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一章 ハッタリ宮廷魔導士誕生

4話 ハクトのスキル

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「⋯⋯と、こう言った訳で、別に無理をしてる訳じゃ無いんだ」
「ほぇ~。ハクトも大変だね」

 素を隠している理由を、数十分間説明し、シルフに理解してもらった。

  (まぁ、一年は一緒に行動するんだ。教えといて損は無いだろ)

 それに、一年も仮面を作るのは面倒くさいので、そう思い込む事にした。

「⋯⋯そうだシルフ、今話した内容は、他言無用で頼む。他に知られると、ちょっとな」

 一応、大丈夫だと思うが、他に話されるとちょっと困る為、釘を刺しといた。
 
「うん! 二人だけの秘密だね!」

  (⋯⋯本当に大丈夫か、こいつ)

 クラスに何人かはいるだろう、秘密と言って、他の人に言うタイプの女子。間違い無く、こいつも同類だと確信した。

  (まぁ、隠す事でも無いんだかな)

 そんな事を考えていると、ふと、とある事に気づいた。⋯⋯いや、元々気づいてはいたが、後回しにしていた事を聞いた。

「なぁ、シルフ。何でお前は、俺の名前を知ってるんだ? 名乗った覚えもないし、神様からでも聞いたのか?」

 そう、俺はシルフに対して一度も名乗ってはいない。最初から気になってはいたが、他に聞きたい事があったり、そもそも、神様から聞いていた可能性があった為、聞かなかったが、重要な事を聞き終えたので、聞いてみた。

「違うよ? あたいのスキル、【鑑定】のおかげさ」
「【鑑定】?」

 なんとなく、どんなスキルなのか分かるが、とりあえず説明を聞いた。

 ⋯⋯シルフ曰く、【鑑定】は、対象によって異なるが、武器なら、名前や能力が分かり、人なら、名前や種族、スキルが分かる便利なスキルらしい。
 
 また、その人の持つスキルや、武器に付いている能力を、詳しく見る事が出来るらしい。
 
 そんなスキルを使い、俺の名前を見たらしい。

  (⋯⋯なんて言うか、プライバシーのへったくれも無いな)

 そんなスキルを、現代で使えば、もれなく警察沙汰である。

 ただ、このスキルは希少らしく、持っている人は、あまりいないと、シルフは言っている。

「⋯⋯なら、俺は【鑑定】を持って無いだろうな」

 希少なスキルの為、持っている事は無いと思ったのだが、

「何言ってんの? ハクトも使えるよ。なんだったら、自分に使ってみなよ」

 と、シルフに言われてしまった。

 そんな訳で、【鑑定】を自分に向けて試す事にした。

「【鑑定】」

 名前:ハクト  

 種族:ヒューマン

 魔力指数:D

 スキル:【詐欺師】

 こんな結果が出て来た。⋯⋯いや、出て来てしまったのだ
 
「⋯⋯マジかよ」

 結果より、半信半疑のスキルが出来た事に驚きを隠せない。

「ふっふっふ。どうだい! 驚いたかい!」
「あぁ、かなり驚いた。だが、この魔力指数ってなんだ?」

 驚きはしたが、それよりも気になる文字が出てきた。
 それについて聞くと、

「え~、もう少し驚いた表情をしてよ⋯⋯まぁ、いいや。魔力指数はね、そのままの意味で、その人が、どのくらい魔力を持っているのかが分かるのさ。ちなみに、最高はAで最低はEと、ランクで表されていて、Eの人は、魔力がほとんど無いから、魔法が使えないらしいよ」
「⋯⋯じゃあ、Dの場合は?」
「生活に必要な魔法は使えるけど、攻撃用の魔法は無理だね。ドンマイ!」

 笑顔で言われてしまった。

 ⋯⋯正直、魔法の使えない異世界は、ただの過酷な中世の気がするが、それでも、少し魔法が使えるので、まだマシだろう。

  (⋯⋯さて、そろそろ、現実を見るか⋯⋯)
 
 そう決意し、スキル欄を再度、確認した。
 スキルは神様が、俺にスキルをくれるらしいが、肝心のスキルを見ると、そこに書いてあったのは、【詐欺師】と言う文字だった。

 (⋯⋯つまり、神様は、俺の事をそういう目で見ていたと⋯⋯なるほど、とりあえず、もう一度会ったら礼を言うしばくか)

 文句を言うなと言われはしたが、暴力は駄目とは言われて無いので、約束は守っていると、個人的に解釈した。

  (そうじゃなくても、これは流石にな)

 例えば、いきなり貴方は詐欺師に向いています。と言われれば、誰でも怒るはず⋯⋯多分。
 そう言う事で、もし会えたなら、腹パンは確定したのであった。

「⋯⋯なぁ、シルフ? スキルの効果は見る事やり方は分かるか? 流石に、名前だけじゃ、効果が分からん」

 なんとなくは、分からない事も無いが、俺にとって、大切なたった一つのスキルの為、正確な能力を知りたいと思って、聞いてみると、

「うん、スキルに対して【鑑定】を使うだけで見れるよ」

 と、答えてくれた。

「なるほど、なら、【鑑定】」

 とりあえず、シルフの言った通り、スキルに向けて【鑑定】を行った。
 
【詐欺師】:相手からの、精神スキル無効化。また、相手に、嘘を本当だと思わせる事が出来る。(状況によっては、失敗する可能性もあります)

 と、こんな感じに、文字が出てきた。

  (あ~なるほど。確かに、このスキルは、俺に合ってはいるな⋯⋯認めたく無いが)

 神様が、このスキルをくれた理由が、何となくだが分かった気がする。
 前世では、よく嘘をついていたが、それと同時に、父が俺にポーカーフェイスを教えた為、内心では驚く事はあるが、基本的に感情が表に出ないのである。

  (つまり、前世の特技が、異世界こっちでも通用するように、補助してくれると)

 かなり地味だが、俺の力が発揮出来るようにと、神様なりの配慮と言う事だろう。

  (文句は言ってしまったが、とりあえず、感謝しとくか)

 そう思い、両手を合わせ、神様に感謝しといた。
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