え?私、悪役令嬢だったんですか?まったく知りませんでした。

ゆずこしょう

文字の大きさ
上 下
23 / 77
婚約破棄に向けて

お父様たちの帰宅。

しおりを挟む
生徒会室で色々話を聞き自宅へ帰る馬車の中で、ディーダが他のメイドたちから聞いた内容を教えてもらった。

「簡単に言えばドロシーは夢女で、その夢女は私を悪役令嬢、あっ違ったわ!極悪令嬢だったわね。にして、悲劇のヒロインになりたい。ということね。」
話しを聞きながら色々考える。私も貴族院に来る前までは領地に引きこもっていてパーティーやお茶会に参加することがほとんどなかった。行くとしたら絶対参加しなくてはならないものだけだ。それにトーマスが誘ってくれたら言ったかもしれないが全く誘いがなかった。だからドロシーのことをあまり知らなかったのかもしれない。
「もしかしたらお母様の方が知ってるかもしれないわね!社交界シーズンにお母様はお茶会やパーティーに参加されることが多かったから。」
お父様たちが帰ってきたら聞いてみようと心に決めた。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

家に着くといつもと雰囲気が違うことに気づく。いつもは私しかいないこともありメイド達の人数を減らしていた。しかし、今日はメイド、従者の人数がいつもより多く感じた。

もしかしたらお父様たちが帰ってきたのかもしれないと思い、急いでエントランホールに入る。

「シア、おかえり。」
「シアちゃん、おかえりなさい。」

お父様とお母様が出迎えてくれた。

「お父様、お母様ただいま帰りました。そしておかえりなさいませ。」
思っていたよりも早く帰ってきてくれたお父様とお母様に少し嬉しく感じた。せっかく帰ってきたのですぐにお話をと思っていたもののお父様が取り敢えず夕食を食べてから話そうというのでみんなで夕食を食べることになった。

夕食中は他愛のない話をする。学院の授業の話とか最近読んだ本のお話とかだ。お父様は夕食は家族で過ごす時間と考えているので仕事の話も一切しない。きちんと切り分けられるかっこいいお父様だ。

「さて、食事も済んだし、執務室でシアの話を聞こうか。」

「そうね。シアちゃんのこれからに関わることだもの。きちんとお話を聞きましょう。」
2人が席を立ったので私も後をついていく。

執務室につくとさっそく本題に入った。
「手紙の件だけどね。実は気づいていたよ。ただ、シアがいつ気づくか、いつ言ってくれるか待っていたんだ。」
お父様たちは前からトーマスのことは気づいていたそうだ。元々、ハマー侯爵家は侯爵とは名ばかりの貴族で、いつ没落してもおかしくないくらいの資金しかもうないらしい。そこで目をつけたのが私だったそうだ。
「恐らくシアと結婚すればお金の援助も期待できると思ったんだろうね。私たちも始めは2人の婚約について考えたんだ。ただ、私の親友がね。一度婚約して尻尾を掴んでほしいと言うし、シアの良い経験にもなると思ったんだよ。シアはあまりに周りに無頓着過ぎるからね。」
確かに私は周りに興味がない。そもそも学院に通い始めて1年と数ヶ月、自分が噂のネタだったなんで気づかなかったし。

「婚約破棄することはもちろん構わない。ハマー家には今の時点で結構な金額を援助しているし、これ以上損害賠償金だなんだと騒がれるのも癪に触るからね。そこでシアにお願いだ。まずは学院で味方を作りなさい。そしてきちんと証言してもらえる人を探す事。そうだね、5人以上は必要だ。あとは、ハマー家とワーグナー家の関係と金回りについて調べておきたい。結構悪どいことをしていると思うよ。因みに仲がいいからってミーナにお願いするのはダメだよ。」
考えていることが見透かされてる。話を聞いた感じお父様とお母様は答えを知っているんだろう。2人とも甘いだけじゃなく厳しい時は厳しくする2人だ。

「わかりました。お父様。期限などはありますか?」

「そうだね。期限は1ヶ月だ。1ヶ月後にはいい夜会がある。そこで全て終わらせよう。親友にもそのように伝えておくよ。決して無理はしないようにね。何か頼みたいことがあれば遠慮なく言いなさい。」
窓の方を見ながら話すお父様。
1ヶ月あれば、ある程度は集められるだろうと思い、明日からまた頑張ろうと心に決めた。

しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します

ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」  豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。  周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。  私は、この状況をただ静かに見つめていた。 「……そうですか」  あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。  婚約破棄、大いに結構。  慰謝料でも請求してやりますか。  私には隠された力がある。  これからは自由に生きるとしよう。

【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。

はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。 周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。 婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。 ただ、美しいのはその見た目だけ。 心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。 本来の私の姿で…… 前編、中編、後編の短編です。

婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました

神村 月子
恋愛
 貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。  彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。  「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。  登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。   ※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています

〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。

藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。 バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。 五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。 バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。 だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 感想の返信が出来ず、申し訳ありません。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。 「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」 最愛の娘が冤罪で処刑された。 時を巻き戻し、復讐を誓う家族。 娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです

珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。 だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。 それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

処理中です...