織田信長 -尾州払暁-

藪から犬

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第三章 血路

十九

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 信長来訪の急報を聞いて、秀貞は背筋を凍らせた。
――馬鹿な。那古野入城から、まだ半月ほども経っていない。本人の耳に入っていることは仕方がないとしても、この短期間に軍を整え、勝算を見出し、城攻めに来たというのか? ナルホド、末森城へ使いを出せば勝家あたりが後詰に駆け付けるだろう。負けることはない。負けることはないが、しかし、それでは、清洲城を尾張全土より包囲し信長へ降伏を促すという私の策自体が無に帰すことになる! 例え信長を倒したとて、それでは我々には何の功績も残らん――
 官吏として辣腕を振るってきた秀貞の優秀な頭脳は最悪の状況を即座に想定し対処するように出来ていた。ところが、彼の諸々の懸念はまったくの杞憂に終わる。
「なに、軍勢ではないというのか?」
 柄にもなく狼狽える兄が珍しいのか、道具はけらけら笑う。
「兄者は信長めが城攻めにでも来たのかと思った様子だ。あり得ぬことですよ。信長の率いる兵などせいぜい七〇〇程度が頭打ちでしょう。それしきの兵で我々が指揮する那古野城が落とせるものかい。いくら信長といえども、それぐらいの心得はありましょう」
「では、信長が現れたとは、一体?――」
 秀貞は櫓から身を乗り出し、眼下の城門の方を覗き見た。騎乗した二人の侍が見える。
 一人は秀貞の老眼をこらして注視するまでもなくホウキ頭に湯帷子の信長である。もう一人は、守山城主・織田秀俊らしいが、しかし、その他には誰も居なかった。供の者すら連れていない。当主とその庶兄が、たった二人で現れたのである。
「用向きは何だ? 信長さまは、何と申されている?」
「それが、殿と話をさせろと、そう申されるだけで、――」
「今さら話すことなど何もない。追い返せッ」
 秀貞は歯ぎしりし苛立たし気に声を張ったが、一方、弟の道具は普段の好戦的な態度を引っ込めてずいぶんのんびりと構えている。むしろ、信長の来訪を楽しむかのような余裕すら感じられる。
「何を焦っておられるのです? 兄者らしくない。那古野城を獲られたと知った信長は、自らの圧倒的不利を悟り、我々に謀叛をやめるよう嘆願でもしに来たのでしょう」
「嘆願だと?――」
「元を正せば、林秀貞は織田信長に付けられた一番家老。戦う力も失くし、逃げる覚悟も定まらない奴は、最後の最後、旧誼の情を頼って兄者の元を訪れた。人を喰ったような態度を続けてきた男がいざ本当の危機が迫ったなら、命乞いと来た。ハハ、愉快ではないですか。」
「信長さまが私を頼る、だと?……あり得ぬことだ」
 わずかな沈黙を置いてから、秀貞は静かに断言した。道具は気に入らない。仮にも自分の兄ともあろう人間が、根拠のない不安に囚われている。
「わかりました。それなら良い。兄者が信長の何をそれほどまでには知らぬが、代わって私がそのご懸念を祓って差し上げましょう。オイ、兵を集めよ」
「何をするつもりか?」
「敵の大将がノコノコ現れたのですよ? 決まっております。捕えて詰め腹を切らせれば良いだけのこと。信長、秀俊両名の首を落とし、末森城へ届けてやるのですよ」
「馬鹿を申すな。我らはまだ事を起こしたわけではないぞ。よいか、末森城とて未だ何の動きも見えてはおらぬ。今日、この那古野城で、信長さまを切腹させるようなことがあってみろ。信勝さまは自らの手を汚さず、すべての罪を我々に着せぬとも限らぬ」
「ヘエ。当主を殺す勇気が出ないことの言い訳をするにあたっては、よほど口が回るみたいじゃないですか」
 信長を手討ちにしたくてたまらない弟は口を尖らせて兄を揶揄したが、実際のところ、末森城の信勝の動きが分からないというのは尤もな事実だったから、秀貞の言い分にも一理を認めざるを得なかった。
 秀貞は櫓から顔を出し、未だ城門の前に騎乗している信長を睨んだ。
 そのときである。傍らの秀俊と何やら談笑していたはずの信長が不意にフッと顔を上げ、まっすぐに秀貞の方を見返した。ずいぶん離れてはいたが、視線はまったく交わった。秀貞は驚ろき、思わず再び身を隠した。
「オイ、秀貞ッ、そこの櫓の陰に居るのは分かっているんだぞ。そこは那古野城で最も高い、他人を見下すには持ってこいの櫓だ。キサマのような奴が好みそうなところだ。さっさと早く門を開けやがれ。これ以上黙りこくっているなら、門番を一人ずつ斬り殺すぞ」
「ワハハハハ。随分な言われようですな、兄者。もし、気が変わったらいつでも合図をくださいよ。すぐに信長を捕えてその首をとばしてやりますから」
 秀貞は腹に据えかねる思いを押し殺して、ようやく信長たちを城へ招き入れる決心を固めた。

 信長は誰それの案内もないままずんずんと城の奥へと歩いて進む。勝手知ったる城である。すぐに秀貞たちの待つ屋敷の奥の間まで来た。
「冷たい水をよこせ、二人分だ」
 林兄弟に対面して開口一番、信長はそう言うと、秀俊と共にどっかと腰を下ろしたが、林兄弟は彼らを見据えて立ったまま。どうやら長居をさせる気はないらしい。
「用向きは何でしょう」
「用向きだって? おかしなことを言いますね、この人は」
 口を開いたのは秀俊だった。
「那古野城は叔父さまの逝去に伴い、信長さまが廃城にされた城じゃないか。そこへ勝手に兵を引き入れているのはお前らだ。申し開きをすべきはお前らの方だ。サア、道理に叶った主張があるなら言ってみなさいな」
 織田秀俊という男は、信秀の息子たちのなかで最も振舞いが信長に似た男かもしれない。庶出の次子である自分の限界にずいぶん早くから自覚的であり、家督の夢などは半ば捨てていたような節がある。だから、譜代の老臣たちに取り入ろうというようなところが微塵もなく、むしろ、槍働きしか能がないような昔気質の中年武士をからかうのを極度に好んだ。彼には、衆道にのめり込み若い家臣とばかり気脈を通じる癖があったが、それすらも、大人をからかうための遊びの一つとしてあったのだろう。
「どうした? 老いると、自らがしたことの分別もつかないばかりか、気の利いた言い訳の一つも思いつかぬほどアタマが鈍くなるのかな」
 秀貞は困った。今更これしきの挑発に堪えるわけはないのだが、しかし、現実問題として返す言葉はまったく出て来ない。
 那古野入城の理由を訊ねられれば、それは「謀叛の準備だから」としか答えようがなかった。だが、向かい合って述べるにあまりにも間の抜けな言葉の響きである。要するに、明らかな謀叛の事実を前にして当主が丸腰で乗り込んで来るなどということはは、秀貞には想像もできなかったのである。
「変ですね。弁舌の立つことで弾正忠家にその人ありと知られた林佐渡さどがこうも口数を減らしてしまうとはね。これは教訓かな。老臣はかくも自分が知っていることが全てだと決めつけ、なるほど、平時は賢しらに周囲の者を外連に欺くこと造作もないが、一度、考えの外のことが起こったなら、それに対する術は何も持っていないらしい。アハハハ」
 何と言われようとも、秀貞はすでに沈黙を貫く覚悟を決めていたが、道具の方はもうやや意気軒高である。
「ワハハ。すこし口が過ぎますよ、秀俊さま。兄をいじめるのはその辺りでご勘弁を」
「そうかね」
「それから、あなた方はいま我々の城の中にいるのですから、そのことにも気を付けた方がよろしい」
「ホウ?」
 小者が一人やってきて、信長たちの前にに湯呑を差し出した。
「お水です。お飲みになられるがよろしい。毒など入ってはおりませぬ」
 毒という言葉にわずか緊張が訪れる。
「ふ。我々の城だってさ。馬鹿いっちゃいけない。誰がお前たちを那古野城主に任じたというのだね」
 そう言って秀俊は湯呑を蹴転がしたが、一方で、信長の方は躊躇もなく水をグイと一挙に飲み干した。
「ア、――」
 これにはその場に居た三人の誰もが呆気にとられたが、あえて顔に出す訳にもいかない。
 信長は彼らを順繰りに一瞥してから、ようやく口を開いた。
「悪いな。喉がカラカラでね」
「そうですか」
「まわりくどいのはキライだ。単刀直入に言おう。那古野城を明け渡し、謀叛の企みを取り止めよ」
 湯呑をしずかに床へ置きながら、あっさりと言ってのけた。
 道具は想像していたよりも身も蓋もない信長の物言いに、思わず吹き出した。
「ハテ、謀叛とは何の事やらわかりませぬが、それでは、私も単刀直入に申し上げたき儀がございます」
 秀貞はここに至ってようやく常時の冷静さを取り戻したようである。
「何だね」
「これは殿の御身を案ずればこそのご提案としてお聞き届け願いたいのですが、」
「早く言え」
「弾正忠家当主の座を、ご舎弟・勘十郎信勝さまにお譲りになられませ」
 秀俊が目を逸らしながらヒュウと口笛を吹いた。
「斎藤高政は父である道三を殺してその地位を奪ったが、そのために、父殺しの誹りを受け、未だ美濃国の統制に手を焼いていると聞き及びまする。尾張国とても同じことでしょう。もう色々とお聞き及んでいることでしょうが、我々は、あなたさまのお命を奪うことは出来るならしたくはないのです。悪いことは申しません。いまのうちに、自ら清洲城を去られませ。そのための手助けならば、私とて一肌脱がないこともありません」
 信長は目を丸く見開いた。秀貞の言うことが全然分からないとでもいう風に。
「なぜオレが尾張を去らねばならぬ。美濃の政変を見たのなら尚更だ。斎藤はいまに尾張へ攻め寄せよう。信勝では収まらない」
「今川と結び、斎藤を迎え撃ちまする。義元はいまや三河の反乱に手を焼き、そのうえに我々を敵に回すは本位ではないはずです。しかし、今川と和議を結ぶためには、信長さま、あなたさまのご隠退は必要不可欠と心得ます。なぜなら、あなたは今川との戦争を止める気など微塵もないのだから」
「よくわかっているな。そうだ、オレは今川との戦争をやめるつもりはない。しかし、その他はまったく分かっていない」
「私が何を分かっていないと?」
「何もかも、さ。仮にオレがいま死んだとしよう。尾張に残る織田の一族は岩倉の織田伊勢守いせのかみ家、そして、信勝を新たな当主に据えた弾正忠家だな。両者は尾張の覇権を狙って争うことだろう。しかし、その背後に居るのは誰だ? 岩倉には斎藤高政が、末森には今川義元が糸を引いているではないか。サア、織田弾正忠家譜代の忠臣・林佐渡守秀貞は、そこでどんな働きをするのかな。そこで、織田一族に対するいかなる奉公ができるというのかな。どちらが勝っても、そこに織田は居ないというのに」
「あなたに言われずとも分かっていることです。しかし、弾正忠家を世に残す道は他にありますまい。我らの使命は、いかに惨めな境遇であろうとも家を確かに守って次代へ繋ぐことにござる。しかし、あなたのやってきたことはどうですか? 清洲、岩倉、今川、斎藤、周囲を悉く敵にまわして、我らは休まる暇がない。そして、いよいよ私たちですら敵に回しましたな。これほど敵を作ることに節操のない当主は、日ノ本広しと言えども類を見ませんぞ。あなたのような戦争狂が当主に居座る限り、この国から戦はなくならぬッ。私は、あなたが尾張に混沌をもたらすものだと看破していたのです。乳母の乳首を噛み破って笑う赤ん坊のあなたを見たときからッ」
――何を信長ごときに、声を荒げているのだか、――
 激情する兄の姿に、道具は呆れるような苦笑を張り付かせている。
「相変わらず詭弁を弄するのが得意のようだが、おかげ様でオレも口は立つ方でね。
 敵を減らしたいなら、まずはキサマがオレの味方になればいい。一つ敵が減るじゃないか、アハハ。
 サア、よく考えるがいい、その優秀なアタマで。キサマらが努めて何をから目を逸らしているのかを。今川義元はいずれ必ずこの那古野へ来るぜ。和睦などムダだ。この那古野城を父上が奪い取ったときから、織田と今川とは袂を分かったのだからね。奴らにしてみれば、尾張の中心地を一族の手に取り戻すことはよほど悲願だろうが、流石に譲ってやれない、もうね。
 お前はオレを戦争狂などと言ったな。だが、オレは自分から他所の地へ攻めて行ったことは一度もないよ。そんなことをせずとも、尾張は豊かな国だからだ。オレの役目は、この豊かな尾張国を外の敵から守り切ることだけだよ。今川だろうが、斎藤だろうが、攻め寄せるなら一人残らず討ち返してやるのさ。たったそれだけのことだ。しかし、たったそれだけのことだが、そのささやかな仕事を成すだけの気概のある者が、オレのほかには居るだろうか。果たして弟・信勝にはそれがあるか。無い。そして、キサマらにもそれは無いのだ。まったく、誰の尻ぬぐいをして行っている戦争だと思っていやがるッ」
 信長の口上は尚も止まらない。あまりに通るその大音声が、次第に屋敷を突き抜けて城中に響き渡る。
「何をッ、――」
「オレ以外の誰が今川と戦おうとしたかッ。キサマらが臆病風に吹かれ、虚偽の秩序などに現を抜かしてきたからこそ、オレが戦ってやっているのじゃないか。織田信長は尾張に混沌をもたらす、か。是非もない。オレがもたらすまでもなく、すでに日ノ本すべてが混沌よッ! 
 秀貞、キサマはオレの命を奪いたくないと言ったな。大方、清洲を囲みさえすればいずれはオレが降伏するとでも思っているのだろう。甘いね。なぜ、それしきの事でオレが戦いをやめると思い込んでいるのか、オレにはよく分かるぜ。何故なら、それは、降伏することに慣れ親しんだキサマらのアタマで拵えられた戦略に過ぎないからだ。力で迫れば人が屈すると思ったら大間違いだぜ。オレが降伏などしない。キサマらにも、今川にも、斎藤にもな。オレが従うのは、オレ自身が定めた正義にだけだ」
 信長はすうっと息を吸い込み、鼻息をフンと鳴らした。言いたいことのすべてを言い終えた。
 途中までは、信長の口走った言葉の端から反論の言葉を考えていた秀貞だが、いつからかその気力を失ってしまっていた。これは論戦ではなかった。信長の目つき、声、身振り、そのすべての情熱が秀貞の身体に襲い掛かったのである。初夏の鶯がさえずるのどかな床の間にありながら、まるで戦場で生死を賭して駆け回る剥き出しの闘気に不意に対面させられたような動揺が秀貞を呑み込んだ。信長の従者として付いてきたはずの秀俊までもが、そのあまりの剣幕に冷や汗を流していた。
「フフ、信長さまの演説は大したものですな。次から次へとよく舌が回ること、感服しました。そして、我らと相容れぬこともよくわかりました」
 ただ一人、道具だけが嘲弄するような笑みを張り付かせながら、パラパラと心にもない拍手を送った。それが合図だったのか、やがてどこからともなく兵たちが現れて信長と秀俊を取り囲む。信長は依然として顔色一つ変えない。
「敵の城でそれだけの啖呵を切ったのだ。もう満足だろうね。辞世の句ぐらいは詠ませてやっても良いぞ、ノブナガ」
「生憎、オレは無学でな。唄い方を知らん。だが、オレの首を落とそうというのなら、秀貞にやらせてみよ」
「何だと?」
 信長は笑って自ら腰に携えていた金銀細工の太刀を、秀貞の足元へ向かって放りつけた。
「サア、秀貞。ここ、ダ」
 自らの首を掌の腹で二度叩いて、促した。
「フワハハッ、おもしろい。兄者、その日ノ本一のうつけ者の首を落としてやれ」
 ここまで挑発されては、秀貞も後に引けやしなった。足元の太刀を考えもなしに拾い上げて、そして刀を抜いた。上段に構え、信長の方へ一歩近づく。ようやく命の危機に狼狽えだした秀俊が自らの刀に手をかけたが、すぐに周囲の兵らに組み伏せられてしまう。信長は動かない。
 秀貞は老体にずっしりと重たいを太刀を掲げながら、滴るほどの手汗を拭き出している。これを振り下ろすだけで、あの織田信長がいとも簡単に死ぬという事実を噛みしめていた。
――目の前で、一瞬でそれは終わるのだろう。丹念に行ってきたあらゆる策謀とは何の関係もなく、織田信長という一人の男が明日からはこの世から消えているのだろう――
 信長は座したまま、迫りくる秀貞をまっすぐに見据えた。高く振り上げられた白刃に、縁から差し込んだ西日が乱反射して、橙色の光が信長の瞳に飛び込んで煌めいた。まるで稲妻を宿したかのようである。それを見た途端、秀貞の腕が何故だかガタガタと震え始めた。
 秀貞は、この土壇場でようやく信長に対峙する。背く覚悟の無い者が、背かれる覚悟のある者に対峙させられていたのである。敵の城に乗り込んできた信長の覚悟が、未だ当家の展望を定め切れずにいる秀貞の不覚悟を、無言のうちに弾劾していた。
 秀貞は太刀を取り落とし、膝をつく。
「オイ、こやつらを斬り殺せッ」
 道具は兄の情けない姿に激昂しながら叫んだが、
「止めよ」
 秀貞がそれを制して言い放った。
「信長さま、あなたを討つ覚悟が、私には今の今までなかったようです。しかし、我らの決意は変わりませぬ。もう後には引けぬ。必ずやあなたを追い詰め、討ち取ってみせましょう。那古野城の返還は謹んでお断りいたす。二度はありません、次に会う日にすべてが決しましょう。今日のところはどうか、お引き取りを」
「アア。そうするよ。オレは十分、楽しんだ」
 ただ一言そう告げると、信長は秀俊を掴み起こし、スタスタと、来たときと同じように勝手気ままに屋敷を後にした。
「呆れ果てた人だ。あの秀俊が言っていたことは本当でしたな。兄者、あなたは老いた。信長を滅したとて、この先、あなたが林家を背負って立つ力は無いように見えますよ。刀を振るう力すらない武士なら、屋敷で籠っていろ。信長の首はこの手で刎ねてくれるわ」
 秀貞は聞きなれた弟の悪罵などには、もはや意識を向けていなかった。
 ぼんやりと見ているのは、傾きかけた日の照り付ける城内の大手道を堂々と闊歩する信長と、それを脇道からやや遠巻きに眺め、しきりに何か囁き合うような城兵らの姿であった。
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