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104:インターンの内容と魔法学校の生徒たち

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 インターン生の歓迎会が始まり、私はあっという間に騎士団やシント魔法学校の人に囲まれた。
 次々に話しかけられ、あっぷあっぷしている状態だ。
 カマルも同様だけれど、笑顔で上手に対応している。
 
(対人スキルの差!)

 でも、シント魔法学校の生徒たちは皆、友好的に接してくれる。
 騎士団の人たちもだ。それは、とてもありがたかった。
 辺境騎士団の魔法騎士は男女半々。
 魔法で身体強化できれば、力の差は関係なくなるものね。

「なあなあ、あとで魔法合戦しようぜ」
「ヘドロ魔法って、どうやって放つの? 見せて、見せて!」

 やはり、シント魔法学校の生徒は好戦的だ。
 そんな中、のんびりとした声が響く。
 
「ヨーカー魔法学園の制服って可愛いよね~。色々組み合わせができて、羨ましいなあ」
 
 見ると、ふわふわしたクリーム色の髪を持つ女の子が、私の方へ身を乗り出している。
 
「ねえねえ、魔法都市って面白いんでしょう? 私も行きたかったけれど、校内予選で落ちちゃったんだ~」

 私と同じ背丈の小柄な子だ。

「ニキータ。お前、そんな調子でインターンに参加して、大丈夫なのかよ……遊びじゃないんだぞ?」

 周りの生徒に笑われている女の子は、ニキータという名前らしい。
 好戦的なシント魔法学校の感覚とは、少しずれた子のようだ。

「あのさ、アメリーちゃんだよね? カマル君とは付き合っているの? 一緒にカディンとシュクレの最強ペアをボコったんでしょ?」
「えっ……!?」

 おかしな伝わり方をしているようだが、他校交流試合は個人戦だった……

「砂漠大国貴族の養女になったのは、カマル君が王子様だからだよね?」

 目をキラキラさせながら、ズイズイと近寄ってくるニキータ。
 しかし、彼女は他の生徒に後方へ押しやられてしまった。

「今はそんな話はいいんだよ! どうやってカディンを攻略したんだ!? あいつ、めっちゃ強いだろ?」
「そうそう、あなたの目線で対戦の様子を聞きたいわ!」
「無詠唱魔法って、どうやるんだ?」

 意識の高い子が多いみたいだ。
 皆と話していると、カマルがやってきた。
 
「アメリー、明日から無詠唱の魔法の授業をすることになるみたいだよ。シント魔法学校の人たちと、騎士団の人にも……」
「そうなの?」

 ちゃんとできるか心配だ。
 
「一度に全員に教えるのは大変だから、まずは代表者に伝えるんだって」
「代表者?」
「辺境騎士団長のユージンさんと副団長のヨハンナさん、生徒代表のカディンとシュクレの四人かな……彼らなら、覚えも早いだろうって」
「わかった!」

 その後は皆で食事タイムに入った。全員、お腹も空いているものね。
 騎士団の人もシント魔法学校の生徒も、全員食欲旺盛で、次々に肉にかぶりついていく。
 私も負けじとお肉を頬張った。
 魔法都市で生活し始めてから、かなり食欲も出て来ている。
 
 
 インターン生歓迎の宴が終わり、シント魔法学校の生徒たちは寮へ帰り始める。
 辺りは暗くなり始めており、騎士団の人たちも仕事場や宿舎へと戻り始めた。
 私とカマルもボードに乗って、用意された部屋に移動する。

「明日から、インターンが始まるね。ドキドキする!」
「そうだね。ヨーカー魔法学園とだいぶ雰囲気が違うけれど、受け入れられているみたいで良かった」
 
 私とカマルは顔を見合わせて、ボードを上昇させた。
 辺境全体は、魔物が出るという深い森に囲まれている。
 その中にぽつぽつと町が存在し、それを守るように騎士団が配置されていた。
 魔法都市と比べ格段に灯りが少なく静かで、風の音やフクロウの鳴き声が聞こえる。
 少し肌寒くて震えていると、カマルが上着をかけてくれた。

「世界は広いね」

 ポツリとカマルが漏らして言葉に、私は大きく頷く。

「本当だね。新しい場所を知れて良かった!」

 魔法都市、砂漠大国、辺境……私の世界は広がる一方だ。

「アメリー、半月間よろしくね」

 差し出されたカマルの手をギュッと握り返す。
 
「こちらこそ!」

 優しい銀色の満月に照らされながら、私たちは微笑み合った。
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