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お返しします!
全てが片付くまではこの気持ちに蓋をします。
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「シアちゃん。準備できた?お迎えが来たわよー。」
扉の外からお母様の声が聞こえる。今日はお母様も行かれると言うことで朝から準備をしていたみたいだ。
「お母様、お待たせいたしました。」扉を開けて、お母様に声をかけるとニヤニヤしていている。
「とても綺麗ね!やっぱりこれも恋の効果かかしら?」
「こ、ここここいですか!?」
お母様からの発言に思わず吃ってしまった。
「ええ、魚の鯉じゃなくて恋よ?」
ウインクしながらちゃめっ気たっぷりにいうお母様が可愛い。
話しながら歩いているとあっという間に応接室についた。
応接室に入るとレン様がお父様と何やら真剣な顔でお話をされていた。もしかしたらハマー夫人の話かもしれない。話に入っていくのは良くないと思い、少し離れたところでお母様と待っていると2人が気づいた。
お父様はお母様の手を取り
「エリザ。いつも綺麗だけど今日のエリザは一段と美しいな。」
そして私の方を見て、
「もちろん、シアもとても可愛いよ。」
幾つになってもこの2人は仲のいい夫婦だ。私も2人のような夫婦にすごく憧れる。トーマス相手だと無理だと思っていたけど、今日全て片付けば次の相手とは2人のようにずっと添い遂げられるそんな相手が見つかるといいなと思った。
そう、レン様のようないざという時は助けてくれる相手だと嬉しい。
「シア。ドレスとても似合っているよ。アクセサリーや髪についている薄いピンクの宝石もドレスとすごく合っている」
いつの間にかレン様のことを考えていたらレン様が近くに来ていて驚いた。
「れ、れ、れ、れ」
「れ?」
レン様が首を傾げる。
レン様の言葉に顔が熱くなっていくのがわかる。
「シア?」
「は、はい」
「どうしたの?体調でも悪い?」
心配そうに覗き込んでくるレン様。
「大丈夫です!レン様こそとても素敵です。」
今日のレン様の格好は白基調の装いに自分の目の色の花を胸ポケットに刺していた。
前髪もいつもはおろしているけど片側を後ろに流していて、とても似合っていた。
「ありがとう」
そう言って顔を横に向ける。
レン様は恥ずかしいとき顔を横に向けることが多い気がする。でも耳が赤くて、そんなちょっとした変化を知ることができるのが嬉しかったりする。
「まるで2人が婚約者同士みたいね。」
そう言ってくすくす笑うお母様。
その言葉にレン様と顔を合わせて笑い合う。
やっと気づいたけど、
私レン様のこと好きなのかもしれないわ。じゃなかったら言葉一つ一つにドキドキしたり、こんなにレン様のこと思い浮かべることないもの。
でも今は蓋をしておきましょう。この決着がつくまでは…。
「ほんとだね。でもその前にやらないといけないことがある。」
お父様が真剣な顔でこちらを見た。
「ハマー夫人も昨夜よりは少し回復しているが、かなり衰弱していたからね。ぎりぎりまでここで休んでもらって、夜会の途中から参加してもらおうと思っている。」
レン様と目を合わせて頷く。
「さぁ、行こうか。決着をつけに...」
⟡.·*.··············································⟡.·*.
レンフォード視点。
王宮に戻り、少し休んでから準備を始めた。最近色々なことが起きたが、嫌ではなかった。きっとシアのことだからだろう。
シアのことが好きだと気づいてから、今までよりも世界が色づいて見える気がする。
あの時はそこまで考えていなかったが、シアのドレスを一緒に選んだのを思い出し、シアが今日着てくるであろうドレスに合わせた装いにした。胸元にピンクの花を挿したのはちょっとした独占欲もあるのかもしれない。
取り敢えず今日を乗り切ったらきちんとシアに言葉で伝えよう。
シアのことが好きだと...
そう思ってシアを迎えに行った。
シアを迎えにいくとジェード伯爵が出迎えてくれ、応接室に通された。まだ支度に時間がかかりそうとのことでジェード伯爵と昨夜の話をする。
無事ハマー夫人を見つけられたことだ。あとはワーグナー夫人だけど、もしかしたら今日連れて行けるかもしれないとのことだった。なんでもルーシーの父、僕の叔父上が薬に詳しい医者を探して治療に専念したそうだ。まだ今まで通りともいかないし、舌がないので話すことはできないけど筆談では話せそうとのことだった。
僕たちが探しても見つからなかったワーグナー夫人が見つかっていたことにもびっくりしたが…恐らく僕たちが思っている以上のことが今夜起きるのだろう。
色々話しているとジェード夫人とシアが入ってきた。
ジェード夫人よ綺麗だったが僕にはシアしか目に入らなかった。
「シア。ドレスとても似合っているよ。アクセサリーや髪についている薄いピンクの宝石もドレスとすごく合っている」
思ったことを伝えると、顔を真っ赤にしながら
「レン様も素敵です。」と返ってきた。
すごく嬉しかったが、まずは今日のことを片付けるのが先だ。
綺麗に片付けたあと、シアに気持ちを伝えよう。
僕はそう心に決めて、シアと馬車に乗った。
扉の外からお母様の声が聞こえる。今日はお母様も行かれると言うことで朝から準備をしていたみたいだ。
「お母様、お待たせいたしました。」扉を開けて、お母様に声をかけるとニヤニヤしていている。
「とても綺麗ね!やっぱりこれも恋の効果かかしら?」
「こ、ここここいですか!?」
お母様からの発言に思わず吃ってしまった。
「ええ、魚の鯉じゃなくて恋よ?」
ウインクしながらちゃめっ気たっぷりにいうお母様が可愛い。
話しながら歩いているとあっという間に応接室についた。
応接室に入るとレン様がお父様と何やら真剣な顔でお話をされていた。もしかしたらハマー夫人の話かもしれない。話に入っていくのは良くないと思い、少し離れたところでお母様と待っていると2人が気づいた。
お父様はお母様の手を取り
「エリザ。いつも綺麗だけど今日のエリザは一段と美しいな。」
そして私の方を見て、
「もちろん、シアもとても可愛いよ。」
幾つになってもこの2人は仲のいい夫婦だ。私も2人のような夫婦にすごく憧れる。トーマス相手だと無理だと思っていたけど、今日全て片付けば次の相手とは2人のようにずっと添い遂げられるそんな相手が見つかるといいなと思った。
そう、レン様のようないざという時は助けてくれる相手だと嬉しい。
「シア。ドレスとても似合っているよ。アクセサリーや髪についている薄いピンクの宝石もドレスとすごく合っている」
いつの間にかレン様のことを考えていたらレン様が近くに来ていて驚いた。
「れ、れ、れ、れ」
「れ?」
レン様が首を傾げる。
レン様の言葉に顔が熱くなっていくのがわかる。
「シア?」
「は、はい」
「どうしたの?体調でも悪い?」
心配そうに覗き込んでくるレン様。
「大丈夫です!レン様こそとても素敵です。」
今日のレン様の格好は白基調の装いに自分の目の色の花を胸ポケットに刺していた。
前髪もいつもはおろしているけど片側を後ろに流していて、とても似合っていた。
「ありがとう」
そう言って顔を横に向ける。
レン様は恥ずかしいとき顔を横に向けることが多い気がする。でも耳が赤くて、そんなちょっとした変化を知ることができるのが嬉しかったりする。
「まるで2人が婚約者同士みたいね。」
そう言ってくすくす笑うお母様。
その言葉にレン様と顔を合わせて笑い合う。
やっと気づいたけど、
私レン様のこと好きなのかもしれないわ。じゃなかったら言葉一つ一つにドキドキしたり、こんなにレン様のこと思い浮かべることないもの。
でも今は蓋をしておきましょう。この決着がつくまでは…。
「ほんとだね。でもその前にやらないといけないことがある。」
お父様が真剣な顔でこちらを見た。
「ハマー夫人も昨夜よりは少し回復しているが、かなり衰弱していたからね。ぎりぎりまでここで休んでもらって、夜会の途中から参加してもらおうと思っている。」
レン様と目を合わせて頷く。
「さぁ、行こうか。決着をつけに...」
⟡.·*.··············································⟡.·*.
レンフォード視点。
王宮に戻り、少し休んでから準備を始めた。最近色々なことが起きたが、嫌ではなかった。きっとシアのことだからだろう。
シアのことが好きだと気づいてから、今までよりも世界が色づいて見える気がする。
あの時はそこまで考えていなかったが、シアのドレスを一緒に選んだのを思い出し、シアが今日着てくるであろうドレスに合わせた装いにした。胸元にピンクの花を挿したのはちょっとした独占欲もあるのかもしれない。
取り敢えず今日を乗り切ったらきちんとシアに言葉で伝えよう。
シアのことが好きだと...
そう思ってシアを迎えに行った。
シアを迎えにいくとジェード伯爵が出迎えてくれ、応接室に通された。まだ支度に時間がかかりそうとのことでジェード伯爵と昨夜の話をする。
無事ハマー夫人を見つけられたことだ。あとはワーグナー夫人だけど、もしかしたら今日連れて行けるかもしれないとのことだった。なんでもルーシーの父、僕の叔父上が薬に詳しい医者を探して治療に専念したそうだ。まだ今まで通りともいかないし、舌がないので話すことはできないけど筆談では話せそうとのことだった。
僕たちが探しても見つからなかったワーグナー夫人が見つかっていたことにもびっくりしたが…恐らく僕たちが思っている以上のことが今夜起きるのだろう。
色々話しているとジェード夫人とシアが入ってきた。
ジェード夫人よ綺麗だったが僕にはシアしか目に入らなかった。
「シア。ドレスとても似合っているよ。アクセサリーや髪についている薄いピンクの宝石もドレスとすごく合っている」
思ったことを伝えると、顔を真っ赤にしながら
「レン様も素敵です。」と返ってきた。
すごく嬉しかったが、まずは今日のことを片付けるのが先だ。
綺麗に片付けたあと、シアに気持ちを伝えよう。
僕はそう心に決めて、シアと馬車に乗った。
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