3 / 15
2:妖艶魔王に出会った
しおりを挟む
そうして、再び意識を取り戻したのだが――
どういうわけか……
銀髪に蒼い目をした、この世のものとは思えないような、妖しい美貌の持ち主が上から私を眺めている。
私と同じくらいの年齢の青年だ。
(誰? これは一体、どういう状況……?)
ぼうっとしていると飲み込まれてしまいそうな、誘惑に満ちた毒々しい美。
私が目にしたことのないような生き物がそこにいた。
まったく見覚えのない相手だし、そもそも日本には銀髪に蒼い目の人間などいない。
ウイッグや染髪とカラーコンタクトで綺麗にコスプレは出来るが、よく見れば日本人だとわかる。
カラーコンタクトの縁は虹彩より大きいものが多く、黒髪を染めるのはパサつきやムラが出やすい。
ウイッグも髪質が違うので判別できる。
だが、目の前の彼の顔は作られた外見ではなく、明らかに天然物だった。
全てが自然で完璧な調和の取れた美しさなのだ。
……などと考えつつ、謎の人物を観察していると、突如彼が跪いた。
「あなたが、このダンジョンの新しいヌシ?」
相手の問いに答えるべく、私は目覚め立ての頭を整理して直前の記憶を思い返した。
確か、大きなヒヨコに『ダンジョンのヌシになって欲しい』と言われたのだ。
(でも、『ヌシ』というのは何?)
緩いゲーム知識しかない私には、よくわからなかった。
「はじめまして、だね。僕がこのダンジョンの魔王だから、これからよろしくね?」
「……魔王?」
戸惑う私に構うことなく、男性は普通に話を続ける。
「僕は以前も、この地で魔王をしてたんだけど――ダンジョンが崩壊して、しばらく眠りについていたんだ」
「崩壊!?」
「新しいヌシが来ることになって再び目覚めたというわけ」
――ダメだ、まったくわからない。
(しかも魔王だなんて、冗談だよね?)
答えあぐねて困っていると、不意に私の上着の中がもぞもぞと動いた。
脱いでそれを揺すると、ポテッと何かが転がり落ちる。
綿毛のような黄色の物体――手のひらサイズの小さなヒヨコだった。
(あの大きなヒヨコが吐き出した子だ……)
ヒヨコはポテポテと歩き回ると、私の目の前で停止した。
「ピヨッ! おはようございます、ヌシ様!」
「喋ったァ!!」
驚く私をよそに、ヒヨコは器用にお辞儀をしてみせる。
ふわふわした黄色の毛の間から覗く、黒い瞳がじっとこちらを見つめていた。
「私はチリと申します。創世神様より、ダンジョン初心者のヌシ様をサポートするよう仰せつかりました」
「私を助けてくれるということ?」
ヒヨコは「そうだよ」と言うように、首を前に突き出している。
「ええ、早速ですが。今、ヌシ様の目の前におられるのは、このダンジョンの頂点に君臨する『魔王』です。これからは、彼と協力してダンジョンを拡大・発展させてください。とはいえ、このダンジョン……崩壊して長いので色々と荒れております。まずは、ダンジョンの整備をオススメします」
急にそんなことを言われても困る。
「ごめんなさい、やっぱりわからない。私は日本に戻れないの?」
「戻っても、あなたは死んでいますよ? 創世神様にもそう言われていたでしょう? もしかして、自殺をご希望ですか? それなら……」
「ち、違うけど……!」
私は慌てて声を上げた。せっかく死なずに済んだのに、また殺されてはかなわない。
小さなヒヨコは、私よりもだいぶ冷静な性格だった……なんというか、事務的。
「ヌシ様には『元の世界に生きて戻る』という選択肢はありません。帰還=死ですので、お忘れなきよう」
「っ……!」
やはり、大きなヒヨコの言っていたとおりなのだ。
私はあの後、駅のホームで頭を打って死んでしまった。
人生二十年――実にしょうもない最期である。
(今回継続して生きられたのは、あの大きなヒヨコのおかげなのね。でも、代わりに言うことを聞かなきゃならない)
座ったまま頭を整理していると、これまで黙っていた魔王がいきなり私を抱き起こした。
美形の顔がアップになって、思わずのけぞってしまう。
「あ、あの?」
殺人級の美しい笑みを浮かべた魔王は私の無知ぶりを理解したようだ。
「たった五十年でダンジョンは朽ちてしまい、反映していた頃の面影はないんだ。だから、ヌシには期待しているよ」
「いや、あの……えっと?」
透き通った蒼い瞳が間近に迫る。
(地味にプレッシャーをかけるのは、やめてください! そして毒のように美しすぎる顔を近づけないでください!)
モゴモゴしていると、突然ヒヨコが私に指示を出した。
「ヌシ様、スマホを出すのです! 創世神様が一緒に転移させたはずなので、ポケットに入っていると思います」
「え、スマホ!? スマホって、こっちで使えるの?」
死ぬ前のままなら、上着のポケットにスマホがあるはずだ。
バッグは持ってこられなかったが、服はそのまま身につけている。
「よいしょ……」
ポケットを探ると、本当にスマホが出てきた。私が生前持っていたものだ。
見ると、勝手に何らかのアプリが起動しているようで……表示されている四角い画像内に青白く光る文字が映し出されていた。
「これって」
ロールプレイングゲームなどでよく見るステータス画面だ。
■ステータス■P1
<ダンジョン>
ダンジョン:<名称未設定>(レベル1)
ヌシ:モエギ(レベル1)
特性—創世神の加護(ダンジョン自由カスタマイズ)
性質—ダメージ無効(ただしダンジョン内に限る)
地形:荒れた洞窟
<魔物>
魔王:カルロ(レベル60)
ウルフ:1体(レベル10)
荒れた洞窟というのは、この場所のことだろう。
ようやく周囲を観察する余裕が出てきたが、ここはゴツゴツした岩に数個の松明が設置されているだけで薄暗い。
少し肌寒いし、不気味な上に湿気た匂いもするし、出来れば長居したくない。まさにダンジョン。
魔王やヒヨコは、私のスマホを凝視している。
「ああ、過去に比べると色々減っているな。面積も、魔物の数も」
ステータスを見た魔王が蒼い目を伏せ、寂しそうに呟いた。
「『朽ちた』と言っていたけれど、このダンジョンの規模は小さくなっているの?」
「もともと、大して大きくはなかったけれど、眠っている間にかなり縮小されてしまった。魔物もいない……ダンジョンとして終わっているレベルだね」
魔王は微笑みながらそうのたまった。
面積が縮小されたので、それに伴い魔物も出て行ってしまったようだ。
(レベルが1だし、見捨てられたのかも……)
ダンジョンを発展させる役目を負ったヌシとして、私がこれから働かなくてはならないのだろう。
……出来る気がしない。
「ヌシ、頑張ってね」
毒々しく甘い笑みを浮かべた魔王が、逃がさないぞと言わんばかりに私の肩に手を置いた。
どういうわけか……
銀髪に蒼い目をした、この世のものとは思えないような、妖しい美貌の持ち主が上から私を眺めている。
私と同じくらいの年齢の青年だ。
(誰? これは一体、どういう状況……?)
ぼうっとしていると飲み込まれてしまいそうな、誘惑に満ちた毒々しい美。
私が目にしたことのないような生き物がそこにいた。
まったく見覚えのない相手だし、そもそも日本には銀髪に蒼い目の人間などいない。
ウイッグや染髪とカラーコンタクトで綺麗にコスプレは出来るが、よく見れば日本人だとわかる。
カラーコンタクトの縁は虹彩より大きいものが多く、黒髪を染めるのはパサつきやムラが出やすい。
ウイッグも髪質が違うので判別できる。
だが、目の前の彼の顔は作られた外見ではなく、明らかに天然物だった。
全てが自然で完璧な調和の取れた美しさなのだ。
……などと考えつつ、謎の人物を観察していると、突如彼が跪いた。
「あなたが、このダンジョンの新しいヌシ?」
相手の問いに答えるべく、私は目覚め立ての頭を整理して直前の記憶を思い返した。
確か、大きなヒヨコに『ダンジョンのヌシになって欲しい』と言われたのだ。
(でも、『ヌシ』というのは何?)
緩いゲーム知識しかない私には、よくわからなかった。
「はじめまして、だね。僕がこのダンジョンの魔王だから、これからよろしくね?」
「……魔王?」
戸惑う私に構うことなく、男性は普通に話を続ける。
「僕は以前も、この地で魔王をしてたんだけど――ダンジョンが崩壊して、しばらく眠りについていたんだ」
「崩壊!?」
「新しいヌシが来ることになって再び目覚めたというわけ」
――ダメだ、まったくわからない。
(しかも魔王だなんて、冗談だよね?)
答えあぐねて困っていると、不意に私の上着の中がもぞもぞと動いた。
脱いでそれを揺すると、ポテッと何かが転がり落ちる。
綿毛のような黄色の物体――手のひらサイズの小さなヒヨコだった。
(あの大きなヒヨコが吐き出した子だ……)
ヒヨコはポテポテと歩き回ると、私の目の前で停止した。
「ピヨッ! おはようございます、ヌシ様!」
「喋ったァ!!」
驚く私をよそに、ヒヨコは器用にお辞儀をしてみせる。
ふわふわした黄色の毛の間から覗く、黒い瞳がじっとこちらを見つめていた。
「私はチリと申します。創世神様より、ダンジョン初心者のヌシ様をサポートするよう仰せつかりました」
「私を助けてくれるということ?」
ヒヨコは「そうだよ」と言うように、首を前に突き出している。
「ええ、早速ですが。今、ヌシ様の目の前におられるのは、このダンジョンの頂点に君臨する『魔王』です。これからは、彼と協力してダンジョンを拡大・発展させてください。とはいえ、このダンジョン……崩壊して長いので色々と荒れております。まずは、ダンジョンの整備をオススメします」
急にそんなことを言われても困る。
「ごめんなさい、やっぱりわからない。私は日本に戻れないの?」
「戻っても、あなたは死んでいますよ? 創世神様にもそう言われていたでしょう? もしかして、自殺をご希望ですか? それなら……」
「ち、違うけど……!」
私は慌てて声を上げた。せっかく死なずに済んだのに、また殺されてはかなわない。
小さなヒヨコは、私よりもだいぶ冷静な性格だった……なんというか、事務的。
「ヌシ様には『元の世界に生きて戻る』という選択肢はありません。帰還=死ですので、お忘れなきよう」
「っ……!」
やはり、大きなヒヨコの言っていたとおりなのだ。
私はあの後、駅のホームで頭を打って死んでしまった。
人生二十年――実にしょうもない最期である。
(今回継続して生きられたのは、あの大きなヒヨコのおかげなのね。でも、代わりに言うことを聞かなきゃならない)
座ったまま頭を整理していると、これまで黙っていた魔王がいきなり私を抱き起こした。
美形の顔がアップになって、思わずのけぞってしまう。
「あ、あの?」
殺人級の美しい笑みを浮かべた魔王は私の無知ぶりを理解したようだ。
「たった五十年でダンジョンは朽ちてしまい、反映していた頃の面影はないんだ。だから、ヌシには期待しているよ」
「いや、あの……えっと?」
透き通った蒼い瞳が間近に迫る。
(地味にプレッシャーをかけるのは、やめてください! そして毒のように美しすぎる顔を近づけないでください!)
モゴモゴしていると、突然ヒヨコが私に指示を出した。
「ヌシ様、スマホを出すのです! 創世神様が一緒に転移させたはずなので、ポケットに入っていると思います」
「え、スマホ!? スマホって、こっちで使えるの?」
死ぬ前のままなら、上着のポケットにスマホがあるはずだ。
バッグは持ってこられなかったが、服はそのまま身につけている。
「よいしょ……」
ポケットを探ると、本当にスマホが出てきた。私が生前持っていたものだ。
見ると、勝手に何らかのアプリが起動しているようで……表示されている四角い画像内に青白く光る文字が映し出されていた。
「これって」
ロールプレイングゲームなどでよく見るステータス画面だ。
■ステータス■P1
<ダンジョン>
ダンジョン:<名称未設定>(レベル1)
ヌシ:モエギ(レベル1)
特性—創世神の加護(ダンジョン自由カスタマイズ)
性質—ダメージ無効(ただしダンジョン内に限る)
地形:荒れた洞窟
<魔物>
魔王:カルロ(レベル60)
ウルフ:1体(レベル10)
荒れた洞窟というのは、この場所のことだろう。
ようやく周囲を観察する余裕が出てきたが、ここはゴツゴツした岩に数個の松明が設置されているだけで薄暗い。
少し肌寒いし、不気味な上に湿気た匂いもするし、出来れば長居したくない。まさにダンジョン。
魔王やヒヨコは、私のスマホを凝視している。
「ああ、過去に比べると色々減っているな。面積も、魔物の数も」
ステータスを見た魔王が蒼い目を伏せ、寂しそうに呟いた。
「『朽ちた』と言っていたけれど、このダンジョンの規模は小さくなっているの?」
「もともと、大して大きくはなかったけれど、眠っている間にかなり縮小されてしまった。魔物もいない……ダンジョンとして終わっているレベルだね」
魔王は微笑みながらそうのたまった。
面積が縮小されたので、それに伴い魔物も出て行ってしまったようだ。
(レベルが1だし、見捨てられたのかも……)
ダンジョンを発展させる役目を負ったヌシとして、私がこれから働かなくてはならないのだろう。
……出来る気がしない。
「ヌシ、頑張ってね」
毒々しく甘い笑みを浮かべた魔王が、逃がさないぞと言わんばかりに私の肩に手を置いた。
0
お気に入りに追加
297
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
王家の面子のために私を振り回さないで下さい。
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。
愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。
自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。
国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。
実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。
ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。
私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる