64 / 77
婚約破棄に向けて
罠。レンフォード視点
しおりを挟む
いつも通りシアを迎えにいくと、メイドから手紙もらった。シアかららしい。
手紙には一言、「急な予定が入ったので今日は貴族院を休みます。お迎えにきていただいたのに申し訳ございません。」と書いてあった。
シアが学院を休むなんて珍しい。いつもシアが座っているところに誰も座っていないと思うと、少し寂しく感じるが予定があるなら仕方ない。僕はそのまま学院に向かった。
学院につくと、生徒会室に向かう。明後日の夜会に向けて少し資料などを読み込んでおきたいからだ。自宅に持ち帰ることも考えたが、不思議と生徒会室の方が集中できる。
1人で黙々と資料を読んでいると誰かが生徒会室に向かって走ってくる音が聞こえた。
「珍しいな。何か急ぎのようか。」
扉を開けるとクレイが立っていた。クレイの息が上がるほど急いでくるのは珍しい。
「レン。このようなみっともない姿を見せてすみません。」水渡すと極々と飲み干す。
「実は…。」
クレイは朝いちで、バッハー侯爵から呼び出されたそうだ。
なんでも朝早くにシアの父、ジェード伯爵手紙が届いたらしい。ジェード伯爵とバッハー侯爵に関わりがあるのは知っている。元生徒会メンバーで、領地が隣り合っていること。そして、今後汽車を開通させるための共同事業を行っていると聞く。始めは事業の話かと思っていたが実際は違ったらしい。
「シアがワーグナー家の帳簿を手に入れたそうです。今日動きがありそうだから町に行ってくると1人で出てしまったみたいなんです。」勿論メイドと従者が後から付いていってるようだが…
「なんでこの時期に帳簿なんか出てきんだ…」
夜会が明後日にある状態で今帳簿を出して何か不正がバレる方が大変だろう。
「クレイ、何かきな臭いと思わないか。」
「そうですね。私もそう思います。取り敢えずシアの父君から、シアを頼むと言われていたんです。なので私はこれからシアを探しに行ってきます。」
クレイは顔色すら変えずに扉から出て行こうとするので僕は慌てて肩をつかむ。
「ク、ク、クレイさん?それは先に言うべきではないのかな?」
「すみません。そうでしたね。取り敢えずシアの状況を伝えておいた方がいいかと思いまして…私は町に出て様子をみてきます。」急足で生徒会室を出ていく。
クレイの姿を見て僕も後を追いかけた。
「クレイ、僕も一緒に行こう。1人より2人の方が安全だ。」
⟡.·*.··············································⟡.·*.
町につくといつもの雰囲気が全然違った。
活気がないのもそうだが子供や若い女性の姿が見えない。
「この状態であればシアを探すのが楽そうだが、いないな。」
周りを探しながら歩くが若い女が全然みつからない。
僕たちは手分けして探すことにして30分後にまたここに戻ってくる約束して別れた。
少し歩いていくと露天にある野菜屋さんが見えた。
他のお店が結構閉まっている中で空いているのは珍しい。
「すみません、今日若い子きませんでしたが?」
「おや、あまり見ない顔だね。若い子なら…1人見たよ。もうここにはいないけどね。今日はこの辺危ないからね。馬車乗り場に戻ったんだ。」
馬車乗り場の方を指す。
「ありがとう、助かったよ。」馬車の方に向かって歩いていくと、シアの姿は見えなかったが、シアとよくいるメイドの姿が見えた。
声をかけようとすると…勢いよく男が手を振り上げたところだった。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
いつもお読みいただきありがとうございます。こんなにたくさんの方にお読みいただけると思っておらず、嬉しい限りです。
誠に勝手ながら明日の更新は朝と夜のみとなるかと思います。できればお昼に1話出したいところですが…。
短編と言いながら長くなっておりますがシアちゃんとレンフォードのお話最後までお付き合いいただけますと幸いです,
よろしくお願いいたします。
ゆずこしょう
手紙には一言、「急な予定が入ったので今日は貴族院を休みます。お迎えにきていただいたのに申し訳ございません。」と書いてあった。
シアが学院を休むなんて珍しい。いつもシアが座っているところに誰も座っていないと思うと、少し寂しく感じるが予定があるなら仕方ない。僕はそのまま学院に向かった。
学院につくと、生徒会室に向かう。明後日の夜会に向けて少し資料などを読み込んでおきたいからだ。自宅に持ち帰ることも考えたが、不思議と生徒会室の方が集中できる。
1人で黙々と資料を読んでいると誰かが生徒会室に向かって走ってくる音が聞こえた。
「珍しいな。何か急ぎのようか。」
扉を開けるとクレイが立っていた。クレイの息が上がるほど急いでくるのは珍しい。
「レン。このようなみっともない姿を見せてすみません。」水渡すと極々と飲み干す。
「実は…。」
クレイは朝いちで、バッハー侯爵から呼び出されたそうだ。
なんでも朝早くにシアの父、ジェード伯爵手紙が届いたらしい。ジェード伯爵とバッハー侯爵に関わりがあるのは知っている。元生徒会メンバーで、領地が隣り合っていること。そして、今後汽車を開通させるための共同事業を行っていると聞く。始めは事業の話かと思っていたが実際は違ったらしい。
「シアがワーグナー家の帳簿を手に入れたそうです。今日動きがありそうだから町に行ってくると1人で出てしまったみたいなんです。」勿論メイドと従者が後から付いていってるようだが…
「なんでこの時期に帳簿なんか出てきんだ…」
夜会が明後日にある状態で今帳簿を出して何か不正がバレる方が大変だろう。
「クレイ、何かきな臭いと思わないか。」
「そうですね。私もそう思います。取り敢えずシアの父君から、シアを頼むと言われていたんです。なので私はこれからシアを探しに行ってきます。」
クレイは顔色すら変えずに扉から出て行こうとするので僕は慌てて肩をつかむ。
「ク、ク、クレイさん?それは先に言うべきではないのかな?」
「すみません。そうでしたね。取り敢えずシアの状況を伝えておいた方がいいかと思いまして…私は町に出て様子をみてきます。」急足で生徒会室を出ていく。
クレイの姿を見て僕も後を追いかけた。
「クレイ、僕も一緒に行こう。1人より2人の方が安全だ。」
⟡.·*.··············································⟡.·*.
町につくといつもの雰囲気が全然違った。
活気がないのもそうだが子供や若い女性の姿が見えない。
「この状態であればシアを探すのが楽そうだが、いないな。」
周りを探しながら歩くが若い女が全然みつからない。
僕たちは手分けして探すことにして30分後にまたここに戻ってくる約束して別れた。
少し歩いていくと露天にある野菜屋さんが見えた。
他のお店が結構閉まっている中で空いているのは珍しい。
「すみません、今日若い子きませんでしたが?」
「おや、あまり見ない顔だね。若い子なら…1人見たよ。もうここにはいないけどね。今日はこの辺危ないからね。馬車乗り場に戻ったんだ。」
馬車乗り場の方を指す。
「ありがとう、助かったよ。」馬車の方に向かって歩いていくと、シアの姿は見えなかったが、シアとよくいるメイドの姿が見えた。
声をかけようとすると…勢いよく男が手を振り上げたところだった。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
いつもお読みいただきありがとうございます。こんなにたくさんの方にお読みいただけると思っておらず、嬉しい限りです。
誠に勝手ながら明日の更新は朝と夜のみとなるかと思います。できればお昼に1話出したいところですが…。
短編と言いながら長くなっておりますがシアちゃんとレンフォードのお話最後までお付き合いいただけますと幸いです,
よろしくお願いいたします。
ゆずこしょう
2,090
お気に入りに追加
4,448
あなたにおすすめの小説
妹よりも劣っていると指摘され、ついでに婚約破棄までされた私は修行の旅に出ます
キョウキョウ
恋愛
回復魔法を得意としている、姉妹の貴族令嬢が居た。
姉のマリアンヌと、妹のルイーゼ。
マクシミリアン王子は、姉のマリアンヌと婚約関係を結んでおり、妹のルイーゼとも面識があった。
ある日、妹のルイーゼが回復魔法で怪我人を治療している場面に遭遇したマクシミリアン王子。それを見て、姉のマリアンヌよりも能力が高いと思った彼は、今の婚約関係を破棄しようと思い立った。
優秀な妹の方が、婚約者に相応しいと考えたから。自分のパートナーは優秀な人物であるべきだと、そう思っていた。
マクシミリアン王子は、大きな勘違いをしていた。見た目が派手な魔法を扱っていたから、ルイーゼの事を優秀な魔法使いだと思い込んでいたのだ。それに比べて、マリアンヌの魔法は地味だった。
しかし実際は、マリアンヌの回復魔法のほうが効果が高い。それは、見た目では分からない実力。回復魔法についての知識がなければ、分からないこと。ルイーゼよりもマリアンヌに任せたほうが確実で、完璧に治る。
だが、それを知らないマクシミリアン王子は、マリアンヌではなくルイーゼを選んだ。
婚約を破棄されたマリアンヌは、もっと魔法の腕を磨くため修行の旅に出ることにした。国を離れて、まだ見ぬ世界へ飛び込んでいく。
マリアンヌが居なくなってから、マクシミリアン王子は後悔することになる。その事実に気付くのは、マリアンヌが居なくなってしばらく経ってから。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~
舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」
わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。
ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。
驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。
※話自体は三人称で進みます。
【完結】やり直しですか? 王子はいらないんで爆走します。忙しすぎて辛い(泣)
との
恋愛
目覚めたら7歳に戻ってる。
今度こそ幸せになるぞ! と、生活改善してて気付きました。
ヤバいです。肝心な事を忘れて、
「林檎一切れゲットー」
なんて喜んでたなんて。
本気で頑張ります。ぐっ、負けないもん
ぶっ飛んだ行動力で突っ走る主人公。
「わしはメイドじゃねえですが」
「そうね、メイドには見えないわね」
ふふっと笑ったロクサーナは上機嫌で、庭師の心配などどこ吹く風。
ーーーーーー
タイトル改変しました。
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
32話、完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
天才少女は旅に出る~婚約破棄されて、色々と面倒そうなので逃げることにします~
キョウキョウ
恋愛
ユリアンカは第一王子アーベルトに婚約破棄を告げられた。理由はイジメを行ったから。
事実を確認するためにユリアンカは質問を繰り返すが、イジメられたと証言するニアミーナの言葉だけ信じるアーベルト。
イジメは事実だとして、ユリアンカは捕まりそうになる
どうやら、問答無用で処刑するつもりのようだ。
当然、ユリアンカは逃げ出す。そして彼女は、急いで創造主のもとへ向かった。
どうやら私は、婚約破棄を告げられたらしい。しかも、婚約相手の愛人をイジメていたそうだ。
そんな嘘で貶めようとしてくる彼ら。
報告を聞いた私は、王国から出ていくことに決めた。
こんな時のために用意しておいた天空の楽園を動かして、好き勝手に生きる。
婚約破棄ですか、すでに解消されたはずですが
ふじよし
恋愛
パトリツィアはティリシス王国ラインマイヤー公爵の令嬢だ。
隣国ルセアノ皇国との国交回復を祝う夜会の直前、パトリツィアは第一王子ヘルムート・ビシュケンスに婚約破棄を宣言される。そのかたわらに立つ見知らぬ少女を自らの結婚相手に選んだらしい。
けれど、破棄もなにもパトリツィアとヘルムートの婚約はすでに解消されていた。
※現在、小説家になろうにも掲載中です
【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。
しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」
その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。
「了承しました」
ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。
(わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの)
そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。
(それに欲しいものは手に入れたわ)
壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。
(愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?)
エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。
「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」
類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。
だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。
今後は自分の力で頑張ってもらおう。
ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。
ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。
カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*)
【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた--
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は--
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる