上 下
52 / 77
婚約破棄に向けて

集合。

しおりを挟む
生徒会室につくと、生徒会の4人のほかに、ルーシーとナタリーが集まっていた。
「お待たせいたしました。遅くなってしまい申し訳ございません。」
一礼して生徒会室に入る。私がいない間に、ルーシーがある程度のお話をしてくれていたようだ。
「先ほど、ミーナの婚約者であるハスラー様も無事目を覚まされました。」
そう伝えると皆安堵した表情を浮かべる。
「ルーシー色々説明してくれてありがとう。とても助かったわ。」

「いえ、今回のことも含めて私からも説明させてちょうだい。」
そういえばルーシーはなぜかレン様が来ることを知っていたようだった。
「まず、私とレンフォードの関係からね。私たち従兄妹なの。」
「それは何となく気づいていました!お顔立ちも似ているので、血縁の方なのかなと...。」
ルーシーとあったころにすごい似ている人がいるなと思ってよく見たらレン様に似ていたからずっと血縁関係があるんだろうなとは思っていた。そう伝えると、レン様とルーシーは似た顔で笑った。
「それなら話が早いわ!」今日の出来事をルーシーが話していく。なんでも昨日レン様から今日は食堂で昼食を食べてほしいといわれたそうだ。もしかしたら今日トーマスが何かしら問題を起こすかもしれないとも考えていたらしい。ただ、ルーシーでは太刀打ちができないため、昼食が食べ終わったらあとからレン様達も食堂に来るという算段だったそうだ。

「そうだったんですね...色々動いていただいてありがとうございます!本当に助かりました。」
ルーシーと昼食を食べるのは楽しかったんだけど、ちょっとだけレン様に言われたことで一緒に食べてもらえたと思うと少し悲しくなった。

「シア。これだけは覚えておいてほしいのだけど、私はレンに言われたからって好きでもない人と一緒に昼食を食べるのは嫌だわ!今回は友人のシアのことだったし、シアと昼食を食べたかったからお願いに乗ったのよ!」そういって私の手を握りながら目を見て話してくれるルーシー。私、そんなに顔に出ていたかしら...ルーシーの言葉がすごくうれしくて思わず笑顔になった。

「ルーシー。ありがとう。私もルーシーとまた昼食食べたいと思っているの。だからまたいろいろお話きかせてね!恋愛のお話とか...私応援しているわ!」最後のほうは小さくルーシーにだけ聞こえるように伝える。

ルーシーは少し顔を赤くしながらうなずいていた。とてもかわいかった。

「さて、二人の話もある程度落ち着いたし、今回のことと今後について話そうとおもっていたんだけどね、お昼休憩中なだけだから午後からみんな授業があるだろう。だからまた放課後集まってくれると助かる。」

そう言って一度解散になった。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

放課後になり、マーティン様と一緒に生徒会室に向かう。同じクラスなのでどうしても一緒に行動することが多くなってしまうのだ。
「シア。お昼は大変だったね。本当に何事もなくてよかったよ!」
「マーティン様。ありがとうございます。私も以前ドロシーの件でご迷惑をおかけしました。ナタリー様とても素敵な方ですね。二人のこと応援しています!」
少し顔を赤くしながらありがとうと返してくれた。ルーシーもそうだけど恋愛すると心が動いてとても素敵なのだなと思った。

生徒会室につくとみんな集まっていて私たちが一番最後だった。
皆座っているので私も席に着く。なぜか空いているのがいつもレン様の隣なのでレン様の隣に座った。
「さて、昼の続きから話していこうか。まず皆何か報告はあるかい?」
レン様が皆に何かないか聞いてきたので、私はお昼に会ったことを伝えた。
「今回のお昼の被害者、ミーナの婚約者ハスラー様が証人になってくれるそうです。」ミーナに相談をするのはダメと言われていたが、ハスラー様のことは言われていなかったのできっとお父様も許してくれるだろう。

「それなら、初めのほうは見れていませんでしたが、途中からすべて見ておりましたので、私も証人として入りましょう。」そう言ってルーシーが手を挙げてくれる。二人から証言が取れれば言葉に重みが出るだろう。私はルーシーにありがとうと伝えた。

「シア。これで証人は結構集まったね。これで当日の話はうまく進むだろう。あとはワーグナー家とハマー家についてだけど...」

「実はワーグナー夫人なんですが、見つからないんです。お母様たちにもこちらについて確認したのですが、お茶会などにも参加されていないとのことでした。もう一度こちらについては再度お母さまたちにも確認してみたいと思います。そして、ハマー家についてですが...明日から本格的に調べていこうと思っているところです。」そう伝えるとクレイン様が話し始める。
「ハマー家ですが、私のほうでも調べていますがかなり危ないことをしていそうです。なかなか尻尾をつかませてくれないのでかなり時間がかかっていますが、調べる時は細心の注意をしてください。あと、なるべく一人で行動しないようにしてくださいね。できれば送り迎えをしてくれる方がいるといいのですが...」ちらりとレン様のほうを見るクレイン様。なんでレン様をみるのでしょうか…

「わかりました!クレイン様も十分注意してくださいませ。私はファルディもいますしディーダもいますので大丈夫ですわ。」
「ま、ま、待ってくれ。送り迎えなら僕がしよう。ドロシーたちに見つかると面倒くさいから朝は少し早めの時間、夜は少し遅めの時間になってしまうけどいいかい?」
「でも、レン様お忙しいのではございませんか?」
「大丈夫だよ!とりあえず今日の帰りから一緒に帰ろうか。」せっかくレン様が大丈夫と言ってくれているので私はお言葉に甘えて送り迎えをお願いすることにした。


⟡.·*.··············································⟡.·*.


「レンはまだ自分の気持ちに気付いていないんですか?」
「気づいていないみたいだよ...気にはなっているくらいらしい...」
「二人がくっつくのは時間がかかりそうですわね...」
ため息をつきながら他の人たちがそんな会話をしていたことをこの二人は知らない。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?

ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。 卒業3か月前の事です。 卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。 もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。 カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。 でも大丈夫ですか? 婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。 ※ゆるゆる設定です ※軽い感じで読み流して下さい

悪役令嬢が残した破滅の種

八代奏多
恋愛
 妹を虐げていると噂されていた公爵令嬢のクラウディア。  そんな彼女が婚約破棄され国外追放になった。  その事実に彼女を疎ましく思っていた周囲の人々は喜んだ。  しかし、その日を境に色々なことが上手く回らなくなる。  断罪した者は次々にこう口にした。 「どうか戻ってきてください」  しかし、クラウディアは既に隣国に心地よい居場所を得ていて、戻る気は全く無かった。  何も知らずに私欲のまま断罪した者達が、破滅へと向かうお話し。 ※小説家になろう様でも連載中です。  9/27 HOTランキング1位、日間小説ランキング3位に掲載されました。ありがとうございます。

【完結】白い結婚なのでさっさとこの家から出ていきます~私の人生本番は離婚から。しっかり稼ぎたいと思います~

Na20
恋愛
ヴァイオレットは十歳の時に両親を事故で亡くしたショックで前世を思い出した。次期マクスター伯爵であったヴァイオレットだが、まだ十歳ということで父の弟である叔父がヴァイオレットが十八歳になるまでの代理として爵位を継ぐことになる。しかし叔父はヴァイオレットが十七歳の時に縁談を取り付け家から追い出してしまう。その縁談の相手は平民の恋人がいる侯爵家の嫡男だった。 「俺はお前を愛することはない!」 初夜にそう宣言した旦那様にヴァイオレットは思った。 (この家も長くはもたないわね) 貴族同士の結婚は簡単には離婚することができない。だけど離婚できる方法はもちろんある。それが三年の白い結婚だ。 ヴァイオレットは結婚初日に白い結婚でさっさと離婚し、この家から出ていくと決めたのだった。 6話と7話の間が抜けてしまいました… 7*として投稿しましたのでよろしければご覧ください!

今さら救いの手とかいらないのですが……

カレイ
恋愛
 侯爵令嬢オデットは学園の嫌われ者である。  それもこれも、子爵令嬢シェリーシアに罪をなすりつけられ、公衆の面前で婚約破棄を突きつけられたせい。  オデットは信じてくれる友人のお陰で、揶揄されながらもそれなりに楽しい生活を送っていたが…… 「そろそろ許してあげても良いですっ」 「あ、結構です」  伸ばされた手をオデットは払い除ける。  許さなくて良いので金輪際関わってこないで下さいと付け加えて。  ※全19話の短編です。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

【完結】聖女の妊娠で王子と婚約破棄することになりました。私の場所だった王子の隣は聖女様のものに変わるそうです。

五月ふう
恋愛
「聖女が妊娠したから、私とは婚約破棄?!冗談じゃないわよ!!」 私は10歳の時から王子アトラスの婚約者だった。立派な王妃になるために、今までずっと頑張ってきたのだ。今更婚約破棄なんて、認められるわけないのに。 「残念だがもう決まったことさ。」 アトラスはもう私を見てはいなかった。 「けど、あの聖女って、元々貴方の愛人でしょうー??!絶対におかしいわ!!」 私は絶対に認めない。なぜ私が城を追い出され、あの女が王妃になるの? まさか"聖女"に王妃の座を奪われるなんて思わなかったわーー。

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

処理中です...