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影の暗殺家 カゲロウ
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知らないおじさんについていってから早三日。普通に暖かいご飯は食べさせてくれるし、優しい。でも、今の俺にとっては、それが一番怪しい。それに
(風呂に入りたいのに、風呂はないし……つか、一体どこへ行こうとしてんだよ)
何となくついてきたが……そもそも、行き先を聞いていなかった。
「……おじさん、今更だけどさ……何処に行くの?」
「ん~?……俺の家」
「え……おじさんの家?」
「そ」
おじさんはそう短く返事を返す。それに一瞬だが間が空いた。何かを隠している。でも…もし、なにかしようとしたら……
(このおじさんを……殺せばいい)
このおじさんを殺せる自信が俺にはあった。三日間このおじさんと過ごして何となくそう思ったのだ。体はヒョロっちぃし、力もあまりなさそうだから。
「あ、それとさ俺、おじさんじゃなくてまだ、二十五歳の現役でアキラって名前あるから」
「アキラ……うん。分かった」
アキラ優しく笑った。何故かその顔を見たら安心感がする。
「…そう言えば君の名前は?」
(…名前……)
そう言えばなかったような気がする。あのおじさんに名前を呼ばれなかったから。
「……ない」
俺はそう言った。本当は何となく覚えている。多分、俺がこの子になる前の子はツヅランという名だ。でも、その名前はその子の名前であって、自分のものではない。だから、ない。それに今じゃこの体は俺のものだ。たとえ、あのおじさんと血の繋がりがあっても、赤の他人だ。
「そうか……。」
なんか重い空気になった。ちょっとまずったのだろうか。それとも、今、こいつに同情されているのだろうか。まぁ、どちらにしろ、本当のことだ。別に名前がなくたって生きていける。
「…あと少しで着くよ」
「分かった」
アキラの家はどんな所だろうか。俺は気になった。普通に家族がいて暖かい家庭なのだろうか。もし、そうなのだとしたらちょっと羨ましい。
「着いたよ」
「え?」
アキラが、そう言って俺は顔を上げるとでかい建物が現れた。まず、第一印象として思うところは…
(幽霊屋敷?)
俺の妄想はハズレだ。これは絶対に普通の家ではない。暖かい家庭……かは分からないが、まず怖い。
コウモリとかもいるし。なんかこちらを睨む狼と虎がいる。
(飼ってるのか?)
俺はそう思いつつも、アキラの後をついて行った。
そして屋敷の中に入った。
(うーわ。吸血鬼が住みそうな家だ。)
「ただいま帰ってきたよー!」
アキラは屋敷中に聞こえる声で言った。すると一人の少女が笑顔でで迎えに来た。
「おかえりなさい!お兄ちゃん!……っと」
その少女はとても可愛らしい。俺は挨拶をしようとしたら首に冷たいなにかがあたった。
その感触に背筋がゾッとする。
「お前…何者だ。我がカゲロウ家に何の用だ…」
その声からして俺と同い年ぐらいの少年だとわかった。俺は直ぐにその子の腹を肘で攻撃した。
その子は俺が攻撃をしてこないと思っていたのか、予想外で避けられなかった。
「ぐはっ」
俺は冷たい感触が亡くなったあと、直ぐにその子から離れ、持っていたナイフを構える。
そして、相手を見ると俺の思った通り同い年の子だ。その子は二回咳き込んだ後直ぐに構えた。短剣の二刀流らしい。俺とその子は言葉を言わずに敵だと判断した。
戦おうとした時、アキラが止めに入った。
「ストーップ!!俺の家の中で戦いを始めようとしない!それとミカゲ、こいつは俺が拾ってきたやつだ。手出しはしないで」
「……兄ちゃんが言うのなら」
(アキラの弟だったのかよ)
俺は力を抜いた。まぁ、あのまま戦っても、俺には勝ち目が無いと分かっていた。あの殺気と、気配なく俺の背後にたったことで直ぐに、俺より上だと分かる。
「いい対応だったよ」
「……はぁ。で?どういうこと?なんで、あんたの家が暗殺家だってことを黙ってたんだ?」
「……やっぱり、君は暗殺者の素質があるよ。」
「は?」
アキラは腕を広げて満面の笑みで俺の事を見る。
「君は今日から俺の家族でそして、暗殺者にする。『カゲ』。君は今日からそう名乗れ。俺達は君を歓迎するよ」
歓迎しなくていいですよ…。でも、これも何かの縁なのだろう。俺はそれを素直に受け止める。今のところは……。
「……はぁ。つまり、俺はここの家族になったと?……そして、俺の名前は『カゲ』か……うん。別にいいか。それじゃ、アキラ『お兄ちゃん』?これからよろしくお願いします」
俺の名前は今日からカゲ。その名前に違和感を持つよ。だって。あの『影』を片仮名にしただけだろ?まぁ、いいか。名前を貰うことはやっぱりうれしいことだから。
「……あと、俺の家は暗殺家『カゲロウ』って言われてるよ。そして、よく、色んな人から依頼がくる。俺たちのことを知っている人は極わずかな人。風の噂とかで聞いた人もいるし、親から、友達から聞いた人もいる。でも、俺達は表に出てはいけない。知られてはいけない存在。」
あまりよく分からなかった。何故そういったのか…。多分深い意味があって、後々知られるだろう。
でも俺は、今日から暗殺者として生きていく。そう決めたー……。
「……俺はカゲ…。アキラについて行くよ」
俺の決意は変わらない。絶対に。
この世界で生きていくためには、強くならないといけないらしいからー……
続く
(風呂に入りたいのに、風呂はないし……つか、一体どこへ行こうとしてんだよ)
何となくついてきたが……そもそも、行き先を聞いていなかった。
「……おじさん、今更だけどさ……何処に行くの?」
「ん~?……俺の家」
「え……おじさんの家?」
「そ」
おじさんはそう短く返事を返す。それに一瞬だが間が空いた。何かを隠している。でも…もし、なにかしようとしたら……
(このおじさんを……殺せばいい)
このおじさんを殺せる自信が俺にはあった。三日間このおじさんと過ごして何となくそう思ったのだ。体はヒョロっちぃし、力もあまりなさそうだから。
「あ、それとさ俺、おじさんじゃなくてまだ、二十五歳の現役でアキラって名前あるから」
「アキラ……うん。分かった」
アキラ優しく笑った。何故かその顔を見たら安心感がする。
「…そう言えば君の名前は?」
(…名前……)
そう言えばなかったような気がする。あのおじさんに名前を呼ばれなかったから。
「……ない」
俺はそう言った。本当は何となく覚えている。多分、俺がこの子になる前の子はツヅランという名だ。でも、その名前はその子の名前であって、自分のものではない。だから、ない。それに今じゃこの体は俺のものだ。たとえ、あのおじさんと血の繋がりがあっても、赤の他人だ。
「そうか……。」
なんか重い空気になった。ちょっとまずったのだろうか。それとも、今、こいつに同情されているのだろうか。まぁ、どちらにしろ、本当のことだ。別に名前がなくたって生きていける。
「…あと少しで着くよ」
「分かった」
アキラの家はどんな所だろうか。俺は気になった。普通に家族がいて暖かい家庭なのだろうか。もし、そうなのだとしたらちょっと羨ましい。
「着いたよ」
「え?」
アキラが、そう言って俺は顔を上げるとでかい建物が現れた。まず、第一印象として思うところは…
(幽霊屋敷?)
俺の妄想はハズレだ。これは絶対に普通の家ではない。暖かい家庭……かは分からないが、まず怖い。
コウモリとかもいるし。なんかこちらを睨む狼と虎がいる。
(飼ってるのか?)
俺はそう思いつつも、アキラの後をついて行った。
そして屋敷の中に入った。
(うーわ。吸血鬼が住みそうな家だ。)
「ただいま帰ってきたよー!」
アキラは屋敷中に聞こえる声で言った。すると一人の少女が笑顔でで迎えに来た。
「おかえりなさい!お兄ちゃん!……っと」
その少女はとても可愛らしい。俺は挨拶をしようとしたら首に冷たいなにかがあたった。
その感触に背筋がゾッとする。
「お前…何者だ。我がカゲロウ家に何の用だ…」
その声からして俺と同い年ぐらいの少年だとわかった。俺は直ぐにその子の腹を肘で攻撃した。
その子は俺が攻撃をしてこないと思っていたのか、予想外で避けられなかった。
「ぐはっ」
俺は冷たい感触が亡くなったあと、直ぐにその子から離れ、持っていたナイフを構える。
そして、相手を見ると俺の思った通り同い年の子だ。その子は二回咳き込んだ後直ぐに構えた。短剣の二刀流らしい。俺とその子は言葉を言わずに敵だと判断した。
戦おうとした時、アキラが止めに入った。
「ストーップ!!俺の家の中で戦いを始めようとしない!それとミカゲ、こいつは俺が拾ってきたやつだ。手出しはしないで」
「……兄ちゃんが言うのなら」
(アキラの弟だったのかよ)
俺は力を抜いた。まぁ、あのまま戦っても、俺には勝ち目が無いと分かっていた。あの殺気と、気配なく俺の背後にたったことで直ぐに、俺より上だと分かる。
「いい対応だったよ」
「……はぁ。で?どういうこと?なんで、あんたの家が暗殺家だってことを黙ってたんだ?」
「……やっぱり、君は暗殺者の素質があるよ。」
「は?」
アキラは腕を広げて満面の笑みで俺の事を見る。
「君は今日から俺の家族でそして、暗殺者にする。『カゲ』。君は今日からそう名乗れ。俺達は君を歓迎するよ」
歓迎しなくていいですよ…。でも、これも何かの縁なのだろう。俺はそれを素直に受け止める。今のところは……。
「……はぁ。つまり、俺はここの家族になったと?……そして、俺の名前は『カゲ』か……うん。別にいいか。それじゃ、アキラ『お兄ちゃん』?これからよろしくお願いします」
俺の名前は今日からカゲ。その名前に違和感を持つよ。だって。あの『影』を片仮名にしただけだろ?まぁ、いいか。名前を貰うことはやっぱりうれしいことだから。
「……あと、俺の家は暗殺家『カゲロウ』って言われてるよ。そして、よく、色んな人から依頼がくる。俺たちのことを知っている人は極わずかな人。風の噂とかで聞いた人もいるし、親から、友達から聞いた人もいる。でも、俺達は表に出てはいけない。知られてはいけない存在。」
あまりよく分からなかった。何故そういったのか…。多分深い意味があって、後々知られるだろう。
でも俺は、今日から暗殺者として生きていく。そう決めたー……。
「……俺はカゲ…。アキラについて行くよ」
俺の決意は変わらない。絶対に。
この世界で生きていくためには、強くならないといけないらしいからー……
続く
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