辿り着けない世界

和之

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何が問題か2

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「どんな風に聞いてました」
 後ろ姿だからおばは神妙だったのか、それとも陽気だったのか、どうもどっちとも取れる微妙な身体の動きだった。時には双方とも感情の高ぶりが見て取れるような動きを交互にしていたそうだ。
「裕介、もうそれじゃあ埒が明かないんじゃないの」
「おじいちゃんは美津枝おばさんに、多分あの子を里子に出したいって言ったようなんだ、だから二歳までなら何も憶えていないから知らない人より今ならいっそう千里さんに年子として育ててもらえ言ったけど、再婚の相手次第では育ててもよいと言うからおじいちゃんは子供を何て思っているんだ。もうむちゃくちゃなんだよ」
「それ誰から聞いたの」
「誰だと思う」
 と勿体ぶらされて千里だと判ると、それはもう良いからここまで呼び出したあなたの考えを聞かせてと迫られた。
「良くはないでしょう」
 と黙っていられない坂部が横から口を出した。
「もうあなたは裕介のお客さんだから余計な事を云わないでよ」
 こんな時でもムッとする気持ちが湧かないほど美紗和の口調は穏やかだ。
「でねえ、千里はおじいちゃんからそんな話を聞くと一人育てるのも二人育てるのもこの際一緒でも構わないって言うから、千里も何を考えてるんだと言いたくはなるけど」
 弟の話に美紗和は苛つきながらも、彼女はまだ我が家の状態を飲み込めてないと聞き流した。
「判ったけど、離婚したのりちゃんを引き取ったのはおじいさんでしょう。それを今度はその子を里子に出せって言うのは筋が通らないでしょう。ひょっとしたら今日はそんな話はなかったの」
「時期的には合うが、それにそんな話は家では出来ないからうちのような店なら丁度話せるかも知れませんね」
 返事を渋る高村に代わってマスターが答えた。
「それで今日の家族会議はそんな話は出たの」
「千里さんは美紗和さんの話だと出る人じゃないって言うけれどどうなんです」
 と坂部が聞いた。


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