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一章 ハッタリ宮廷魔導士誕生
9話 盗賊の決断
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(何だこいつは⁉︎ 一体、何をやりやがった⁉︎)
あの男の言う通り、近づいた手下の片足が、飛んでいっちまった。
その様子を見ていた他の野郎どもの内、新人、そして、古参の連中にも、怯えている奴がいやがる。
(くそ! どうすんだ、この状況。このまま、連中を突撃させるか? いや、そもそも、この騎士達を置いて⋯⋯駄目だ! そんな事をしたら、今回の準備に使った物が⋯⋯)
俺様も、野郎どもと同じで、かなり動揺しちまっている。
考えが纏まらない為、野郎どもに命令も出せる訳がねぇ。
しかし、
「頭、落ち着いて下さい。このままだと、他の連中が、あいつの二の舞になりやす。どうか頭、今、重要な事だけを考えて下さい」
と、ナリヤの冷静な言葉で、どうにか俺様は落ち着きを取り戻せた。
(⋯⋯そうだ、ナリヤの言う通りだ。今、俺様にとって重要な事は、この場からどう逃げる事だろ)
どうにか、俺様にとって必要な事を思い出し、その考えを実行する為、さらに、頭を回転させた。
すると、とある事に俺様は気付いた。
(⋯⋯待てよ? あの男は、あんなに凄い魔法が使えるって事は、俺様達の制圧も、簡単だろう⋯⋯)
さっき手下に使った魔法で、ここにいる全員の身柄を、拘束する事だって可能な筈だ。
だが、あの男はそんな事をするつもりはねえのか、最初の忠告から、俺様達に危害を加えていねぇ。
「⋯⋯なぁ、にいちゃん? 何が望みだ?」
俺様は、あの男が、何かを欲しがってと感じた。
本来であれば、分の悪い賭けだが、俺様は自分の勘を信じてみた。
「望み⋯⋯ですか? ⋯⋯そうですね、自分はただ、あそこの方々の護衛としてついて来ただけなので⋯⋯その点だと、護衛をおこなえた証は欲しいですね」
「なるほどなぁ。⋯⋯なら、俺様達を追い払えたのは、立派な証だよなぁ」
「えぇ、そうですね。仮に、貴方達が逃げるのなら、自分は、彼らの安全を確認しなければいけませんけど」
そう、笑って返して来やがった。
(⋯⋯勝った!)
あの男の様子を見て、俺様は、心の中でガッツポーズをした。
どうやら、あの男は俺様の予想通り、俺様達を捕まえる気は無いようだ。
あの男が欲しいのは、仕事をしたと言う、結果だけである。
それだったら、俺様達を捕まえるかもしれない。⋯⋯これは俺様の予想だが、あの男も護衛として雇われたが、報酬が良く無いから、面倒を避けたいんだろう。
その為、俺様達の確保を優先するのでは無く、あの騎士達の安全を確認する方を優先するらしい。
つまり、
(逃げても、追いかけられる訳じゃない⋯⋯なら!)
俺様はそう思い、他の野郎どもに合図を出した。
野郎どもは、さっきより落ち着いて来たが、まだ怯えている奴もいない事は無い。
(どのみち、こいつらは役にたたねぇ。なら、お言葉に甘えて、逃させてもらうぜ)
俺様は、そこに縛っていた、騎士達にも聞こえる声で叫んだ。
「野郎ども! こいつ相手は部が悪い! 一旦、退くぞ!」
そう言って、俺様達はあの男から逃げ出した。
(命があれば、後でお返しも出来るだろうからな。今はともかく、撤退だ!)
そう考えながら、俺様は森を駆けていた。
あの男の言う通り、近づいた手下の片足が、飛んでいっちまった。
その様子を見ていた他の野郎どもの内、新人、そして、古参の連中にも、怯えている奴がいやがる。
(くそ! どうすんだ、この状況。このまま、連中を突撃させるか? いや、そもそも、この騎士達を置いて⋯⋯駄目だ! そんな事をしたら、今回の準備に使った物が⋯⋯)
俺様も、野郎どもと同じで、かなり動揺しちまっている。
考えが纏まらない為、野郎どもに命令も出せる訳がねぇ。
しかし、
「頭、落ち着いて下さい。このままだと、他の連中が、あいつの二の舞になりやす。どうか頭、今、重要な事だけを考えて下さい」
と、ナリヤの冷静な言葉で、どうにか俺様は落ち着きを取り戻せた。
(⋯⋯そうだ、ナリヤの言う通りだ。今、俺様にとって重要な事は、この場からどう逃げる事だろ)
どうにか、俺様にとって必要な事を思い出し、その考えを実行する為、さらに、頭を回転させた。
すると、とある事に俺様は気付いた。
(⋯⋯待てよ? あの男は、あんなに凄い魔法が使えるって事は、俺様達の制圧も、簡単だろう⋯⋯)
さっき手下に使った魔法で、ここにいる全員の身柄を、拘束する事だって可能な筈だ。
だが、あの男はそんな事をするつもりはねえのか、最初の忠告から、俺様達に危害を加えていねぇ。
「⋯⋯なぁ、にいちゃん? 何が望みだ?」
俺様は、あの男が、何かを欲しがってと感じた。
本来であれば、分の悪い賭けだが、俺様は自分の勘を信じてみた。
「望み⋯⋯ですか? ⋯⋯そうですね、自分はただ、あそこの方々の護衛としてついて来ただけなので⋯⋯その点だと、護衛をおこなえた証は欲しいですね」
「なるほどなぁ。⋯⋯なら、俺様達を追い払えたのは、立派な証だよなぁ」
「えぇ、そうですね。仮に、貴方達が逃げるのなら、自分は、彼らの安全を確認しなければいけませんけど」
そう、笑って返して来やがった。
(⋯⋯勝った!)
あの男の様子を見て、俺様は、心の中でガッツポーズをした。
どうやら、あの男は俺様の予想通り、俺様達を捕まえる気は無いようだ。
あの男が欲しいのは、仕事をしたと言う、結果だけである。
それだったら、俺様達を捕まえるかもしれない。⋯⋯これは俺様の予想だが、あの男も護衛として雇われたが、報酬が良く無いから、面倒を避けたいんだろう。
その為、俺様達の確保を優先するのでは無く、あの騎士達の安全を確認する方を優先するらしい。
つまり、
(逃げても、追いかけられる訳じゃない⋯⋯なら!)
俺様はそう思い、他の野郎どもに合図を出した。
野郎どもは、さっきより落ち着いて来たが、まだ怯えている奴もいない事は無い。
(どのみち、こいつらは役にたたねぇ。なら、お言葉に甘えて、逃させてもらうぜ)
俺様は、そこに縛っていた、騎士達にも聞こえる声で叫んだ。
「野郎ども! こいつ相手は部が悪い! 一旦、退くぞ!」
そう言って、俺様達はあの男から逃げ出した。
(命があれば、後でお返しも出来るだろうからな。今はともかく、撤退だ!)
そう考えながら、俺様は森を駆けていた。
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