへと向かおうとすると、
「ちょっと、深山、こっちゃんのことを見送りなさいよ」
「なぜに俺? お前が付いて行ってやれよ」
「こっちはこっちで要介護者がいるのよ」
見ると雄清の顔色はさっき見た時より悪くなり、蒼白となっている。
「あー」
「あの私大丈夫ですから」
そう言って綿貫はベンチから立ち上がろうとするが立てない。
「腫れているんじゃないか。ちょっと脱いでみろよ」
「……」
綿貫は固まった。
「靴を脱げって」
「あ、そっちですか」
じゃなきゃ、どっちだよ。
綿貫が靴を脱いでみると比べる間もなく、腫れているのがわかった。
「これはひどいな。改札までも歩いていけないんじゃないか」
「あんた、また負ぶってやんなさいよ」
「あの、それはさすがに恥ずかしいです」
右に同じ。さすがに都会のど真ん中でそんな醜態は晒せない。
「まあ、とりあえず、名古屋までついていってやる。肩貸すから、ほら」
「すみません」
俺たちは列車内の清掃が終わるのを待ち、また快速に乗った。雄清と佐藤は各停に乗り、家に向かう。
俺と綿貫が乗った列車は、俺の家の最寄り駅を止まることなく過ぎ、名古屋駅へと到着した。
四苦八苦しながら、綿貫を改札まで運ぶ。
俺は改札を出て、周りの様子を見た時、いやな予感がした。異様に人が多いのである。綿貫も異変に気付いたようで、
「どうしたんでしょうね」
「わからん」
俺はそういってから、近くにあった電光掲示板を見た。
ああ、
「最悪だ」
「どうしました?」
「JRの下りが止まっている」
「それって……深山さんが帰れないじゃないですか!」
「いや、私鉄を使えば何とかなると思うが、それよりも……ちょっとここで待っておいてくれ」
「はい」
俺はターミナルの外に出て、タクシー乗り場を見に行く。
思った通り、タクシー待ちで人がごった返している。身動きの取れない綿貫をそこに置いていくのはさすがの俺でもできない。
綿貫のところに戻る。
「どうしたんです?」
「タクシーが使えそうにない。たぶん一時間ぐらい待っても」
「私待ちます」
「片足でどうやって?」
「それは……」
「家の人はいないのか?」
「今日は緊急オペがあって、たぶんまだ駄目です。大手術だと叔父は言っていたので」
はあ、首を突っ込むなら、最後までということか。
「家まで連れて行くよ」
「そんな、深山さんに、ご迷惑をかけられません」
「いやそうしないと、俺が佐藤に何を言われるかわからん」
そう言って、ザックを前に回し、しゃがみ込む。
綿貫はいやいやといった様子で俺に負ぶさった。ターミナルから出て、綿貫の家がある上田へと向かう。
綿貫は顔を隠すようにしてうずめた。
「恥ずかしいです」
俺も同様である。
俺は歩きながら道行く人に念じた。頼むからこっちを見ないでくれ。決してバカップルなどではない。これは不可抗力なのだと。だが、道行く人はみな、あきれ顔で通り過ぎてゆくような気がする。自然と俺の歩は早まる。
人通りも幾分か少ないところまで出た。
「今日は厄日だな」
「本当にすみません」
「まあ気にするな。明日は我が身というだろう」
綿貫はそこで唐突に、妙な質問をしてきた。
「……深山さんって、女の子に告白されたことありますか?」
急になんだと俺は思ったが、
「嫌いですと告白されたことならあるぞ」
「冗談ですよね」
いや、本当なんだが。
「……ないんですか?」
「俺をいじめて楽しいか?」
「いえっ、そんなつもりは」
「じゃあなんでそんなこと聞くんだ」
「ただ気になったんです。深山さん優しいし、頭良いので、好きになった人もいるんじゃないかと」
「俺の経験則だが」
「なんです?」
「女は男に褒めるところがないと、優しいというんだ」
「そんなことないですよ」
「いやあるね。優しいにしても女は自分に特別優しい男を好きになるもんさ」
「考えすぎですよ、深山さん」
「どうだか」
「……きっといると思います。深山さんのこと好きになってくれる人」
「そいつは多分、かなりの変わり者だな」
綿貫はそのあと何も言わなかった。たぶん笑っているんじゃないだろうか。
しばらく歩いてから、再び綿貫は口を開いた。
「あの深山さん」
「なんだ」
真夏の名古屋のビル群の谷間、一人の少女を背負い、汗をだらだらと流しながら、俺は歩いている。口を開くのさえ、億劫に感じてしまうが、連れていくと言った以上、弱音を吐くわけにもいくまい。なんでもない風を装い、俺は応えた。
「実は兄と雅英さんに関して気になることが見つかったんです」
綿貫は神妙な声で言う。
ここで、兄貴の話とは、なんとも奇妙なタイミングで話し始めるものだ。
「唐突だな」
「二人きりになれたので」
「まあいい、話してみろ」
「はい。実は北岳に、高橋雅英さんを忍ぶ石碑が、最近になってたてられたそうです」
「ほう。それがどうした」
「誰が建てたか分からないんです」
「自治体じゃないのか?」
「問い合わせてみましたが、建てられていたことさえ、把握していませんでした」
自治体に無断で、しかも国立公園に石碑を建てられるとは、いかがなものかと俺は思った。問題の本質はそこではないが。
「じゃあ、中部山岳会は?」
「松下さんに訪ねましたが、ご存知なかったです」
なるほど、最近できたから、当事者以外は関知していないということか。だが、だとすると、
「お前はどうやって知ったんだ?」
「ブラウザを使って、ある人の登山日記を見た時に知りました」
ブラウザを使う、とはいかにも綿貫らしい言い方だなと思いながら、俺は続きを促した。
「それで、その日記を書いている人によると、今年の春に登ったときは石碑はなく、七月になって登ったときに見つけたそうです」
「つまり今年の晩春から初夏にかけて建てられたということか」
「ええ、そういうことですね。どうです、誰が建てたのか気になりませんか?」
「そうか? 若い登山家の死を悼む人なんて珍しくないだろ」
「ですけど、石碑建てるのって結構お金かかると思いますよ。それに山道ですし」
それはそうだな。
綿貫の言い分はよくわかったのだが、脂汗をにじませながら歩いている俺の体力は、いい加減、限界に近づいてきている。
「というか綿貫よ」
「なんです」
「しゃべると疲れるんだが」
「あっ、すみません。静かにしておきます」
それきり、俺の耳に届くのは、都会の喧騒と登山靴で舗装路を踏む、鈍い音だけだった。
いつか来た、綿貫邸へは、裏口より、進入した。
裏の庭は、一般向けに公開されている表の庭園より家主の好みが反映されているようだ。種々の果実の木や、草花が植わってある。
裏口ではあるが、家の者は普段こちらを利用しているらしい。十分に広い、二つ目の玄関から建物の中に入った。
「どこにいけばいい?」
ザックを玄関においてから俺は綿貫に尋ねた。
「左に進んで突き当たりが私の部屋です。そこまでつれていってください」
「わかった」
俺はすんなりと靴を脱げたが、足を痛めている綿貫は脱ぐのに手間取った。
「大丈夫か?」
「なんとか」
ふたたび綿貫を背負い、言われたように綿貫の部屋へと運ぶ。
思えば、女子の部屋に入るのは、人生初のことである。いい匂いでもするのだろうかと、馬鹿なことを考えながら、綿貫を落とさないように慎重に戸を引いた。
「ここら辺でいいか?」
そう言って、腰を落として、膝をつき、綿貫を椅子に座らせた。
「ふう、やっとついた。全く、本当にお嬢様待遇だな」
「本当に、今日はご迷惑を」
「いやいや、冗談さ。明日は我が身、だろう」
「本当にありがとうございました。足がよかったら、お茶でも用意するんですけど」
「気にするな」
「せめて、余分にかかった電車代だけでも受け取ってください」
断る理由もなかったので、綿貫が差し出した硬貨を受け取った。
「足、叔父さんによく見てもらえよ」
「はい。あの、深山さん」
「なんだ」
「あの、その……いえ、深山さんも帰り道で熱中症にならないようによく気を付けてください」
綿貫はもっと別なことを言おうとしていたように思えたが、言わないと他人が判断したことに、噛みつく俺ではない。気に留めず、別れを告げる。
「ああ、じゃあな」
「お疲れ様です」
綿貫は椅子に座りながら、深々と頭を下げていた。
名古屋駅に向かう道すがら、俺の手と背中には、綿貫の太ももと胸の感触がまだ残っていた。綿貫が気にしていない以上(あるいはそう見せかけていただけかもしれないが)、俺も気にするべきではないのだが、どうにもその感触はなかなかぬぐい去ることはできなかった。
名古屋駅についたとき、電車が止まっていたのを思い出した。もしまだ動いていないのならば、私鉄を使うことになるのだが、私鉄の駅は家から少し離れている。この猛暑の中、歩く気にはならない。
幸い、運行は再開していた。
電車を待ちながら、俺は北岳の石碑のことを考えていた。
「調べてみてもいいかもしれんな。何せ手詰まりだ」
金山から電車がやって来るのが見える。
何気なく、名古屋のビル群に目をやる。
ビルの窓には夕陽がキラキラと輝いていたが、辺りには、アスファルトさえ溶けてしまいそうな熱気がまだ漂っていた。
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