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婚約破棄に向けて
夢女劇場の観客 ルーシー視点
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いつも通学すると大体遭遇したくないものに遭遇することが多い。いつも同じ場所で始まるし、それが私の教室の前で行われていためタチが悪い。他の道を通ろうとも必ず出くわしてしまうのだ。
この劇が始まるのは大体授業開始の45分くらい前だろうか。最初は10分くらいの劇だったが最近では人に見せつけたいのか30分くらい行われている。
今日もまた始まったと思っていると珍しくパトリシア様が呆れた顔で見ていた。
以前、レンフォードからパトリシア様のお話を聞いていた。なんでも証人を集めているそうだ。パトリシア様は女生徒からも人気で皆遠巻きにしているところがあるけど、これは仲良くなれるチャンスかと思い私は近づいて話しかけた。
今までは、レンフォード関係で近づいてくる人が多く鬱陶しいとさえ感じていたが、パトリシア様は損得関係なく仲良くしてくれるのではないかと思った。
話しかけると意外に話すパトリシア様に吃驚した。いつも本を読んでいて儚げな印象があったからだ。パトリシア様と挨拶を交わし、放課後少し話を聞かせて欲しいということだったので会う約束をして別れた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
放課後になりパトリシア様が教室の前まで迎えにきてくれた。皆の憧れの的でもあるパトリシア様が教室の前にいることに顔を赤らめる男生徒。女生徒もすごく見入っている。
「パトリシア様、お待たせいたしました。」
近づいていき声をかける。
「全然待っていません。こちらこそお時間いただきありがとうございます。学院だと人目につきますし、もしよければお茶でもいかがですか?」
確かに学院はまだ人がたくさんいる。
「そうですね!よければいいお店を知っていますのでそちらにいきませんか?」
この辺のお店は大体把握済みのため声をかけると助かりますと笑顔で返してくれた。この笑顔は心の中に保存して大事にしようと心に決める。レンフォードには伝えたくないくらいだ。
2人でお店に移動をしてケーキと紅茶を飲みながら話し始める。
「早速本題なんですが、あの朝の2人のやりとりってどのくらい見てますか?」
いつもならレンフォードの関係を真っ先に聞いてくる人たちばかりなのに、パトリシア様は違って何も聞かず本題に入ってくれた。確かにこれだけレンフォードに興味がない人は初めてだしレンフォードが興味湧いても仕方がないかもと思いながら、色々こたえていく。
あの2人のやりとりはほぼ毎日だ。おそらく私以外のクラスメイトも見ているし、ルイス様も見ていると思う。口付けしているところは見ないけど腕を組んだり抱擁していることは当たり前だ。もはや皆、空気のように通り過ぎている。
最近は少しずつ劇も過激になりつつあるので、もう少し見ていたら口付けくらいするかもしれないと伝えた。
「ルーシー様、色々教えてくださりありがとうございます。お話を聞いておいてなんなんですが、実はルーシー様にお願いがあるのです…。」
「1ヶ月後のパーティーでこの件を話す時証人として立っていただきたいのです。あとできれば毎朝私もあの道を通るわけではないので…。もしく、く、口付けなどしていたらそちらも教えていただけないでしょうか。」
1ヶ月後のパーティー。確か結構大きいのがあったと記憶している。
「わかりましたわ!お引き受けいたしましょう!その代わり私とお友達になって下さらないかしら。」
パトリシア嬢は大きな目をパチパチしながら
「もちろんです。では私のことはシアとお呼びください。」そういってにこやかに笑った。
「シアとお友達になれて嬉しいですわ!私のことはルーシーと呼んでください。敬称も不要ですわ。」
シアと友達になれたことを自慢したいところだけど、まずは1ヶ月後のパーティーに向けて私もできる限りの準備をする。公爵令嬢だから、変なところは見せられない。今日あったことは後日レンフォードに伝えなくてはならないなと思い、今日はお開きとなった。
この劇が始まるのは大体授業開始の45分くらい前だろうか。最初は10分くらいの劇だったが最近では人に見せつけたいのか30分くらい行われている。
今日もまた始まったと思っていると珍しくパトリシア様が呆れた顔で見ていた。
以前、レンフォードからパトリシア様のお話を聞いていた。なんでも証人を集めているそうだ。パトリシア様は女生徒からも人気で皆遠巻きにしているところがあるけど、これは仲良くなれるチャンスかと思い私は近づいて話しかけた。
今までは、レンフォード関係で近づいてくる人が多く鬱陶しいとさえ感じていたが、パトリシア様は損得関係なく仲良くしてくれるのではないかと思った。
話しかけると意外に話すパトリシア様に吃驚した。いつも本を読んでいて儚げな印象があったからだ。パトリシア様と挨拶を交わし、放課後少し話を聞かせて欲しいということだったので会う約束をして別れた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
放課後になりパトリシア様が教室の前まで迎えにきてくれた。皆の憧れの的でもあるパトリシア様が教室の前にいることに顔を赤らめる男生徒。女生徒もすごく見入っている。
「パトリシア様、お待たせいたしました。」
近づいていき声をかける。
「全然待っていません。こちらこそお時間いただきありがとうございます。学院だと人目につきますし、もしよければお茶でもいかがですか?」
確かに学院はまだ人がたくさんいる。
「そうですね!よければいいお店を知っていますのでそちらにいきませんか?」
この辺のお店は大体把握済みのため声をかけると助かりますと笑顔で返してくれた。この笑顔は心の中に保存して大事にしようと心に決める。レンフォードには伝えたくないくらいだ。
2人でお店に移動をしてケーキと紅茶を飲みながら話し始める。
「早速本題なんですが、あの朝の2人のやりとりってどのくらい見てますか?」
いつもならレンフォードの関係を真っ先に聞いてくる人たちばかりなのに、パトリシア様は違って何も聞かず本題に入ってくれた。確かにこれだけレンフォードに興味がない人は初めてだしレンフォードが興味湧いても仕方がないかもと思いながら、色々こたえていく。
あの2人のやりとりはほぼ毎日だ。おそらく私以外のクラスメイトも見ているし、ルイス様も見ていると思う。口付けしているところは見ないけど腕を組んだり抱擁していることは当たり前だ。もはや皆、空気のように通り過ぎている。
最近は少しずつ劇も過激になりつつあるので、もう少し見ていたら口付けくらいするかもしれないと伝えた。
「ルーシー様、色々教えてくださりありがとうございます。お話を聞いておいてなんなんですが、実はルーシー様にお願いがあるのです…。」
「1ヶ月後のパーティーでこの件を話す時証人として立っていただきたいのです。あとできれば毎朝私もあの道を通るわけではないので…。もしく、く、口付けなどしていたらそちらも教えていただけないでしょうか。」
1ヶ月後のパーティー。確か結構大きいのがあったと記憶している。
「わかりましたわ!お引き受けいたしましょう!その代わり私とお友達になって下さらないかしら。」
パトリシア嬢は大きな目をパチパチしながら
「もちろんです。では私のことはシアとお呼びください。」そういってにこやかに笑った。
「シアとお友達になれて嬉しいですわ!私のことはルーシーと呼んでください。敬称も不要ですわ。」
シアと友達になれたことを自慢したいところだけど、まずは1ヶ月後のパーティーに向けて私もできる限りの準備をする。公爵令嬢だから、変なところは見せられない。今日あったことは後日レンフォードに伝えなくてはならないなと思い、今日はお開きとなった。
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