え？私、悪役令嬢だったんですか？まったく知りませんでした。

婚約破棄に向けて

最後の証人。

レン様が食堂を出ていった後、見ていた人たちも少しずつ自分の席に戻っていく。
ルイス様がハスラー様を医務室に連れていってくれるということなので、私とミーナ、ルーシーも一緒に医務室に行くことになった。

「ルーシー、先程はごめんなさい。取り乱してしまったわ。」
私はルーシーに先ほどのことを謝る。
「友人があのようなことになっているのだもの…当たり前よ。私も言葉が足りなくてごめんなさい。」
後で今回のことについては話してくれるそうだ。

みんなで医務室に入るとハスラー様はベッドで眠っていた。ルーシーがルイス様に寄っていく。
「ルイス様、そちらの方は大丈夫でしたか？」
ルーシーの顔をみて優しい顔になる。
「ルーシー嬢。見た目は少し酷く見えますが、骨や内臓には異常がなさそうです。先生も30分くらいしたら目覚めるだろうとのことでした。僕は状況を含めてレンフォード殿下にお伝えしてきますね。」
ルーシーも話を聞いて落ち着いたようだ。
「わかりました。私も一緒にレンフォード殿下のところへ行きましょう。何が起きたのかわかる範囲にはなりますが先にお伝えしておこうと思います。」

ルイス様とルーシーが並んで医務室を出ていったので私はミーナとハスラー様のところへ向かった。

「ミーナ、今回は迷惑をかけてごめんなさい。ハスラー様の怪我がそこまで酷くなかったようで良かったわ。今回の件は必ずトーマスに落とし前をつけさせます。」頭を下げながら2人に謝罪する。

「さっきも言ったと思うけど、今回のことはシアのせいではないわ。だからシアが謝らないで。そもそもハスラーもぶつからないように気をつけるべきだったと思うし、ぶつかった相手が悪かったのよ。」

「パトリシア嬢。ミーナの言う通りだよ。俺ももっと周りを見て動くべきだった。ミーナも怖い思いをさせたみたいでごめんな。」

ミーナと2人で話しているとふとベッドから声が聴こえる。
「「ハスラー（様）！」」
ミーナが泣きながらハスラーに抱きついているのを見て本当に何事もなくて良かったなと安心した。

ミーナが泣き止むのを待ってからハスラー様が話し出す。
「パトリシア嬢。きっと今回の件でミーナを巻き込まないように動いていたんだと思う。ただ事態が事態だ。俺に証人として立たせてくれないだろうか。これだけのことをされたんだ。そしてミーナまで危険な目に合わせている。あいつら全員の顔も覚えているし、丁度いいと思うんだ。よろしくお願いします。」
そういってミーナと共に頭を下げる。

「2人とも顔をあげてください。こちらこそ、ぜひお願いしたいです。恐らく今までにもハスラー様のような目に遭わされてきた人がいたと思います。その人たちのためにもあまり時間がないのですが9日後にあるパーティーでお話ししていただきたく思います。よろしくお願いします。」

2人に向かって頭を下げる。
2人はクスッと笑って「「もちろん。」」と返してくれた。

証人は集まった。あとは、ハマー家について調べることと、ワーグナー夫人のいどころについて調べないといけないわね。
後9日後にはパーティーの日だ、それまでにできることを考えて、お父様たちにお話ししましょう。

まずは今日のお礼も含めてレン様たちに会いにいった方がいいなと思い、2人に挨拶して生徒会室へむかった。