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第1章 鈴の音の残響
第2響 三色の光1
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「それでは、昨日皆様に話しました通り、これから四カ国間での戦争が始まります。皆様には獣人族の勇者軍として戦線へと出て頂く事になるでしょう。つきましては、皆様の現在の力が、叉、これからどれほど伸びていくかを確認させて頂きたく思います。」
そう言って、ローブを纏った老人はどこからともなく大きな水晶玉を取り出す。
「それでは、皆様方、一列に並んで」
「す、少し待って下さい!」
声を上げたのは委員長の桂木。
「おや、何でしょうか?」
「わ、我々は戦争など....それに家族だって元の世界で心配しているはずです!どうにか帰してもらう事は出来ないでしょうか...。」
桂木の必死な懇願に、
「うぅむ。今すぐは難しいでしょう。此方も国の存亡が掛かっております故。」
即答する老人。
「そ、そんな....」
明らかに空気が重くなる。
それを見た老人は、しかしと続ける。
「...しかし、今すぐは無理でも、もし、この戦争に勝つ事が出来れば考えなくもありません。それに、此方の世界と皆様の住んでいた世界では、時間の流れが違います故、親族の方々もご心配される事は無いでしょう。」
それでも、空気は重いまま。
一度沈んだ雰囲気を元に戻すのは難しい。
それに、彼等は自分達に戦争の為のコマになれと言っているのに等しい。
この空気なるのも必然と言えよう。
それを見かね、これまで黙してきた獣王が声を上げる。
「ならば、褒美をやろう。....此度の戦争で我が国が勝利した暁には、この獣王が、直々に其方等の願いを聞こう。男、女、巨万の富。好きなものを申せ。」
王の一言で空気が変わる。
最初からテンションの高かったオタク組の『これで獣耳っ娘が手に入るでござる!』という言葉を筆頭に各々、自分の欲しい物を想像し夢を膨らませてゆく。
戦争に出て全員が生きて帰れる保証は無い。それでも元の世界に帰れて尚且つ特典がつくと知った高校一年生は、リスクを完全に除外視する。
「...さて、皆様のモチベーションも上がった所で、先程の続きを。皆様にはこの水晶玉に手を置いて頂きます。この玉は触れた人物の職業(クラス)を文字で、適性魔法を赤、青、緑の三色で、ステータスの高さをその色の濃さと光の強さから判別する事が出来るのです。......本来でしたら、ステータスは自己申告でも良いのですが、過去に召喚された勇者が虚偽の申告を行った事があったそうで....以来、この水晶を使用させていただいております。ご了承下さい。...何か質問はございますでしょうか?」
一人手が上がる。
「しつもーん。そのステータスってなんすか?」
「はい。ステータスとは、その人物の戦闘での実力を数値化したものにございます。」
「他人のは見れないんすか?」
「はい。通常、ステータスは自分のものしか見ることは出来ません。しかし、極稀に鑑定というスキルで他者のステータスを見ることが出来る者もいるようです。」
「へー。この国にはいないんすかー?」
「は、はい。現在鑑定のスキルを有した者がいるという情報はわが国では上がっておりません。」
「へー。いないんすか、じゃあ...」
「お、おい。もういいんじゃないか佐藤?困ってるみたいだし...」
「そっすね。さーせーん。」
「い、いえお気になさらず.....では、始めさせて頂きます。最初は何方から測定いたしますか?」
そう言って、ローブを纏った老人はどこからともなく大きな水晶玉を取り出す。
「それでは、皆様方、一列に並んで」
「す、少し待って下さい!」
声を上げたのは委員長の桂木。
「おや、何でしょうか?」
「わ、我々は戦争など....それに家族だって元の世界で心配しているはずです!どうにか帰してもらう事は出来ないでしょうか...。」
桂木の必死な懇願に、
「うぅむ。今すぐは難しいでしょう。此方も国の存亡が掛かっております故。」
即答する老人。
「そ、そんな....」
明らかに空気が重くなる。
それを見た老人は、しかしと続ける。
「...しかし、今すぐは無理でも、もし、この戦争に勝つ事が出来れば考えなくもありません。それに、此方の世界と皆様の住んでいた世界では、時間の流れが違います故、親族の方々もご心配される事は無いでしょう。」
それでも、空気は重いまま。
一度沈んだ雰囲気を元に戻すのは難しい。
それに、彼等は自分達に戦争の為のコマになれと言っているのに等しい。
この空気なるのも必然と言えよう。
それを見かね、これまで黙してきた獣王が声を上げる。
「ならば、褒美をやろう。....此度の戦争で我が国が勝利した暁には、この獣王が、直々に其方等の願いを聞こう。男、女、巨万の富。好きなものを申せ。」
王の一言で空気が変わる。
最初からテンションの高かったオタク組の『これで獣耳っ娘が手に入るでござる!』という言葉を筆頭に各々、自分の欲しい物を想像し夢を膨らませてゆく。
戦争に出て全員が生きて帰れる保証は無い。それでも元の世界に帰れて尚且つ特典がつくと知った高校一年生は、リスクを完全に除外視する。
「...さて、皆様のモチベーションも上がった所で、先程の続きを。皆様にはこの水晶玉に手を置いて頂きます。この玉は触れた人物の職業(クラス)を文字で、適性魔法を赤、青、緑の三色で、ステータスの高さをその色の濃さと光の強さから判別する事が出来るのです。......本来でしたら、ステータスは自己申告でも良いのですが、過去に召喚された勇者が虚偽の申告を行った事があったそうで....以来、この水晶を使用させていただいております。ご了承下さい。...何か質問はございますでしょうか?」
一人手が上がる。
「しつもーん。そのステータスってなんすか?」
「はい。ステータスとは、その人物の戦闘での実力を数値化したものにございます。」
「他人のは見れないんすか?」
「はい。通常、ステータスは自分のものしか見ることは出来ません。しかし、極稀に鑑定というスキルで他者のステータスを見ることが出来る者もいるようです。」
「へー。この国にはいないんすかー?」
「は、はい。現在鑑定のスキルを有した者がいるという情報はわが国では上がっておりません。」
「へー。いないんすか、じゃあ...」
「お、おい。もういいんじゃないか佐藤?困ってるみたいだし...」
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