27 / 108
連載
62:義母と妹の本音が聞けました
しおりを挟む
「カマル様。せっかくですので、サリーと一緒に過ごされてはいかが? アメリーと違って、この子は特別ですし、とってもいい子ですのよ」
ドリーに取りなされたサリーは、まんざらでもない表情を浮かべている。
「えへへ。カマル様ぁ、どうぞ、こちらへいらしてください」
二人は、さっそくカマルに誘いをかけている。彼を取り込もうとしているのだ。
期待に胸を膨らませている様子で、頬を赤く染めているサリー。
ドリーも、娘をだしにして、さらにカマルへとすり寄る。
「以前から、うちのサリーを気にされていたでしょう? 昔から従業員に様子を尋ねておられましたものね」
「…………」
「娘を気に入っていただけて光栄ですわ」
ドリーは、一体何を言っているのだろう。
(カマルがメルヴィーン商会の従業員に、サリーの話を聞いていた? しかも、だいぶ前から?)
急に出てきた話に、私は首を傾げる。
けれど、カマルはというと、どこか腑に落ちた様子で答えた。
温度をなくした瞳はそのままで、声のトーンも低くなっている。静かに怒っているようだ。
「なるほど、犯人はあなただったんだね。どうりで、おかしな事態になっているはずだ。アメリーの情報が、もう一人のものと入れ替わっているなんて」
詳しい事情は知らない。けれど、私でもわかることがあった。
(カマルは学園に来る前から、私を気にかけてくれていたんだ)
事件の起こったあとも、それとなく、私の様子を見守ってくれていたに違いない。
地味に感動している私とは反対に、ドリーは少しむっとした顔になる。
「アメリーなんて駄目ですわ! 素行と頭の悪い人間ですもの、あなた様が付き合うには相応しくありません!」
けれど、カマルは彼女に言い返す。
「どうして、僕の交流する相手を、あなたに決められなくちゃならないのかな?」
ドリーとは異なり穏やか口調だけれど、はっきりとした彼の意志が感じられた。
さすがにカマルが不快に思ったとわかったのか、ドリーが慌てて言葉を付け足す。
「カマル様は、まだ子供ですもの。ちょっと毛色の違った、素行の悪いアメリーに興味があるのですね。でも、私はあなたの将来を考えてこそ、サリーを薦めているのです! メルヴィーン商会の代表である私が責任を持って、あなたの交際する相手にサリーを推して……」
しかし、ドリーの言葉は、途中でカマルに遮られる。
「実は僕、あなたがメルヴィーン商会を継ぐのを待っていたんだよね」
「まあ、嬉しいお言葉ですわ!」
あからさまに喜色を浮かべるドリーだが、次のカマルの一言で凍り付く。
「でなければ、こんな不愉快な状況を長引かせたりしなかった。話を続けよう、メルヴィーン商会代表のドリー・メルヴィーン。部屋を変える必要はないよ」
カマルは王族に相応しい堂々とした態度で、ここへ来た理由――本題に入ろうとドリーに向き合った。
あのドリーが、彼に気圧されている。
「さきほど、あなたはライザー・メルヴィーンの事件について口にしていたね。実験によって、サリー・メルヴィーンの魔力が上がったことも知っているようだ。なら、話は早い」
ドリーは困惑しているようだ。
ここにいては邪魔になるのではと、部屋の隅へ移動しようとする私の手をカマルが握る。
「アメリー。もう少しだから、このままで」
「……うん」
とりあえず、素直に頷く。
私も全容を知らない重大な内容を、カマルは口に出そうとしている。
「違法な人体実験、それに関する事実のねつ造、同業他社に対する不当な圧力、アメリーに対する虐待……その他諸々の罪で、メルヴィーン商会を断罪するよ。責任者はあなただ」
この意味が理解できるかと問うカマルを前に、ドリーの顔が青ざめていく。
「ご冗談を。あなたはまだ子供ですから、わからないことが多いのでしょう。メルヴィーン商会に、そのような事実はございません」
ドリーは、全力で事態を誤魔化しにかかっている。
だが、そこで別の声が乱入した。
「証拠なら揃っている」
どこから侵入したのだろう。部屋の入り口に、トールが立っている。
「だ、誰? 不法侵入者よ!!」
金切り声を上げるドリーと、それを聞きつけてやってくる使用人たち。
けれど、トールは全く動じずに自己紹介を始めてしまった。
「はじめまして、砂漠大国神官長のトールです。うちの大甥がお世話になりまして。それにしても、今日は暑いですねえ」
堂々とした態度のトールは、使用人に茶をねだっている。
彼は勝手に椅子に腰掛け、まるで我が家のようにくつろぎ始めた。
ドリーとサリーは、想定外すぎる客の登場に硬直している。
「ええと、トール先生……? 砂漠大国の神官長だったのですか?」
サリーが恐る恐る彼に声をかけた。私も、何に驚いていいのかわからない。
トールの過保護ぶりは、一部の生徒の間で有名だ。
けれど、彼の身分までは、サリーだけでなく私も知らなかった。
カマルの大叔父だから貴族だと思っていたのだ。
……そのカマルは、王族だったわけだけれど。
そんな相手を事故――父が行った人体実験に巻き込んでしまった。
周到に証拠を集めたという彼らを相手に、メルヴィーン商会が勝てるはずがない。
過去にカマルが実験に巻き込まれた事実は、父でさえ知らない。
当初の予定では、犠牲になるのは私だけで、たまたま遊びに来たカマルは、もらい事故のようなものなのだ。
そのままカマルは国へ帰ってしまい、私も記憶をなくしていたので、誰一人彼のことに気づかなかった。
トールは、ニコニコ笑いながら話を続ける。
「唐突にこんな話をして、戸惑っておられるかもしれませんね。なんで、我々があなた方を断罪するのかと」
「そ、それは」
「実はね、メルヴィーン商会の実験の被害に、うちのカマルも遭っているんですよ~。この子が魔力過多なのは、ヨーカー学園に通う娘さんならご存じですよね~」
ドリーもサリーも、事態の深刻さを理解し始めたようで、オロオロと視線を彷徨わせている。
彼らの様子を見て、カマルが静かに説明を引き継いだ。
「僕がアメリーを気にして探っていたのは、彼女が大事な友人だからだ。でも、何を勘違いしたのか、あなたは途中でアメリーの情報をサリーの情報にすり替えるようにと、現地の調査要員を買収した」
「だって、アメリーは、そんな話は一言も……!」
「理由がどうであれ、恣意的に情報をすり替えた事実は変わらないよ。そして、影でアメリーを虐待していた事実もね」
私の手は、まだカマルに握られたままだった。
虐待――そう口に出したカマルは、今までで一番怒っている。瞳の冷たさが、さらに増していた。
「学園で会ったアメリーを見て驚いたよ。同学年のどの子よりも小さくて、ガリガリに痩せていて、服は色あせ、裾や袖口がすり切れていた。妹のほうは、貴族並みに高価な持ち物を持っていたけれど、アメリーは授業に最低限必要なものさえ買えない状態だった」
カマルに指摘されたドリーは、憎々しげに私を睨み叫んだ。
「アメリー! この恥知らず! よりによって、他国の王家のかたに嘘を吹き込むなんて! あなたのことだから、優しいカマル様にお金をたかったのでしょう!?」
そして、手をすりあわせながら、わざとらしい笑顔をカマルに向けた。
「この子は昔から、嘘つきでお金にがめつくて、性根の曲がった子なんです」
なぜか、サリーもドリーに同意している。
「そうなんです、お姉様こそ、影で私をいじめていたんです。私、毎日辛くて」
しおらしく俯くサリーは、守ってあげたくなるような儚げな少女に見える。
けれど、このタイミングで彼女の言葉を聞き、ようやく私は納得した。
サリーは直接私に何もしなかったけれど、私が嫌いで、平気でこんな話ができるのだと。
「アメリーの作り話なんて、気にかけなくていいですわ! アメリー、お前は部屋に戻っていなさい!! 罪人なんだから、屋敷から出るんじゃないわよ!」
「えっ……?」
どうして私が「罪人」にされているのだろう。
「あなたが故意に、カマル様を事故に巻き込んだのでしょう!? でなければ、実験で事故なんて起こりようもなかったのよ!! 全部お前のせいだわ、この疫病神!」
「そうよ、メルヴィーン商会は、清く正しい商会よ? どうせ、お姉様が悪いんだわ!」
二人の中で、いつの間にか、私が犯人だという流れが決定したようだ。怒濤のように、身に覚えのない罪が羅列されていく。
窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、強盗罪、殺人罪まで付け加えられていた。世紀の大犯罪者みたいだ。
カマルは今にも吹雪を起こしそうなほど怒っているし、トールはぷるぷる震えている。
(……トールさん、笑ってる)
必死で取り繕おうとしているが、失敗したようだ。私の視線に気づいた彼は、観念した様子で再び話し出した。
「いや、失礼。かなり面白い展開になったから、思わず吹いちゃったよ。妄想を治す、いい魔法薬が二人分あるんだけど……いるかな?」
ドリーとサリーは、トールの意図を図りかねている。そんな二人に彼は伝えた。
「言ったよね、証拠は揃っていると。今さら作り話をしても無駄なんだよ。窓の外を見てごらん」
トールに告げられ、サリーが窓際へ移動する。ちなみに、この部屋は二階にあり、庭の様子がよく見えた。
何気なくカーテンを開けて外に目をやったサリーは、顔色を変え絶句している。
「なっ、なんなのよ! これは!」
もともと窓際にいた私は、そっとサリーの視線を追った。
階下には、大勢の兵士が並んでいる。私まで、「なんなの?」と叫んでしまいそうだ。
ドリーも窓枠に駆け寄って下を眺め、絶叫した。
「嘘よ!! なんで、グロッタの兵士がうちの庭に集まっているのよ!?」
彼女の質問には、トールが答えた。
「それはね、あなたを捕縛するためだよ? メルヴィーン商会の代表者、ドリー・メルヴィーンさん」
ドリーに取りなされたサリーは、まんざらでもない表情を浮かべている。
「えへへ。カマル様ぁ、どうぞ、こちらへいらしてください」
二人は、さっそくカマルに誘いをかけている。彼を取り込もうとしているのだ。
期待に胸を膨らませている様子で、頬を赤く染めているサリー。
ドリーも、娘をだしにして、さらにカマルへとすり寄る。
「以前から、うちのサリーを気にされていたでしょう? 昔から従業員に様子を尋ねておられましたものね」
「…………」
「娘を気に入っていただけて光栄ですわ」
ドリーは、一体何を言っているのだろう。
(カマルがメルヴィーン商会の従業員に、サリーの話を聞いていた? しかも、だいぶ前から?)
急に出てきた話に、私は首を傾げる。
けれど、カマルはというと、どこか腑に落ちた様子で答えた。
温度をなくした瞳はそのままで、声のトーンも低くなっている。静かに怒っているようだ。
「なるほど、犯人はあなただったんだね。どうりで、おかしな事態になっているはずだ。アメリーの情報が、もう一人のものと入れ替わっているなんて」
詳しい事情は知らない。けれど、私でもわかることがあった。
(カマルは学園に来る前から、私を気にかけてくれていたんだ)
事件の起こったあとも、それとなく、私の様子を見守ってくれていたに違いない。
地味に感動している私とは反対に、ドリーは少しむっとした顔になる。
「アメリーなんて駄目ですわ! 素行と頭の悪い人間ですもの、あなた様が付き合うには相応しくありません!」
けれど、カマルは彼女に言い返す。
「どうして、僕の交流する相手を、あなたに決められなくちゃならないのかな?」
ドリーとは異なり穏やか口調だけれど、はっきりとした彼の意志が感じられた。
さすがにカマルが不快に思ったとわかったのか、ドリーが慌てて言葉を付け足す。
「カマル様は、まだ子供ですもの。ちょっと毛色の違った、素行の悪いアメリーに興味があるのですね。でも、私はあなたの将来を考えてこそ、サリーを薦めているのです! メルヴィーン商会の代表である私が責任を持って、あなたの交際する相手にサリーを推して……」
しかし、ドリーの言葉は、途中でカマルに遮られる。
「実は僕、あなたがメルヴィーン商会を継ぐのを待っていたんだよね」
「まあ、嬉しいお言葉ですわ!」
あからさまに喜色を浮かべるドリーだが、次のカマルの一言で凍り付く。
「でなければ、こんな不愉快な状況を長引かせたりしなかった。話を続けよう、メルヴィーン商会代表のドリー・メルヴィーン。部屋を変える必要はないよ」
カマルは王族に相応しい堂々とした態度で、ここへ来た理由――本題に入ろうとドリーに向き合った。
あのドリーが、彼に気圧されている。
「さきほど、あなたはライザー・メルヴィーンの事件について口にしていたね。実験によって、サリー・メルヴィーンの魔力が上がったことも知っているようだ。なら、話は早い」
ドリーは困惑しているようだ。
ここにいては邪魔になるのではと、部屋の隅へ移動しようとする私の手をカマルが握る。
「アメリー。もう少しだから、このままで」
「……うん」
とりあえず、素直に頷く。
私も全容を知らない重大な内容を、カマルは口に出そうとしている。
「違法な人体実験、それに関する事実のねつ造、同業他社に対する不当な圧力、アメリーに対する虐待……その他諸々の罪で、メルヴィーン商会を断罪するよ。責任者はあなただ」
この意味が理解できるかと問うカマルを前に、ドリーの顔が青ざめていく。
「ご冗談を。あなたはまだ子供ですから、わからないことが多いのでしょう。メルヴィーン商会に、そのような事実はございません」
ドリーは、全力で事態を誤魔化しにかかっている。
だが、そこで別の声が乱入した。
「証拠なら揃っている」
どこから侵入したのだろう。部屋の入り口に、トールが立っている。
「だ、誰? 不法侵入者よ!!」
金切り声を上げるドリーと、それを聞きつけてやってくる使用人たち。
けれど、トールは全く動じずに自己紹介を始めてしまった。
「はじめまして、砂漠大国神官長のトールです。うちの大甥がお世話になりまして。それにしても、今日は暑いですねえ」
堂々とした態度のトールは、使用人に茶をねだっている。
彼は勝手に椅子に腰掛け、まるで我が家のようにくつろぎ始めた。
ドリーとサリーは、想定外すぎる客の登場に硬直している。
「ええと、トール先生……? 砂漠大国の神官長だったのですか?」
サリーが恐る恐る彼に声をかけた。私も、何に驚いていいのかわからない。
トールの過保護ぶりは、一部の生徒の間で有名だ。
けれど、彼の身分までは、サリーだけでなく私も知らなかった。
カマルの大叔父だから貴族だと思っていたのだ。
……そのカマルは、王族だったわけだけれど。
そんな相手を事故――父が行った人体実験に巻き込んでしまった。
周到に証拠を集めたという彼らを相手に、メルヴィーン商会が勝てるはずがない。
過去にカマルが実験に巻き込まれた事実は、父でさえ知らない。
当初の予定では、犠牲になるのは私だけで、たまたま遊びに来たカマルは、もらい事故のようなものなのだ。
そのままカマルは国へ帰ってしまい、私も記憶をなくしていたので、誰一人彼のことに気づかなかった。
トールは、ニコニコ笑いながら話を続ける。
「唐突にこんな話をして、戸惑っておられるかもしれませんね。なんで、我々があなた方を断罪するのかと」
「そ、それは」
「実はね、メルヴィーン商会の実験の被害に、うちのカマルも遭っているんですよ~。この子が魔力過多なのは、ヨーカー学園に通う娘さんならご存じですよね~」
ドリーもサリーも、事態の深刻さを理解し始めたようで、オロオロと視線を彷徨わせている。
彼らの様子を見て、カマルが静かに説明を引き継いだ。
「僕がアメリーを気にして探っていたのは、彼女が大事な友人だからだ。でも、何を勘違いしたのか、あなたは途中でアメリーの情報をサリーの情報にすり替えるようにと、現地の調査要員を買収した」
「だって、アメリーは、そんな話は一言も……!」
「理由がどうであれ、恣意的に情報をすり替えた事実は変わらないよ。そして、影でアメリーを虐待していた事実もね」
私の手は、まだカマルに握られたままだった。
虐待――そう口に出したカマルは、今までで一番怒っている。瞳の冷たさが、さらに増していた。
「学園で会ったアメリーを見て驚いたよ。同学年のどの子よりも小さくて、ガリガリに痩せていて、服は色あせ、裾や袖口がすり切れていた。妹のほうは、貴族並みに高価な持ち物を持っていたけれど、アメリーは授業に最低限必要なものさえ買えない状態だった」
カマルに指摘されたドリーは、憎々しげに私を睨み叫んだ。
「アメリー! この恥知らず! よりによって、他国の王家のかたに嘘を吹き込むなんて! あなたのことだから、優しいカマル様にお金をたかったのでしょう!?」
そして、手をすりあわせながら、わざとらしい笑顔をカマルに向けた。
「この子は昔から、嘘つきでお金にがめつくて、性根の曲がった子なんです」
なぜか、サリーもドリーに同意している。
「そうなんです、お姉様こそ、影で私をいじめていたんです。私、毎日辛くて」
しおらしく俯くサリーは、守ってあげたくなるような儚げな少女に見える。
けれど、このタイミングで彼女の言葉を聞き、ようやく私は納得した。
サリーは直接私に何もしなかったけれど、私が嫌いで、平気でこんな話ができるのだと。
「アメリーの作り話なんて、気にかけなくていいですわ! アメリー、お前は部屋に戻っていなさい!! 罪人なんだから、屋敷から出るんじゃないわよ!」
「えっ……?」
どうして私が「罪人」にされているのだろう。
「あなたが故意に、カマル様を事故に巻き込んだのでしょう!? でなければ、実験で事故なんて起こりようもなかったのよ!! 全部お前のせいだわ、この疫病神!」
「そうよ、メルヴィーン商会は、清く正しい商会よ? どうせ、お姉様が悪いんだわ!」
二人の中で、いつの間にか、私が犯人だという流れが決定したようだ。怒濤のように、身に覚えのない罪が羅列されていく。
窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、強盗罪、殺人罪まで付け加えられていた。世紀の大犯罪者みたいだ。
カマルは今にも吹雪を起こしそうなほど怒っているし、トールはぷるぷる震えている。
(……トールさん、笑ってる)
必死で取り繕おうとしているが、失敗したようだ。私の視線に気づいた彼は、観念した様子で再び話し出した。
「いや、失礼。かなり面白い展開になったから、思わず吹いちゃったよ。妄想を治す、いい魔法薬が二人分あるんだけど……いるかな?」
ドリーとサリーは、トールの意図を図りかねている。そんな二人に彼は伝えた。
「言ったよね、証拠は揃っていると。今さら作り話をしても無駄なんだよ。窓の外を見てごらん」
トールに告げられ、サリーが窓際へ移動する。ちなみに、この部屋は二階にあり、庭の様子がよく見えた。
何気なくカーテンを開けて外に目をやったサリーは、顔色を変え絶句している。
「なっ、なんなのよ! これは!」
もともと窓際にいた私は、そっとサリーの視線を追った。
階下には、大勢の兵士が並んでいる。私まで、「なんなの?」と叫んでしまいそうだ。
ドリーも窓枠に駆け寄って下を眺め、絶叫した。
「嘘よ!! なんで、グロッタの兵士がうちの庭に集まっているのよ!?」
彼女の質問には、トールが答えた。
「それはね、あなたを捕縛するためだよ? メルヴィーン商会の代表者、ドリー・メルヴィーンさん」
11
お気に入りに追加
6,651
あなたにおすすめの小説
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される
雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。
スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。
※誤字報告、感想などありがとうございます!
書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました!
電子書籍も出ました。
文庫版が2024年7月5日に発売されました!
好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?
すず。
恋愛
体調を崩してしまった私
社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね)
診察室にいた医師は2つ年上の
幼馴染だった!?
診察室に居た医師(鈴音と幼馴染)
内科医 28歳 桐生慶太(けいた)
※お話に出てくるものは全て空想です
現実世界とは何も関係ないです
※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。